2:自分は貴族らしい
ーーバンッ!!!!
「うわぁ!!」
急に、外から爆発音が聞こえて目が覚めた。
そういえば、昨日はすごい頭が混乱する出来事があったんだった。
えーと……自分の名前がカタカナになったんだっけ。
てか、この爆発音、ずっと聞こえるんだけど。ちょうど日の出ぐらいの時間なのに良い近所迷惑だよ。
ーーコンコンコン。
『坊ちゃん、失礼します。』
「はい、どうぞ。」
返事をすると、ココさんが部屋に入ってきた。
そして、昨日見たイケオジの姿がそこにはあった。
やっぱり夢じゃなかったのか〜。
しかし、なんでココさんは自分の部屋に来たんだ?
「あの……、どうかしましたか?」
「まだ記憶が戻られてないのですね。私は、坊ちゃんの執事として朝のお世話をしに来ました。」
なんか、すみません。
とりあえず正直に全てのことをココさんに伝えよう。
昨日は自分を助けてくれたから悪い人じゃないはず!
相手に信用してもらうには、まず自分から信用しないと。
「ココさん、少し話しをしたいのですがいいですか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
「それでは、そこのテーブルで話をしますか。」
ココさんと自分は席についた。
そして、ココさんは突然に何もないところから、お茶とお菓子のようなものを取り出した。
へぇ〜……ココさんすごいな。さすがイケオジ執事!
はぁ、もうよくわからない。
とりあえす、気持ちを切り替えて話そう!
「お茶とか出してもらってありがとうございます。」
「いえいえ。他にも欲しいのがあれば申し付けてください。」
「あ、ありがとうございます。」
自分はココさんに今の自分のことについて全て話をした。
自分は鈴木治一であったこと、大学生であったこと、「魔法」が存在しない世界にいたこと、貴族は存在しない日本にいたこと、急に知らない場所に来てしまったこと。
ココさんは、黙って話を聞いてくれた。ココさんは少し間を置いてから話し始めた。
「これはどういうことなのでしょう……。坊ちゃんは、ジル・フォン・マッキントッシュとしての記憶はないのですか?」
「はい、ないです。」
「坊ちゃんは、鈴木治一という方の記憶をはっきりと持っているのですね?」
「その通りです。もうくっきりと。」
「……そうですか。これは良い機会かもしれないですね。」
なんか、ココさんが少し口角を上げている。
え?なに?怖いんだけど。
何させられるんだろう……。
「えっと……ココさん、どうかしました?」
「これは失礼しました。それは一度勉強会のようなものを行いましょう。」
「勉強会ですか?」
「ジル様の現状についてや、この世界について説明を行わさせていただきます。」
「それは、ぜひお願いしたいです!」
ココさん、神!!
正直、混乱して頭が回っていなかったから助かった。
「それでは、少し用意いたします。ここで勉強会をしますので、待っていてください。」
そういうと、ココさんは部屋を出て行った。
うーん。それにしても外の爆発音がずっと聞こえるな。
もしかして、ここって今戦争中?
でも、窓からはすごい広い庭が見える。ルンバのような自動草刈機?が何台かあるな。
すげぇ〜。この家ってこんなに広いのか。
しかも、ジル様って言われたり、坊ちゃんって言われたり、本当に貴族のような身分になったんだな。