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9/13

前説 締め

「やっさんの表面が怖がられてるわけじゃないと思うんだよな」


息を途切れさせながら、伊東は安田の顔を覗き込んだ。


「……なんだよ」


少し後ずさる安田。愛嬌すら浮かぶ、伊東のにやけた顔を間近で見ることになり、少しだけ慌てた。


「やっさんが皆を避けてるんじゃね?」


夕日が少しづつ濃くなっていく。


伊藤の言葉が、そんな夕暮れへの静寂に混ざる雑踏の音の様に、安田の心に響いた。


「……違うだろ」


一応、返事をするが、それは言葉を零した安田にも、驚くぐらい不自然に聞こえた。


違うだろ。


もう一度、心の中でつぶやくが、まるで疚しいことをしている様に、胸の中が嫌な気分で溢れる。


「そう?」


伊東が問い詰める。


違うだろ。


安田は自らを省みる。



別に避けているわけじゃない。


俺だって機会があれば喋るんだし。


モテるってトコまでは行かなくても。


せっかく学生するって決めたんだから。


だから、もう少し、


もう少し……。




やましさが、水の中で中々混ざらない絵の具の様に渦を巻く。


その色は何色なのだろう。


安田は、それを判断することも、それどころか見ることすら出来ないでいる。



「でも、遠野とは喋ったぜ」


その一言で、刹那に過ぎった想いを振り払おうとした。


「ゆっちーは、ねぇ」


伊東はにやにやを止めなかった。


「やっさんはあーゆう娘、どーなん?」


「んー……まあ…可愛い子なんじゃね?」


「ほっほー」


短い時間の中でにやにやを加速的に増す伊東に気づき、ふと、我に返った


「でも、タイプとかじゃねえぞ!?俺のタイプはもう動かねえからっ!」


「ああ、例の白衣の女神?」


「おうっ!ガチだかんな」


口を結んで、胸元でガッツポーズを作る。


刹那の戸惑いは、今の一言で忘れかけていた。


いや。


忘れようとしたのか。


それを見つめられない事を、今の安田に問うのは酷であろうか。


まだ迷うべき若者に、広がる夕焼けは、ただただ広すぎた。




「そーいえば明日、基礎看護技術論の小テストだっけな」


伊東の残酷な現実が、安田の顔色を変えた。


「あ!そーだった!やっべ!予習全然だよ!」


「……やっさん、懲りんねー」



「コウ!ノート!ノート写させてくれ!?」


「いいけど……俺のあんまり纏まってないぜ?」


「……遠野…またノート見せてくれねーかなあ?」


「それ最悪な」


「かなぁ……」


「やっさん、追試けってーい」


「あーっ!!!!」


安田の叫びと、伊東の笑い声は、偶然高架を跨いだ新幹線の轟音にかき消された。


「だれだよ!こんな看護学なんてモン作ったのは!?」


「んー……そりゃあアレだ。基本はナイチンゲールだろ?」


「そいつ死ね!いっそ死ね!」


「もう、死んでるって……」


居眠りと怠慢のツケ。安田はこの先、何度自分を呪う事になるのだろうか。そんなうんざりとする、おぼろげな未来が、安田の背後で笑っているようだった。




風薫る五月。


気持ち良い風が吹き、これからの季節に心躍る時期。


看護学生、安田尊仁20歳の苦悩は、まだまだ続いていく………



さて、一応コレで一旦終わりです。

やっぱ全然書ききれてないですね。駄文・乱文をお許しください。


設定も大筋も無く、ほぼ思いつきのアイディアで書いたわりには、最後まで纏める事が出来たな、と思ってますが、どうなんでしょうか?(^^;)


やっぱり文章を書くって面白いですね。


まだ続きを書いてみようと思っています。

今度はちゃんと設定を起こして、せめて矛盾が無いようにしないと。


今日までに100人近くの皆様方に覗いていただき、とても嬉しいです。

せめて、お目汚しにならない様、仕事の合間を縫ってコツコツ書いてみますんで、暇があったらまた覗いてやって下さいませ。



次回予告「学生の白衣は意外と丈夫」の巻。 書いておかないと忘れてまうんで(>↓<)





9月の天気の良い日    大室こん

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