表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/22

16:現在へ

大難産


翌朝、無事にファーケルグに着いた僕達は観光がてらユーリィのクラン『アシェンプテル』に向かう事になった。島は南国な雰囲気で現地民と世界各国から来ているホルダー達で活気に溢れており、傍から見たらハワイと何ら変わりない印象だ。あ、先輩が現地民の水着のお姉さんに絡まれてら。先輩ああいう女性が苦手だからな…めちゃくちゃオドオドしてる。


「おーい先輩こっちですよー!はぐれちゃいますよー!!」

「彼方か!?…す、すみませんお姉さんそれでは…!!」

「えぇ〜?もっとお話しましょうよ〜!!!」


「すまん、助かったぜ。」

「へぇ…峯吉さんって女性苦手なんだ〜!じゃあもしかして…ウチの事苦手だったりすんの〜?」

「いや、羽曳野みたいな年下は大丈夫なんだがな…どうにもああいう雰囲気の女性だけはダメなんだよ。」

「ふ〜ん…」


意外と2人が仲良くなってて良かった…。階層攻略は恐らくチームで動く事がマストになるだろうし、ある程度のコミュニケーションがとれなきゃチームが破綻しちゃうからな。あともう1人はユーリィに頼んではあるけどまともな人であってほしいなぁ……。






「「「で、でっけぇー!!!!」」」

空港から歩く事10分程、そこにはかつて日本一の高さを誇った某ハルカスもびっくりな高さのビルが佇んでいた。な、何メートルあるんだこれ!?


「ここが俺様のクラン拠点だ。つい最近できたばっかで中はまだ散らかってるがな。」

「ね、ねぇ…このビルって建設費いくらかかったの??」

「ん?大した額じゃねぇよ。確か…5000億もいってないはずだ。」

「へ、へぇ〜」

次元が違うじゃん色々…。元々金持ちだったのか?


ビルに入ると中にいた事務員の方々に案内され、最上階のユーリィの部屋へと連れていかれた。中の造形を見る暇もなくただただ圧倒されるばかりだ。何よりも1番驚いたのは床や壁が大気中のマナを吸収する性質を持っている『吸魔晶』で構成されてる事だ。5000億の半分くらいはここに使ってるんじゃないか!?


「少し待っててくれ。お前ら3人に書いてもらう書類が何枚かあるんだ。」

「は、は〜い……」

…落ちつかない。こんな広い部屋にソファとテーブルだけって…。羽曳野さんは冒険したそうでソワソワしてるけど、先輩は…めちゃくちゃ落ち着いてるな。八千代家の仕事でこういう所行き慣れてるのか?


その後書類にサインをし、階層攻略期間中に滞在する部屋を紹介してもらった。ちなみにビルの中の部屋で2人も同様だ。そして1週間後に本格的な作戦会議があるとの事でそれまでは自由に島を探索してもいいとの事だ。まぁ僕は…観光がてら『塔』にでも潜りますか。せっかく武器も新調したから性能も試したいしね。後、頼まれてるユーリィの武器も作んないと…まぁこれは最終日でいいか。







そして、現在…






「彼方、遂にできたのか俺様の武器が!!」

「うん、ようやくね…これ『天秤の聖杖(アストライア)』って名前。どう?触って見た感じは?」

「……凄いな。予想以上だ。俺様の魔力(マナ)にここまで同調するとはな。」

「使い心地も聞きたいんで1回空にスキル打ってみて欲しいんだけど…あ、できれば攻撃系で。」

「任せろ。それじゃ…あぁ、あれでいいか。〈雷炎虹光(プラズマスペクトル)〉」


轟ッ、と杖から発射された巨大な虹色の光が雲を突き破った。おぉ〜流石『魔王』の異名を持つだけはあるな。僕が杖を使ってやっても精々キャンプファイヤーくらいにしかならないだろうしね。


「どうです?バッチリでしたか?」

「…正直脱帽だ。彼方、お前最高すぎる!流石俺様の友達だ!!!」

「えっ、友達!?部下じゃなくて?」

「はっはっはっ!!そうだ!友達だ!!こんなかっこよくて俺様にピッタリな武器を作ってくれたんだ!そんな最高なものを作ってくれた奴を俺様は部下なんて言えないぜ!俺様の勘は間違いじゃなかった!」


子供みたいにはしゃいでる…。まぁあれだけ喜んでくれてれるんだ、こっちも頑張って作った甲斐があったな。




Name: 天秤の聖杖(アストライア)

Rank:SS

説明:『塔』の中心に聳え立つ聖樹から切り出した枝をベースに、名も無き名匠が作りあげた最上級の武器。装備時、MPとHPを10%上昇させ、魔法系のスキルを使う時威力と飛距離に補正がかかる。MPの最大量に応じて追加ダメージを与える。





その後、ユーリィと一緒に半日程酒の席に付き合わされた。未成年だって言ったのに…。まぁ楽しかったからいいけどさ…。明日から階層攻略に入るのに大丈夫なんだろうか??


「あっ、彼方さん。」

「どうも、ええっと…」

「カーラです。カーラ・シーニュ、ユリウス代表の秘書です。」

「なるほど…それで僕になにか用でも?」

「彼方さんが先日代表に頼んでいた、後方支援のクランホルダーが今さっきこちらに到着したので紹介したいのですが…。」

「ええ、今からでも全然構いませんよ。丁度予定も終わりましたしね。」


そのままカーラさんに応接室へ案内され、中に入ると屈強な男性が正面に座っていた。この人かな…?魔力(マナ)の感じからしてSランクくらいか?それもXランクにかなり近い実力を持ってるっぽい。


「……」

「ええっと、初めまして。今度の階層攻略であなたが参加するパーティのリーダーを担当します、紅時彼方っていいます。ランクはXです。」

「……ミケランジェロ・アルバ、Sランク。」

「そ、それでですねミケランジェロさん。ユーリィ…じゃなくて代表のユリウスからは細かい詳細は説明されてないと思うんで、僕から改めてパーティの構成と僕達が担当する場所の説明をですね…」

「……」


ぜ、全然喋らねぇ…!?そろそろなにか言ってくれてもいいんだけど…


「…構成は」

「へ!?あぁえっと…前衛(フロント)が僕含め3人です。ランクはAと成長型のCです。後衛(バック)はミケランジェロさんが担当になります。前衛(フロント)の3人の詳細はCランクの斧使いが基本的なダメージディーラーで、Aランクはタンク担当です。そして僕はヘイト誘導をしつつ全体の補助を担当します。回復は主にタンクと女学生をメインにお願いします。」

「…担当場所は」

「はい、僕らは主に遊撃担当になります。メインの攻撃隊がヘイトを管理しつつ僕らで階層ボスが発狂する前に飛行能力を奪う事が目的です。なので速攻で決める事が肝です。それから…」


そこから質問したりされたりが続き、気づけばもう夜になっていた。……相当に有益な時間だった。ミケランジェロさんがなかなか鋭い質問をしてくるのでそこでの問答がかなり盛り上がったのだ。


「今日はありがとうございました。他のメンバーには僕が伝えておくのでミケランジェロさんは次の集合日に来ていただけたら大丈夫なんで。それじゃ、今日はお疲れ様でした。」

「……わ」

ん?なんか聞こえたか??





「ん〜〜〜いいわっ!!!!!素ん晴らしいわよ貴方!ああんっもうユーリィちゃんったらこんないい子紹介してくれるなんてっっ!!きたわ…昂ってきたわよ〜!!!!」

「………はい?」


ん〜?よく聞こえなかったなぁ〜?目の前の屈強なお兄さんからとても想像できない声色が聞こえてきたぞ〜?


「彼方ちゃん…!アタシ貴方になら力を貸してあげてもいいわ!!貴方になら、アタシ頑張れるわっ!!!」

「……ミ、ミケランジェロさん?」

「いやんもうっ!!『ミケ姐さん』って呼んでねっ!彼方ちゃん!!ミケランジェロ・アルバ25歳見た目は漢、心は純粋無垢な乙女よん!」

「…….おぼぉ」

「あらっ!!彼方ちゃん大丈夫!?」


あまりの情報量と圧力に僕の脳内は限界を越えて強制的に思考と意識をシャットダウンしてしまったのだった……









「はっ!!!筋肉がっ!!」

…あれ?昨日なにがあったんだっけ??確かユーリィとご飯食べに行ってそれから…ん?てかなんで筋肉?


「おっ、ようやく起きたか。」

「あ、おはようございます先輩。」

「いや〜大分魘されてたな。大丈夫だっか?」

「やっぱ魘されてたんだ…。」

「まぁ確かにミケ姐はなかなかのインパクトだからな、仕方ないっちゃ仕方ないか。」

「うんうん…ミケ姐?」


「あっら〜!起きたのね彼方ちゃん!お・は・よ・う♡」

「あ!おはよう彼方!!」


思い出した…。そうだ、情報量が多すぎて脳みそパンクしたんだった。失礼な事しちゃったしさすがに謝んないと…。


「あ〜おはようございます、姐さん。昨日はぶっ倒れちゃって申し訳無いです…。」

「ううん全然気にしてないわ!」

「改めてよろしくお願いしますね。」

「……えぇ、こちらこそ」


熱い握手を交わし、ようやくチームとしての活動を始めれるようになった。


「それじゃ、全員注目。今日から僕らはこの4人で階層攻略に向けて動いていきます。それにあたってですね、朝ごはん食べ終わったらチームワークの確認がてら『塔』に入ろうと思います。」


「おっ、ついにか。」

「はい。編成については昨日姐さんと話し合って決めてあるので、そこは心配ありません。」

「ねぇ彼方、どこの階層に行くの??10とか?」

「う〜ん…まぁ、15かな。多分実力的にはそこが妥当だと思うし。」

「結構行くんだな…ほんとに大丈夫か?」

「もちろんですよ、いざって時は転移鏡使うんで」


そして、先輩特製の朝食を食べ『塔』へと入る。第1階層はものすごく簡素な作りで大きのめ広場に扉が置いてあるだけだ。頭の中に行きたい階層を思い浮かべるとそこへ転移さしてくれるのだ。


「へぇ〜!ここが15階層かぁ〜!!!」

「ちょっと美鈴ちゃん!あんまり動き回っちゃダメよ!!」

「はーいミケ姉!」


「元気だなぁ…」

「ほんとっすね…おーいとりあえず集合!!!」

女の子組は追いかけっこしながらはしゃいでる。…全然戻ってこない。もうそろそろ異獣とエンカウントする地域だから!!戻ってきて!!


2人を追いかけること3分…そこには蔦が蔓延った建物がずらーっと並んでいた。おぉ…思ってた以上にゲームとそっくりだ。…じゃなくて、2人を探さないと!!


「先輩そっちお願いします!!僕全体見てきますんで!!」

「了解!気ぃつけろよ!!」


『身体強化Ⅲ』発動!一気に建物の上に飛び乗り、『エコーロケーション』を使う。……あ、見つけた!思ってる以上に遠いなこれは…。姐さんがいるから大丈夫だとは思うけど流石に心配だわ…。まずは先輩と合流しないと…あ、そうだった、ここ携帯通じないんだった。確かメニューにあったはず…あったあった、『念話』システム。


『あー先輩聞こえます?』

『…彼方か、聞こえてるぞ。』

『2人を見つけました。あっちに連絡飛ばしとくんで現地で集合しましょう。位置は送っときます。』

『OK、ありがとうな。』


『姐さん聞こえますか?彼方です。』

『えぇ、聴こえてるわよ。ごめんなさいね先に行っちゃって。』

『いえいえ、そっちは大丈夫ですか?』

『もちらんよ!…美鈴ちゃんの実力を見たんだけど、あの子凄いわ。』

『……やっぱりですか。』

『成長型だとは彼方ちゃんから聞いていたけど、あそこまで行くと最早化け物レベルだわ。『出力増加』と『身体強化』のレベルがXの武闘派と遜色ないレベルよ。』

『マジ…?』

『大マジよ。単純な火力ならユーリィちゃんを、いえ…『白銀姫』と『剣聖』と同じくらい。』


通りでおかしい訳だわ…。図書館で見たあの一撃、不意打ちとはいえあの量のオーガを1回で肉塊に変えるとは異常だったもんな…。


『…分かりました。僕と八千代先輩が今から向かいますんで、そこで待機しといてください。』

『了解!!』


『念話』を終え、再度動き出す。…近道したいけど敵多いな。3〜4体くらいかな?それくらいなら一気に押し通ってやるよ!!



読んでくれてありがとうございます。次回から第2章です。


……オカマキャラいいよね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ