クリスマスの予定
「イルミネーションが綺麗になってきたね」
図書室の窓から外を見た吉川がぽつりと漏らす。
高校近くの家の塀や植木に電飾がちらほらと目につくようになってきた。
「そうだね。もうそんな時期か……」
「この一年、あっという間に過ぎちゃったなぁ」
吉川がしみじみと言う。
同感だ。良い意味でも悪い意味でも何も変わらないままに気が付けば一年経ってしまった。
「ところで佐藤くん、クリスマスは予定あるの?」
「……今のところ予定はないけどこれから誘おうかと思ってるよ。吉川は?」
「私も予定はないけど……ってそれより! 誘うって……もしかして女の子?」
「そうだね」
「……仲良いの?」
「僕は仲良いって思ってるけど」
「その子のこと……好きなの?」
「――それはまだ言えないかな」
僕の返答を聞いた吉川は黙ってうつむいてしまった。
それからやや間があって、顔をあげた。
「……うまくいくといいね。応援してるよ」
吉川はそう言うと、どこか愁いを帯びた顔で笑った。
それを見届け、今度は僕が口を開く。
「うん、ありがとう。――そういうわけでどうかな?」
「…………へ?」
「クリスマス――っていうかクリスマスイブ。僕とふたりで過ごしてくれないかな」
それだけ言って思わず顔をそらす。
やや間があって、吉川が――笑い出した。
「あはは! 佐藤くん、顔真っ赤だよ!」
「……しょうがないだろ。こういうの初めてなんだし」
顔の朱が深みを増したのを感じる。
「さっきまであんなに落ち着いてたのに。変なの」
「必死に隠してたんだよ」
「そっかそっか。佐藤くんは可愛いねぇ」
「……うるさいなぁ」
憮然する僕に、吉川が噛みしめるように呟いた。
「――うん、楽しみにしてるね」
「……え?」
「クリスマスイブ。一緒に過ごしてくれるんでしょ?」
前を見ると、吉川はくしゃっとお日様みたいに笑っていた。
……なるほど。これは確かに笑ってしまうかもしれない。
きっと僕もこのくらい真っ赤な顔をしていたんだろうから。




