梅雨
「気象庁が、今日梅雨入りを発表したそうだよ」
「そうか、もうそんな時期なんだなぁ」
高校2年の井野嶽幌は、教室で携帯ニュースを見ながら言った。
「面倒だなぁ」
宮司が、ため息をつきながら、幌に言った。
「食べ物もカビたりするからな。この時期は、特に注意しないと」
今日の夕食について考えながら、幌が宮司に言う。
「それもだけど、服とかも外に干しずらいじゃんか。なかなか乾かなくて…」
「ああ、あるある。そういう時には、室内干しだな。臭いをどうにかしないといけないけども」
「梅雨の時期は、特に雑菌の繁殖が増えるからな」
そこへ永嶋山門がやってきた。
「食中毒が増えるのも、この時期だし。気を付けないといけないことだらけさ」
「でも、お米を育てるためには必要な時期だからね。梅雨がないと」
外をみると、うっとうしいくらいの曇天だ。
だけど、これも必要なうちとすれば、きっと受け入れられる。
幌は、そんなことを思っていた。