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第◯章 記憶を喰らう者



 


暗黒の天蓋が空を覆う、忘却の遺跡《オルデア深層域》。


紅と融合したルゥナは、新たな“記録因子”の転送先を追って、かつて人類が禁じた地へと足を踏み入れる。


そこは、存在ごと記録から消された研究区画――

そして、“記憶を喰らうイーターズ”と呼ばれる異形たちが眠る場所だった。


 


> 「この匂い……記憶が腐ってる」

と、ルゥナは言った。




> 「俺の中にもある。忘れたはずの、あの感覚が……戻ってきやがる」




 


地下層のさらに奥――

巨大なホールには、歪んだ人型の影が蠢いていた。


それらは、かつて記録因子を過剰に取り込み、“自己”を失った元人間。

記憶を食らい、思考すら持たないまま、ただの“欲望”だけで彷徨っている。


 


> 「こいつら……あんたの“なれの果て”か?」




 


不意に聞こえた声に、紅は振り返る。

そこにいたのは――《黒い爪》の残党。かつて紅と共に戦った男、《グレン》。


彼の右目には、焼け爛れた記録コア。

だが、その奥には、狂気ではなく“目的”が宿っていた。


 


> 「記録を守ることに意味はない。必要なのは、“選別”だ」

「この世界に残す価値のある記憶だけを拾い上げる。それが俺の正義だ」




 


紅とルゥナは対峙する。

過去に繋がった戦友との、信念を賭けた戦いが幕を開ける。


 



 


戦いの最中、ルゥナの中の“もうひとつの意識”が覚醒する。

それは、オリジナルの彼女でもなく、アンドロイドとしての彼女でもない――


“記録の器”として、すべての記憶を写しとった存在。

名前のない、純粋な意識体だった。


 


> 「わたしは……誰の記憶でもない。けれど、誰の痛みも、知っている」

「だから……“あなた”を止めたい」




 


一瞬、グレンの動きが止まる。

そして、彼は呟く。


 


> 「ああ……お前が、紅の“記憶の原点”か」




 


記録因子の渦が吹き荒れる。

ルゥナの髪が光に染まり、紅の右腕に黒い記録コードが浮かび上がる。


ふたりの存在は、今や“記録の鍵”そのものになっていた。


 


だが、その先に待つものは――《無きナンナ》と呼ばれる、

“記憶そのものを喰らい尽くす存在”。


それが目を覚ました時、この世界からすべての記憶は消え去る。


 



---


次章予告:「無きナンナ


> 忘れ去られた“原初の記録”

紅の過去に封じられた“最初の罪”

そして、ルゥナの存在理由――すべてが交わる時、物語は終焉へと向かう。








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