勇者と母乳
【勇者の弟子はお嫁さんになりたい!】の番外編で、勇者目線の話になります。
本編エピローグ直後の話になります。
このお話だけでもお楽しみいただけますが、本編クライマックスのネタバレになります。
本編未読の方は、是非本編の方を先にお楽しみください。
俺は『勇者』だ。
この世界には『終焉の魔物』と呼ばれる最悪の魔物が数十年に一度現れる。
放っておけば、全世界の人類が絶滅してしまうほどの凶悪な魔物だ。
『終焉の魔物』に唯一対抗できる存在が『勇者』だ。
『勇者』には『終焉の魔物』に対抗し得る『秘策』がある。
・・・ただ、その『秘策』を行使するためには・・・『勇者』自身の命を引き換えにしなければならないのだ。
歴代の『勇者』は、そうやって自らの命を犠牲にして、この世界を守ってきた。
・・・俺も『勇者』の運命に従い、先の『終焉の魔物』との戦いで肉体を失い、そのまま死を迎えるはずだった・・・
ところが、俺の妻が機転を利かせてくれて、自らの胎内に俺の体を赤子として再生してくれたのだ。
おかげで、こうやって、死なずに新しい体で生きながらえる事が出来た。
体は小さくなってしまったが、最愛の妻と死に別れる事無く再会が出来た。
これからも共に生きていける事が何よりも嬉しかった。
更に、妻との間には、俺達の子供まで誕生していたのだ。
俺は自分の子供と同時に、再びこの世に生を受けた。
俺は家族との新しい生活を始められる事を、何よりも幸福だと感じている。
・・・ただ、俺には当面の問題が一つあった。
俺の食事についてだ。
俺は赤子の体になってしまったが、勇者の能力はそのまま使えていた。
そのおかげで、赤子の体にもかかわらず、ある程度自力で活動する事が出来るようになった。
勇者の超回復能力によって、食事をとらなくても死ぬ事無く生命活動を維持できる。
まだ、歯も生えていなく、消化器系も完成されていないので、しばらくは食事はしないつもりでいた。
すると、妻が言ったのだ。
「あなたは、私のおっぱいを飲まないんですか?」
妻は我が子に母乳を飲ませながら俺にたずねた。
(俺は食事をとらなくても問題ない)
俺はまだ、声帯が完成していないのでまともに言葉が発音できない。
だから、妻とは『念話』で会話をしている。
「問題無くはないと思いますよ?この子はおっぱいを飲んで、順調に体重が増えていますが、あなたは生まれた時から体重が増えていませんよね?」
(それは何かまずいのか?)
「乳児期の栄養不足はその後の成長に影響が出る可能性があります。この子は順調に背が伸びるけど、あなたは大人になっても背が低いままになってしまうかもしれませんよ」
それは困る。それでは子供が成長した時に、父親としての威厳が保てなくなってしまう。
(どうすればいい?)
「どうって、あなたも私のおっぱいを飲めばいいんですよ!」
妻はそう言って空いている方の胸を俺の方に向けた。
妻の胸は元々は、大きすぎず、小さすぎず、丁度良いバランスで、全身の均整のとれた完璧な体形をしていた。
しかし今は、出産後の授乳時期で、本来のサイズよりもだいぶ増量していた。
大きすぎて、バランスが悪くもないが、それはそれで、この時期限定の魅力的な姿でもある。
・・・その胸に・・・吸い付けというのか?
(いや、成人男性である俺が、妻の母乳を飲むという行為は倫理的にどうなのだろうか?)
「何言ってるんですか?あの時は私の胸にむしゃぶりついて、がむしゃらに吸ってたじゃないですか?」
(・・・いや、あの時は・・・)
俺は『終焉の魔物』との最終決戦の直前に妻と結ばれた。
恥ずかしながら人生初めての女性経験でもあった・・・
翌日には死ぬ運命だったから・・・妻の全てを堪能・・・いや、知っておきたかったのだ。
断じてスケベ心では・・・・・・いや、スケベ心だったな。
「細かい事は気にしなければいいんですよ!単なる食事だと思えばいいんです!」
・・・それが・・・俺の食事・・・
俺は目の前に突き出された、妻の豊満な胸を見つめた。
・・・思わず生唾を飲み込んでしまった。
いや、確かにそうだ。
現在赤ん坊の体である俺にとって、これは食事だ。
・・・断じて低俗な行為ではない。
「さあ、どうぞ、召し上がれ!」
そう言って妻は、片方の胸で子供に授乳させながら、もう一方の乳房を俺の目の前にさらけ出したのだ!
俺の目の前には、はち切れんばかりに膨らんだ、白くてすべすべな妻の乳房が突き出された。
その先端からはわずかに母乳が滲んでいて、なまめかしさを増長していた。
俺は・・・再び生唾を飲み込んだ。
今の自分の感情が、食欲なのか、性欲なのか・・・・・
体は赤子になってしまったため、性欲で体が反応する事は無い様だが、精神は成人男性だ。
しかも女性経験はあの時だけで、まだまだ不完全燃焼感が残っている。
目の前にあるものにむしゃぶりつきたい強い衝動に駆り立てられているのだが、果たしてこれが食欲によるものなのか、性欲によるものなのか、自分でも判断が出来なくなっていた。
俺が躊躇していると妻が言った。
「私、実は母乳の出が良すぎて、この子だけでは追いつかなくて、おっぱいが張ってしまってちょっと痛いのです。できればあなたにも吸って頂けると私も少し楽になるのですが・・・」
何て事だ!俺がつまらないプライドと建前で迷っている間に、妻に辛い思いを我慢させてしまっていた!
迷っている場合じゃない、今は妻を楽にさせてあげなければならない。
(すまない、今楽にしてやる)
俺は妻の胸にむしゃぶりついた!
口の中に何とも言えぬ魅惑的な感触があった。
大きさといい柔らかさといい、自分の口にぴったりフィットする感じが何とも心地よい。
そして、口いっぱいに広がる味わい・・・
母乳とは・・・これほど甘美的な味わいだったのか?
もっと味気ないものだと思っていたが・・・ここまでの美味だとは想像していなかった。
まるで妻の作る料理の様な至高の味わいだ。
俺の妻は・・・料理の味も母乳の味も最上級だった。
だが、滲んでいた母乳を飲み込んで、さらに吸おうとしたが、思ったほど母乳が出てこない。
俺はいつの間にか、両手で妻の乳房を掴んでいた。
乳房は張っていて、こちこちに硬くなっていた。
これだけ張っているのになぜ吸っても出てこないのだ?
「ただ吸うだけではダメですよ。上下の歯茎で乳首を挟んだり緩めたりしながら、舌も使って乳首を押しつぶして強く吸うんです。赤ちゃんがおっぱいを吸う力って結構強いんですよ」
妻がアドバイスしてくれた。
なるほど、そうやって吸うのか?
俺の歯茎にはまだ歯が生えていないから、噛みしめても乳首を噛み切ってしまう心配はない。
言われた通りに乳首を歯茎で噛みしめながら強く吸うと、乳首が平べったくなって口の奥の方まで伸びてきた。
乳首を歯茎で噛んだ後、歯茎を緩めて伸びた乳首を舌で押し上げながら強く吸うと、勢いよく母乳が口の中に広がった!
なるほど!こうやって吸えばいいのか!
最初は頭で考えながら口を動かしていたが、途中から勝手に口や舌が動き始めていた。
赤ん坊の体は本能的に母乳の飲み方を知っていたらしい。
俺は口の中一杯に広がった、甘くておいしい母乳をごくりと飲み込んだ。
やはり俺の体は、かなりの空腹と、渇きを抱えていたらしい。
母乳を飲みこんで、渇きが癒された事を感じた。
コツを掴んだ俺は、がむしゃらに母乳を飲み始めた。
いや、俺の意志と関係なく体が欲しているのだろう。
だが、口の中の妻の乳首のフィット感や感触も心地よく、母乳の甘美な味わいと、空腹が満たされていく満足感で、俺は、この上もない幸福感に包まれていた。
これは、赤子にしか味わえない、赤子ならではの幸せではないだろうか?
食欲とか性欲とか、そう言ったものを超越した、包括的な満足感だった。
大人の意識を持ったまま、この感覚を経験してしまった俺は、実は反則的な幸運に恵まれているのではないかと考えてしまう。
「んんっ!上手です!最愛の旦那様とかわいい赤ちゃんに同時におっぱいを吸われるなんて!私ってば、こんな幸せを経験できるなんて!最高です!」
妻も俺と同様に、この幸福感に酔いしれている様だった。
もう片方の胸で、俺達の愛の結晶である子供も、夢中になっておっぱいを飲んでいる。
まだ自我に目覚めていないのかもしれないが、きっとこの子も俺と同じ様な幸福感に満たされているに違いない。
しかし妻の母乳は出がよくって、いくら飲んでも勢いが止まらない。
油断すると飲み込むのが追いつかず、こぼしてしまいそうになる。
だが、妻が自分の身を削って作ってくれた母乳を一滴たりとも無駄には出来ない。
俺は必死になって溢れ出る母乳を飲み続けた。
気が付くと俺の腹は限界を超えてぱんぱんに膨れ上がっていた。
かわりに、妻の乳房は硬さが無くなり、ぷにぷにと柔らかい以前の感触に戻っていた。
ようやく母乳の勢いが治まり、俺は乳首を放して一息つく事が出来た。
隣では愛しの我が子も同じように満足げに乳首を放している。
「ふふふっ!二人ともいっぱい飲みましたね!おかげで私もずいぶん楽になりました!」
さっきはパンパンに張ってかちこちに固まっていた妻の胸は、柔らかくなってぷるんぷるんと揺れていた。
妻は胸をしまうと、俺と子供を両肩にうつぶせに担ぎ、背中をとんとんと叩き始めた。
「「げぷっ」」
俺と子供は同時にげっぷが出た。
パンパンに張って苦しかったおなかが少し楽になった。
我が子もおなかが楽になったのか、にっこりと笑顔になった。
そのかわいい笑顔につられて、俺もつい笑顔になってしまった。
「もうっ!二人とも可愛いです!」
妻も最高の笑顔でにっこりと微笑んで、俺と我が子を両脇にかかえて両方のほっぺに頬摺りした。
我が子は更にきゃっきゃと声をあげて笑い出した。
俺もついつい嬉しくなって笑い声が出てしまった。
「あはははは!」
妻も声上げて笑っている。
家族三人で笑いながら、幸せなひと時を満喫したのであった。
完
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