表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたりきりの図書室  作者: 金石水月
8/15

読書以外の趣味

「佐藤くんって読書以外の趣味は何かあるの?」


 放課後、ふたりきりの図書室で吉川が切り出した。


「意外と多趣味だよ、僕」

「へぇ、例えば?」

「そうだね……まずは植物栽培」

「植物栽培? ガーデニング?」


 吉川が意外そうな目をする。あまりイメージが湧かないのだろう。


「ううん、植物栽培。日当たりとか水やりの頻度とか条件を変えながらどんな風に育つか観察するんだよ」

「……変わってるね」

「そうかな?」


 朝顔の栽培日記みたいで結構楽しいのに。


「えっと、他には?」

「最近力を入れてるのはペン習字だね。少しずつ字が綺麗書けるようになるのが実感出来て楽しいよ」

「結構いいかも。字が綺麗な人って素敵だよね」


 吉川は感心したような表情を浮かべた。


「あとは……料理も良くするよ」

「え、そうなんだ」

「うん、手持ちの和食本のレシピは大体作ったし、そろそろ洋食に挑戦かなって思ってるとこ。オーブンを使ったレシピが多かったからそのうちお菓子も作ってみたい」

「へー……すごい……ね」


 何とも言えない表情を浮かべている吉川。どういう表情だろうこれは。


「あれ、信じてない? 何なら今度お弁当でも作ってこようか? それほど手間でもないし」


 実際に作ってきたとあっては信じるしかないだろう。そう思っての提案だったが――


「興味はあるけどお断りします。私の立つ瀬がないので」


 吉川が手を前に出して待ったをかけた。

 確かに恋人でもない男に弁当を作って来られるのは微妙かもしれないな、と反省していると、おずおずといった様子で吉川が口を開いた。


「でも私もこれから練習するから、もう少し腕が上がったらお弁当交換してみたいな。……いいかな?」

「もちろん。腕によりをかけて作るね」


 どうやら嫌ではなかったらしい。それに吉川の作ったお弁当が食べられるということにいっそう気合を入れたが


「いや、むしろそんなに頑張らないでいいから!」


 なぜか焦ったように止められてしまう僕であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ