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学園生活は魔女と共に  作者: あまねく
一章 日常へのアンチパスバック
6/24

ナイトウォーカー 2

 事件発生から五日目、この日の夜も調査に出た。

 学校が終わり自宅に帰りつくと、さっそく母に事件を確認したが、予想通り何も進展はなかった。

 いつものように家族三人で四人分の夕食を囲み、雑談をし自室に引き上げたのは十時。寝たふりをして、十一時前にそっと自宅を出た。

 今日は土曜の夜ということもあり、西区側でもそこそこ人を見かけた。

 新街に着くと、そこはいつも通り多くの人が居た。失踪事件なんて無かったかのような状態だ。

 おそらく自分は関係ないと思っているのだろう。確かにこれだけの人が溢れかえっている状態で危機感なんて感じるわけもない。確かに自分も家を出る時までは確かに感じていた不安感や恐怖感というものが薄れてるのを自覚している。

 しかしいくら新街といえどもあと二時間もすれば人は激減する。そこに取り残された人はもしかすると……

 篤志は考えるのをやめた。

 今日は新街ではなく、新街の先にある旧市街へと向かう。

 正直バス事件と、失踪事件は別物だというのが世間一般論ではあったが、昨日の男の話を聞いたあとでは、なんらかの形で関連していると思わざるを得なかった。そうでないと、未だに犯人からの要求もなければ、手がかりもないことに説明がつかないのだ。

 新街から自転車で十分も進めばすぐに旧市街についた。新街と旧市街の間には一本川が流れており、この川が街の境界線となっている。

 篤志はとりあえず川沿いに自転車を停め、歩いて歓楽街へと進んでいった。

 旧市街は戦後、高度経済成長時に建てられたビルが密集し、未だに現役で使われている。かなりの数の店舗が軒を連ねており、中心部は数多くの客引きがひしめき、またサラリーマンや観光客が店を吟味し、練り歩いている。

 試しに客引きに尋ねてみたが、ガキがこんなところ来るんじゃねぇと追い払われた。

 その後もサラリーマンや観光客に尋ねては見たが、手がかりは何もなかった。

 客引きについては散々で、かわいいお姉さんを紹介するからと店に連れて行かれそうにもなった。

 当然収穫はゼロ。どうするか迷っていると、まだ声を掛けていない業種の人間がいることに気がついた。

 タクシーの運転手だ。

 ここは歓楽街。夜も更けると公共交通機関は営業を終えてしまう。客や店はそれに合わせることはない。だからこそ道を埋め尽くすようにタクシーが並び次々と人を運んでいた。

 篤志は早速、客待ちをしているタクシーに近づき声を掛けた。

 昨夜の経験から、自分がなぜ事件を調べているかも伝えると、運転手は少しの同情を示し、邪険に扱われることは無かった。

 多くの運転手に話を聞いて周ったところ、大きな進展はなかったのだが、事件現場についてのいくつかの証言を聞くことができた。

 こういった客商売をしている関係上、多くの人と話をしているようで、集約すると情報量はかなりのものだった。

 まず、バス事件については具体的な情報はなかった。

 ただし、北区の工場地帯が怪しいとは多くの方が言っていたし、その中で現在は使われていない造船所や、閉鎖された魚市場近辺が怪しいとも聞くことができた。

 さらに気になったのは、ネオシティアイランドと本土を結ぶ大橋がいくつかあるのだが、そのうちの一つ、新街北部側からバイパスを通って行った先にある、大橋のそばに、人工島開発の重機やタンカーをおいた場所があるらしい。ある建設企業の私有地で、警察の捜査は入ったものの、広大な敷地を一日で調査できたのかは微妙なところだと言っていた。

 さすがに調査漏れは無いだろうが、少し気になるポイントだった。

 失踪事件については、自宅で襲われた被害者の話や、この近辺の雑居ビル屋上で発見された大量の血痕の話、など複数の話を聞くことができた。

 そこで判明したのが、全ての失踪現場が、血に塗られていたわけではなく、中には荷物のみが取り残された状態で、身分証が発見された例も多々あるようだった。

 篤志はもしかすると事件に関わっていることすらも気づかれずに、行方不明になっている人間も多数いるのではないかと思うようになった。

 当然である。一人暮らしをしている年寄りや、あまり周囲とコミュニケーションをとっていないような人ならば、周りは気がつきにくいし、現場に物的な何かが無ければ、警察に連絡をすることがないからだ。

 これは思っていたよりもかなり根が深く、恐ろしい事件のような気がした。

 

 翌日、事件発生から六日目、日曜日の朝を迎えた。

 この日はあまりに進展しない状況を見かねて朝早くから家族三人で警察署へ向かった。

 警察署は区ごとに分けられて存在しているが、今回のバス事件に関しては中央区が担当をしていた。

 到着すると日曜にもかかわらず多くの報道陣が待機し、また、バスに搭乗していた家族らも多く詰め掛けていた。

 おそらく自分らと同じように、何も新しい情報が無いまま待機することに耐えられないのだろう。

 ロビーで暫く待たされたあと、報道陣とは分けられ会議室に通された。

 そこで警察本庁の担当官から状況の説明があるが、新しい情報は何も無かった。

 具体的にどのような捜査が行われているかの説明もあったが、目撃情報の収集、及び北区工場地帯の捜索、また防犯カメラからの情報収集ということだけであった。

 家族らからは厳しい非難の声が挙がっている。一週間近くが経過しても、何一つ分かっていないことを改めて説明されたからだ。

 不毛な時間が経過していく。

 ここに居る全ての人は、警察が怠惰に捜査をしているわけでは無いことを承知しているものの、不安を向ける矛先が他になく、その不安が怒りとなって警察組織に向けられているのだ。

 現在、担当官は家族らの質問に答えている。二つ三つの質疑応答があったが、その後は質問とも呼べないような捜査方法や現状への不満が述べられている。

 その間母、恵や美雪はずっと口をつぐみ、下を向いていた。

 しばらくの間、言葉の押し問答が続いたあと、担当官は精一杯最善を尽くすことを誓い、本日は解散するよう促された。

 気づけば母はうっすら涙を流していた。他の家族も多くの人が涙を流している。最悪のケースも想像しているだろう。しかしあまりにも情報がない。みな一様に何故消えたという思いを巡らせ、篤志らは深い不安を抱きながら、警察署を後にした。

 その後、みんなで自宅に帰り昼食をとった。

 母と美雪はリビングでテレビを眺めている。どうでもいい旅番組もこの鬱蒼とした空間を少しは和らげてくれているのだろうか。

 篤志は二人に出かけてくることを伝えると、自転車に乗り昨夜同様、調査に出かけた。

 

 自転車で一時間ほどかけ、新街北部、ネオシティアイランドと本土を結ぶ北バイパスへ向かう。

 この道に入ると十分ほどで街並みが工場地帯となり、すぐに近代的で巨大な橋が見えてきた。

 綺麗な歩道も整備されており、緩やかな昇り坂がしばらく続くと地面は無機質なアスファルトから、橙色の着色された石畳となる。

 進行方向から左を向くと広大な海が広がっている。

 逆に右側は内海から河川へとつながっている。港沿いには小型船だけでなく、工業用の資材を運んでいる年季物のタンカーも停められていた。

 また橋の付け根から海側に向かう広大な敷地には倉庫街が広がっている。

 ここは先日タクシーの運転手も怪しいといってた場所で、橋の上から見る限り、人の姿はまばらに有るものの人数は少ない。

 敷地はフェンスで囲まれ、また巨大な通用門も閉ざされていた。現在使用頻度は極端に少ないのだろう。とりあえず今は、そちらの倉庫街ではなく、右手側、つまり港側に見える鉄くず集積所と市場跡地を目視した。

 橋からじっくり観察するが、人の姿はない。進入も容易に出来そうな雰囲気を出している。

 篤志は一路、鉄くず集積所を目指し自転車を走らせた。


 数分で集積所についた篤志は自転車を停め、正門へ向かった。

 日曜ということもあり、正門は人の背丈ほどの鉄の門で閉ざされていた。

 敷地の周りをぐるっと歩いてみる。フェンスで囲われているものの有刺鉄線などは無く、容易に登れる状態だった。

 ただ外からは中が見えにくいように木々が植えられている。手入れもされている様子はなく、歩道側に樹木の葉や、弦が飛び出し雑草が生い茂っていた。

 篤志は木々の薄いところを見つけると、意を決してフェンスを登る。五秒もかからないスピードでフェンスを越えると、無事敷地に侵入することができた。

 積み上げられた自動車が解体されるのを待つように積み上げられている。自動車だけではなく古い漁船や自転車など多くの鉄くずが積み上げてられいた。

 スクラップで出来た山並みは迷路のように入り組んでいる。正門の方をみると、そばに小さな事務所があり、すぐ脇に解体用の重機を納めている倉庫があった。

 さすがに人の出入りがあっているのでその中に、バスがあるとは思っていなかったが、念のため調べてみたが、特に問題は無かった。

 その後も敷地内を歩き回ってみたがそれらしいものは一切なかった。

 あくまで噂で怪しいと言われているだけの情報だったので篤志も期待はしていなかった為、頭を切り替え、次の目的地へと向かうことにした。


 次に目指したのは、魚市場跡地、ここは人工島開発が始まったのち、北区南側の現在地から、北部に施設を移転をしていた。

 現在では二十年程度は放置されている状態だった。

 篤志は知る由も無いが、老朽化が進み、自治体からの要望で近々解体し更地になる予定でもある。


 鉄くず集積所から歩くことを数分、すぐそばの魚市場跡地に辿り着いた。

 進入は容易く、自動車やバイクの入場が出来ないように鎖が張ってあるだけだった。

 過去、柄の悪い暴走族が、鎖を断ち切り溜まり場となっていたが、現在は一掃され、人の出入りは無い。

 放置された長屋のような建物が連なっている。全てのシャッターは降り、錆付いた鉄の柱が長い時間の経過を漂わせていた。

 過去多くの人で賑わい、仲買人が軒を連ねた屋根つきの店舗街は、薄暗く不気味に口を開いている。

 爽やかな潮の匂いに充ちているがその中にかすかに錆びた鉄の匂いも混じる。篤志は意を決して店舗街の中へと足を踏み入れた。

 ほとんどの店舗跡から備品は持ち出されており閑散としている。その中に汚れた手ぬぐい、手袋、穴の開いたバケツなどが転がっている。

 猫はおろか虫すらも居ない、そこは埃にまみれ、海の音だけが響いていた。

 結局手がかりは無く、卸売り市場のメイン会場である建屋へ足向けてみたが特に何も見つからなかった。

 時計の針は十七時を回っている。日が落ちてしまうと家族を心配させてしまうので、いったん自宅へ電話をし、この日は帰路についた。

 

 自宅に帰り着くと陽はすっかりと落ちていた。玄関を開けると夕飯の香りがする。美雪が出迎えてくれた。

 「お帰りなさい。お兄様」

 「ただいま」

 「もうすぐ夕食ですが、お風呂も沸いてますしどうされますか?」

 気配りのできる娘だと思っていたが、感無量だ。

 「だったら夕飯がいいな」

 おなかの虫もさっきから容赦なく鳴き続けている。ここは体の欲求に従いご飯を食べるのが得策である。

 「お兄様。お風呂も沸いてますが?」

 不自然な笑顔で言われた。

 「いや……夕飯を……」

 「お兄様。私、気を使っているですがはっきり申したほうがいいですか?」

 含む言い方である。ちょっとムキになって告げた。

 「俺は腹が減ってるし、夕食が冷めるのはせっかくの料理も台無しだから、ここは先にご飯を」

 美雪が言葉をさえぎり口を開く。

 「お兄様は、聡明でいらっしゃるから、私が何を伝えたいのか、何を察して欲しいのか分かって頂けると思っていたのですが、どうやらそうでも無いようですので、ここはあまり言いたくはないのですが、はっきりと言わせて頂きます」

 ここでひと呼吸置くと美雪は笑顔を崩すことなく洗面所を指差した。

 「汗臭いのでお風呂に入ってください」

 甚だ兄の威厳を重視してくれた発言である。出来る妹とは思っていたが、ここまで思ってくれているとは……。ここで反論するといつもの般若が出てくるので無心で返事をした。

 「はい……」

 美雪は満足そうに頷くと、汚れた服は洗濯籠に入れるように指示し、さらにお風呂の入浴剤の減りが早い事を篤志に指摘すると、キッチンへと向かっていった。

 その間篤志は反論することも出来ず、ただただ話を聞き流していたが、入浴剤を無駄に消費しているのはおそらく母だ。

 心の中で軽くツッコミを入れると、急いで洗面所へと向かった。

 夕飯は昼食とは違い、明るい雰囲気のもと行われた。

 誰もが努めて振舞っていることは分かっているが、表面上だけでも明るい方が篤志もよかった。

 篤志は学校での些細なことを話し、美雪の新しい友達の話題に花が咲いた。今日も三人で四人分の夕飯を囲んでいる状況は異様だったが、それがいつの間にか、父が絶対に帰ってくるという無言の願掛けになっていた。

 明日から母さんは大学で仕事を再開するそうだ。警察とのホットラインもそのままではあったが、今は信じて連絡を待つしかない。その間ずっと仕事を休んでいるわけにもいかず、出勤を決意した。当分の間は、帰宅を早めるらしく、明日の夕飯も母さんがするとのことだった。

 

 時間は夜九時を過ぎている。

 篤志は今日の事を考えていた。それは個人での捜索に限界があること。またこれから一つや二つ怪しい場所を探したところで、何も出てきそうにない焦燥感だった。

 本当は今日、夕飯を摂ったあと、再度北区へ向かい調査をする予定だった。しかし何もかも無駄なような気がしてならない。

 自室のベッドに腰を下ろし、数分間悩んだ結果、今夜を最後に調査を打ち切ることだった。

 これは自分なりに気持ちの切り替えをするための儀式として選択したことを自覚していた。つまりこのまま父が発見されない可能性を受け入れるための最後の調査ということだ。

 篤志は自室の電気を消すと、そっと窓から身を出し、なれた手つきで一階へと降りていった。

 

 昼間と同様の経路で自転車を走らせること一時間弱で目的地周辺についた。

 ネオシティアイランドと本土を結ぶ大橋の側である。今夜は大橋から見て海側に広がる、倉庫街を調べるつもりだ。

 篤志は一度大橋頂上付近から、倉庫街を見下ろす。

 特に街灯や電気の光は何一つなかった。もちろん人の気配もない。進入するためには有刺鉄線のフェンスを越えなければならないが、橋の付け根から海沿いに小道を進んでいくと、小型の倉庫が立ち並ぶ場所となる。そのまま進むと小さな広場になっており、そこは街灯が設置され、駐車場として使われていた。

 そこからなら海沿いに進むことで楽に進入できそうなので、まずはそこを目指すことにした。

 篤志はマウンテンバイクを橋そばの街灯脇に停めると、スライド式の懐中電灯を自転車から取り外した。

 静かに歩いて近づく。街灯が無いため、不気味ではあるが、心地よい潮風が吹いている。ただ、ホームレスの男が言っていた赤目の話が頭をよぎり、その度に考えないようにした。

 今夜は月が明るい。

 懐中電灯の光は余計と思い、ポケットに仕舞う。遠くから見た小型の倉庫街は近づくとと大きく感じられ、月影の闇はより黒く、恐怖を掻き立てる。

 自分の足音が大きく響く。服が擦れる音、呼吸をする音、そして心臓の音までも、波の音と共に聞こえてきた。

 すこし緊張している。手のひらは少し汗ばんでいた。

 今になって思うがバットくらい持ってきたほうが良かったかもしれない。暗闇に当てられ篤志は弱気になる。しかし勇気を振り絞り一歩ずつ前へと進んだ。


 数分ほど歩いていると、何やら甲高いガシャリという音が辺りに響いた。

 それから程なく、女の悲鳴が聞こえ男の叫ぶ声も聞こえてきた。

 篤志は動悸が激しくなり、呼吸が乱れる。明らかな異常事態を脳みそが察知する。

 篤志は少しの逡巡ののち駆け出した。

 すぐに街灯に照らされた駐車場が現れ、自動車が一台停まっているのが見えた。その車の周りに四つの人影がある。篤志が勢いだけで駐車場へ足を踏み入れると、その影の一つが篤志の方を振り返った。

 

 何が起きたのか分からなかった。篤志は気づくと地面に伏している。

 意識が薄れる中、高速で記憶を辿ると、強力な一撃を腹部に受け、吹き飛んだことろだった。口から吐しゃ物が勢いよく出る。

 すぐ目の前に気配を感じた。

 口を拭くことも躊躇わず、前に屈んだ状態で斜めに跳ぶ。

 ヒュッ

 鋭い爪が空を切る。そのまま横に転げ、音のするほうを目視する。

 ごくり。

 思わずつばを飲み込む篤志。

 そこにはうつろな双眸から赤黒い光を放つ人外の生き物がいた。

 

 目は赤く光り、頭部はただれ、二つの短い角の様なものがあった。顔に比べ、口は大きく鋭い牙もある。手には長い爪も見られた。

 篤志はこの異常を現実と受け止める以前に、痛みと恐怖を味わった。

 心臓は異常な速度で鼓動し、腹部は気が遠くなるような苦痛を発している。体中の感覚器官が高速で警鐘を鳴らしていた。

 再度女の悲鳴が聞こえたが、その悲鳴は途中で水を含むんだような音になった。自動車の方までは意識が回らない。

 今はどうやってこの窮地を切り抜けるかだけを思考するが、何も考えが浮かばない。

 一瞬にして数十メートルを跳躍する脚力と、強力な腕力。それに鋭い牙と爪。

 「ちくしょう」

 ぼそっと呟く。

 篤志は美雪と母、そして父に別れの言葉を一言「ごめん」と呟いた。

 その瞬間、赤目は口を大きく開き、眼前に迫った。

 一気に首をめがけて噛み付いてくる。とても避けきれない。せめての最後の悪足掻きと、両腕をクロスさせ防御の構えをとる。

 おそらくこの手は軽々と弾かれ、丸裸の首筋に、暴力的な牙を突き立てられるだろう。

 そう思った瞬間だった。

 ビュッという空を切る音が響くと、轟音が響く。

 同時に赤目の頭部が灼熱の炎をまとい弾けた。

 頭部が破裂し体ごと横にもって行かれた赤目は、今は首から鮮血を噴射させ、倒れている。先ほどまでの血管が浮き出た隆々しい腕は、だらんと弛緩していた。

 篤志は声が出ない。一体なにが起きたのか理解出来なかった。ただ一つ分かったのは生き延びたことだった。

 「ぼうやはそこでじっとしてな」

 辺りに声が響いた。

 透き通るような女性の声が響く方向を見ると、二人の女の姿があった。

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