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魔法未来のヘパイストス~無能の贋作は世界最強の魔法使いを目指す~   作者: Mr.マシンガン
中等部学生編『Only one』
21/26

初日

誤字がありましたら報告よろしくお願いします。少し書き直しました。

翌日、俺は制服に着替えて部屋を出た。端末で教室を確認していると、階段の近くに彼女がいた。


「おはようございます。剣慎さん」

「おはよう。紗姫」

紗姫は俺の姿を見つけると、素早く駆けつけた。


「同じクラスですから教室まで一緒に行きませんか?」

「ありがとう。それじゃあ頼む」

「はい!」


紗姫は嬉しそうに返事をした。俺にとっても端末で確認しながら教室まで行くのは面倒だったので、紗姫の申し出はとてもありがたい。

大方、俺が迷子になるかもしれないと心配で来たのだろう。俺は紗姫に感謝して、彼女と共に俺達の教室のFクラスに向かった。


教室に行く途中、多くの人に何やら見られていたが、『編入生が珍しいのだろう』と思っていたが時折、殺気に近い敵意も感じられたのは気になっていた。だが、前を向くと紗姫が微笑んできたので、俺はそれ以上考えるのをやめて教室の中に入った。


すると、教室内の生徒は一斉に俺達の方を見た。教室は結構広く、中には50人近くの生徒がいた。


視線の中には、見慣れない者への疑問。好奇心。そして嫌悪もあった。

俺は先程から自分に向かっている敵意に疑問を持ちながら、紗姫の方を向くと、彼女は向こうを指さした。


「剣慎さんはあそこの席ですね」

そして、俺はそのまま紗姫に自分の席まで案内してもらい、席に着いた。だが、残念ながら名前順のため、紗姫とは結構離れてしまったようである。


「それでは授業後に」

「ああ、ありがとう」


紗姫に感謝すると、紗姫は微笑んでそのまま彼女の席へと向かった。

彼女が去った後、俺は端末で今日のカリキュラムの確認をして

(歴史学に実習、そして体育か)


軽い確認の後、端末を机に接続させて授業の準備に取りかかった。


「よっ、お前が噂の転入生か?」

前を見ると、椅子に座ってこちらに振り返っている男子生徒がいた。

彼は黒髪に筋肉質で夏というのもあるかもしれないが、日焼けもしており、正直戦闘コースの方がしっくりとくる人物だ。


「ああ、黒崎剣慎だ。よろしく」

「よろしく、俺は暮林彰だ。彰って呼んでくれ」

彼は手を差し出した。俺は彼から差しだされた手を掴み、握手をした。

「俺も剣慎でいい」


一応視てみると

(なるほど、リハビリか)


「それで分からないことがあったら聞いてくれよ。まあ、勉強以外で頼む」

彼はその上、中々気さくであった。

「ああ、じゃあ早速だが」

「なんだ?」

「デバイスの実習にやはり爆破対策は必須か?」

「……剣慎、お前はどこの戦地に行くつもりだ?」


▲▲▲▲


歴史学と言っても、基礎的な事であった。これは家庭教師により、ある程度学習済みであったため軽く教師の話を聞き流して、俺は、授業よりも別の事を考えていた。


(次はどうするか……ショート、ロングは作ったし曲刀なんて代物も以前作ったよな。思いきって槍とか作ってみるか)


今授業でやっているのは獣害についてみたいだ。その中でも特に被害の大きかったものをピックアップしているようだ。今やっているのは丁度、科学崩壊の辺りだ。


科学崩壊。そう呼ばれる事件は聖歴76年に起こった。当時は科学技術が最も栄えていた時代であった。

しかし、問題は起こったのであった。そしてそれはとある一体の幻獣の仕業である。


この幻獣は電脳世界を根城にしていた。この幻獣の出現により、当時の国交の主な手段であった電脳会議も出来なくなってしまったため、多くの国は孤立してしまうのであった。


その後も、この幻獣は人工衛星を都市に落とす。原因不明の株価の暴落等の操作、または秘密裏に設置してあった某国の軍事基地のミサイルを発射される等の多く問題を起こすのであった。またそれと同時に世界各所で現在でAランクのクラスの幻獣が出現したため、混乱していた多くの国は存亡の危機に立たされた。


勿論、その件で滅んだ国もある。日本でも、主な場所だと北海道エリアが陥落して現在も幻獣により支配されている。そのため、東北エリアでは北海道エリアから来る幻獣の対処に尽力することになった。


話は脱線したが、要するに電気を使った科学技術が使えなくなってしまい、通信機能も無くなったのだ。それにより、人類は一度築き上げた基盤を捨てるしかなかった。


そして、かの幻獣は最も危険な幻獣に指定される魔王種の1つに指定され、現在も倒されていない。それは各国が様々な方法で行い、ネットワークに封印という形で済んでいるが、それが永遠に続くかは誰にも分からない。


その各国というのが、それぞれの国で自分達が解決したと主張する原因になっているというのは皮肉な話だ。その辺りが主に国際問題となっていたというのは皮肉を通り越して愚かだと俺は思う。


そして厳密にはその後のとある組織が、その後にも続く科学崩壊を助長させたのだが、それは別の話だ。


「剣慎さん。大丈夫ですか?」

授業が終わり、紗姫が近づけてきた。紗姫は俺を心配している様子であった。

「ああ、少し考え事をしていただけだ。まさかあそこまで程度の低い授業だとは思わなかったのでな」

「剣慎さん!」

「ん?」

紗姫に腕を捕まれ、そのまま教室から出て、階段の近くに連れていかれた。


「どうしたんだ紗姫?」

「良いですか、剣慎さん」

そして紗姫は人差し指を立てて、話し出した。


「あくまでもここは、幻獣と戦うための学習がメインなので、余り授業の質はそこまで良くないのです。ですから、そんな事をあまり周りに言わないで下さいね」


「それは、教師の職務怠慢ではないのか?」

「そ、それは……否定できませんが、ともかく余りクラスの皆を敵に回さないで下さい。教室に居づらくなりますよ」


俺は紗姫を真っ直ぐ見た。

「別に気にする必要は無い。教室なんて紗姫以外に大して興味無いからな」

(どいつも、あまり優秀そうには見えなかったからな)


「わ、私以外に興味無い!そ、それは……つまりわ、私の事が……」

「ああ、大事に思っているぞ」

「大事に!」

紗姫は昨日みたいに急に顔が赤くなっていていった。俺は心配に思い、顔を近づけて彼女のおでこと自分のおでこを合わせた。

「▽%%△▲△●!」

「熱があるようだな」


彼女のおでこはとても熱く、やはり熱があるようだった。彼女が何を言っていたのか分からなかったが、それはやはり具合が悪く無理をしていたのだろう。


俺が離れると、彼女はフラフラしだした。

「きょ、きょ」

「きょ?」

「教室に戻っています!」


彼女は走って教室へ向かっていった。

(具合悪いのがばれて、俺に気にさせない様に、急いで戻ったな。相変わらずの真面目さだ)


「今の見た?」

「見た見た。まさかあれをする人がいたなんて」

「あんなイケメンにされたら、私なら簡単に堕ちちゃうよ!」


何か言っているようだったが、良く聞こえなかった。いつの間にか周りには数人が集まっていて、何故か女子生徒は顔を赤らめてこちらを見ていて、男子生徒からは凄く睨まれた。


俺はそのまま教室に戻った。何事もなかったかのように紗姫は振る舞っていたが、俺が目が合わせようとする度に逸らし、話しかけようにも中々難しかった。

(よく分からないが、さっきので怒らせたみたいだな)


「剣慎、何か姫にしたのか?」

「姫?」

「紗姫さんの事だ。彼女はルックスと性格の良さからな、姫って呼ばれているんだ。他にも天使とか言われてもいるみたいだけどな」

「ほおー、姫か……」

(まあ、紗姫は美人だしな。注目の的になっても可笑しくは無いな)


だが、それはそれで皆に姫と呼ばれているのは少し可笑しいな。後で機嫌が戻ったら呼んでみるか


そしてその日は後に、実習といっても低ランクのデバイス作成と、そして体育も魔法による身体強化無しの軽いランニングであった。正直、こんなものかという失望したのであった。


「こんなのが村雲学園か……」

俺は自室のベッドで横になっていた。


村雲学園が予想よりも遥かにレベルが低い事に驚いた1日であった。

(戦闘コースは少しはましだろう。明日は用が済んだら隼人の所にでも行ってみるか)


こうして、学生生活初日は終わった。


外はすっかり暗くなり、寮の明かりが消えた頃、剣慎も眠りについていた。


(ふふふ、案の定の鈍感さね。面白くなってきたわ)

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