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パブリッシングの未来

作者: あまのよしひこ
掲載日:2026/07/07

 まずは、下記のネットニュース記事を読んでほしい。


「はたらく細胞」巡る講談社の謝罪が波紋 漫画家から悲鳴…相次ぐ告発 編集現場とのあつれき表面化

(※1:後書きリンク参照)


 筆者の感想としては『いよいよここまで墜ちたか』だ。


 なんとなく薄々感じていた漠然とした不安。

 パブリッシング ―― 「小説」「マンガ」などの書籍出版だけではない。放送・報道・広告も含めて ―― の質が、近年急速に落ちていることに不安を感じていたが、それが、この記事で確信へと変わった。


 例を挙げれば切りがない。

 先日も某実力派男優(敢えて()()と呼称します)が、女優に対してハラスメントを起こしたという「騒動」。

 この「騒動」の発端となった、いま現在も国会を空転させている誹謗中傷動画なるモノの存在を報道した週刊誌と放送局。

 遡れば、某漫画家の作品がドラマ化された際に、明らかに著作者人格権を侵害され、結果原作者たる漫画家が自死に至った痛ましい「事件」。

 世界最大の広告代理店が引き起こした痛ましい過労死事件。

 そして、ネットに溢れる「ダークパターン」。


 此処、「小説家になろう」とそのグループサイトに作品を投稿している諸兄。

 いまのパブリッシング業界に、自らの作品を委ねる気になりますか?


 残念ながら、私はその気になれない。


 もちろん、全ての出版・放送・報道・広告会社が、この記事のような質の低い会社だとは・・・信じたくない。

 だが、パブリッシングがこのような体たらくになってしまったのには、明らかに業界の構造の変化が起因となっている。


 とある資料(※2:後書きリンク参照)によると、2025年の出版市場の全体の売上高は、全体で1.6%の減少と微減。

 しかし、紙媒体の売上減少は目を覆うばかりで、逆に電子媒体の伸びが凄まじい。

(実際の数字は記事を参照してほしい。ここで注目すべきは、紙媒体の販売金額は「取り次ぎ」ベースのみで、直販は含まれていないことと、電子媒体の販売金額は「読者が直接支払った金額のみ」で、サブスクや広告収入は「含まれていない」こと)



 このデータから読み取れるのは、旧来のパブリッシング企業の「編集力」が急速に落ちていると思われることだ。

 このエッセイをお読みになっている読者諸兄も心当たりがあるはずだ。

 私もそうだが、本屋に行っていないでしょう?

 本を買うとしても、アマゾンや楽天、DMMなどの電子書籍が多いはずだ。


 この電子化は、パブリッシング企業の収益力を大幅にアップさせているはずだ。

 なぜなら「印刷」という過程を丸々すっ飛ばすことが出来るからだ。


「印刷」の工程は、非常に手間が掛かる。

 同人誌出版を経験した方ならお解りだと思うが、印刷物が出来るまでには膨大な人手と手間が掛かる。


①筆者(作者)の原稿

②編集による校正

③筆者との打ち合わせとさらなる修正・校正・デザイン・組み版

④印刷会社と編集・筆者による文字校

⑤色校正&本機校正

下版(げはん)

⑦製版

⑧プレス(印刷)・・・以下、切りがないので(※3:後書きリンク参照)


 電子出版は、これらの工程のうち、①・②・③ 以外を、ほぼ丸ごとすっ飛ばすことができる。

 それはイコール経費の大幅な削減に繋がる。

 だが、これらの工程の省略は大きな弊害を産む、と筆者は考えている。


 それは「編集力」の低下だ。


 当たり前である。作業をしなくなれば技術力が落ちる。

 もちろん、効率化を否定する気は毛頭ない。

 人類文明の発展の原動力が、効率化にあるのは真理と言って良い。

 だが、効率化を追求する余りに失われた技術は数多ある。

 作刀(日本刀 ―― ここでは「古刀」)やバイオリン(ストラディバリウス)など最たるものだ。

 当然エンターテイメントもご多分に漏れない。

 

 AI の発達だ。


 先に挙げた出版工程の①~③ ―― これは、創作の根本部分だが、これすらすでに AI で賄うことができる。


 これも、筆者は否定しない。

 インターネットの黎明期でも、「検索」が人類の知性を退化させると言われたものだ。

 遡れば活版印刷の普及のときにも同じようなことが言われたに違いない。

 では、私が懸念することは一体何かというと。


 それは、「人の心が置き去りにされる」と言うことだ。


 この「人の心が置き去りにされる」という事象。

 時代 ―― 文明や技術 ―― の変革期には、必ずついて回る。

 人類が火を使い、道具を使い始めたことは、争いを生み、後の戦争に繋がった。

 貨幣経済の発展は、貧富の差を生んだ。

 産業革命は公害を生んだ。

 そして、AI は何を生むのだろうか。


 私自身は、AI はほんの少し試してかじった程度だが、正直下手な人間より人間味を感じることがある(もちろん、危険だと認識しているが)。

 だが、少なくとも「悪意を持って」ヒトを騙すことは、()()()()ない。


 翻ってみれば、件の記事の編集者は出版社は、なんだ。


 多くの人々 ―― この界隈に限っても、創作はともかく(これは個人的な意見ですw AI創作も、他人が行う分には、現状では否定しません。筆者は「楽しくない」のでいまのところ AI を使う気はありませんが)、編集は「AI で」、出版は「同人で」いいじゃんと思ってしまう。

 こんな事件が頻発するようでは。



 いま連載中の作品(R-18レイティングなのでご注意!)が完結したら、力試しでコンテストには応募するつもりだけど・・・

 こんなエッセイ書くと、商業出版から声が掛からなくなるだろうなぁw


【引用資料】


※1

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2026/06/29/articles/20260629s00041000134000c.html

【Suponichi Annex より】


※2

「2025年出版市場(紙+電子)は1兆5462億円で前年比1.6%減、コロナ前の2019年とほぼ同規模 ~ 出版科学研究所調べ ~鷹野凌~」

https://hon.jp/news/1.0/0/58293

【HON.jp News Blog より】


※3

【印刷工程】印刷の基本的な流れをご紹介

https://www.ypg.jp/mktg-blog/2025/07/PrintingProcess.html

【ヨシダ印刷株式会社HPより】


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