表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よいでの根城  作者: 青樹
1/1

プロローグ

 

  一点の曇りもない蒼穹の空。


  暑くもなく、寒くもなく、渇いた風が一陣舞い上がる。


  ハァハァハァハァハァハァー


 走れば走る程、真衣まいの心に空虚が鎮座する。


 纏わりつくいい知れぬ気味悪さに、怖気おぞけを感じ白い腕にはぷつぷつと鳥肌が集り出す。


 なぜ、あの日あんな事をしたのかーー。

 ぞわりと、背中が震え、違うのだと頭を降り

 影を求め、唯一の大木に寄りかかる。


 息を整えるも、呼吸が浅く胸が押さえ付けられたかの様に重く息苦しい。


『よいでの根城 (ねじろ)』


 この地方に伝わる民話がある。

 土着信仰とも言える風習になぞらえた伝承。


 物心着く前から、繰り返し聞かされる。

 おそれを持つ様にと。

 かしこめとも。


 けして、根城を越えてはならん。

 禁域を侵すな。


 よい・日が落ちてくらくなった時。

  ・太陽が地平線の下にあって昏い時。

・・・日没から日の出まで。

  ・差異のあるもの。同一ではない。

・・・外の。別の。特殊な。変わっているなどの意。

  ・外にあらわれる。いずる。いだす。

  ・人体の左右の肩から出ている長い部分。

・・・突出して動くもの。


 手、人体の左右の肩から出ている長い部分。 突出して動くもの。

 手、人体であったものの肩から出ている長い部分。突出して動くものーー。


  目に映る奇怪は、見なかったことにしないといけないよ。よいで様を暴いちゃ、いけないよ。

 好奇心に駆られちゃ、いけない。


 なぁに、怒らせなければ宵出よいで様は優しい方だよ。土着のまも方様かたさまであるんだ。


  怒りに駆られた夜異手様はーー

  あ……が、ーーーーな、…………だからね。


 待って!何て、何て言ってるの……おばあちゃん。

 思い出せないよ。

 私、怒らせちゃっ……た……。






 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ