ツンデレな鶴のおんがえし
たいしてむかしじゃございません。
あるところに、独り身で老いさばってしまった、しがないじじいがおりました。
じじいは、若いころから俺はビッグになるんだ、といきがっていましたので生涯独身無職のだめ人間。今は国民の血税から捻出されている生活保護を受けながら、余生をわびしく過ごしている、生きてるだけではた迷惑な人です。
さて、そんなじじいですが、ある晴れた日に、美少女フィギュアを視姦するためにアニメイトに散歩にいっていたところ、道中で、つけもの石に羽をつぶされている、きれいな鶴を見つけました。
(この鶴を助けないと物語が進まないから、四の五の言わずに助けなさい老いぼれが)
そろそろ天に召されるときも近いのか、じじいは神様の声を聞き、鶴を助けました。
「べ、別に助けて欲しくなんかなかったんだから! 感謝なんか全然してないもん! お、覚えてなさいよ!」
鶴がかわいい幼女の声で、人の言葉をしゃべったのですが、そういう設定は暗黙の了解なので、じじいは別段驚きませんでした。
夕方になりました。最近流行のおたく狩りに遭うわけにもいけないので、じじいはすごすご家に帰り、六畳一間のワンルームマンションで、惰眠を貪るべく布団にもぐりこみます。
そして、じじいがまどろみかけたころ、こんこん、とドアを叩く音がしました。
じじいが応対に出ると、
「たっ、宅配便!」
若い女の子の声です。バイトの子でしょうか。
でも、じじいが印鑑を持ってドアを開けると、そこには宅配便の制服を着た女の子はいませんでした。
代わりにいたのは、なんと和服を着た大和撫子。でも、目つきはツンツンしていて、気が強そうです。あと、髪型はショートカットです。※そこだけは絶対にお譲り出来ません。
はて、宅配便はどうなったのかのう? いまいち状況がわからずじじいが言うと、和服美女はツンとした目を伏せてちょっとしおらしくなり、
「ご……ごめんなさい、嘘なの……。だって、恩返しするために来ただなんて、は、恥ずかしくて、いっ、いえないもん……」
恩返しとは、なんのことかのう? 本当は、この美女が昼間の鶴だということは空気でわかっているのですが、そこは年の功。じじいはわざと、とぼけました。
「ばか……いじわる。わかってるくせに!」
鶴は、真っ赤になって、じじいの胸にしなだれ込みます。その艶のある(略)
それから、潤んだ目でじじいを見上げて、ぽそりといいました。
「さっきの、『宅配便が嘘』っていったの、取り消し。あたし、宅配便しにきたんだもん。届けにきたにもつは……わからないなんて、とぼけちゃやだからね!」
じじいは、ついにわしの時代が来た、と、ほくそ笑んだのでした。
※筆者はショートカットフェチです。