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「たいていの物語だと、ここで主人公は残された人々に会って、彼らが自分の死を悼む姿を見て、心を浄められて成仏する、みたいな流れになってるだろうけど」
死神は言う。
「そんなのは夢物語だ。人生はそんなに甘くない。そもそも、自分で命を断つなどという大罪を犯したのだから、そんなに簡単に救われたらたまったもんじゃない」
私は死神の言葉に、一抹の不安を覚えた。
「じゃあ一体何をすれば?」
私が恐る恐る尋ねると、死神は意地悪く微笑んだ。
「現実を知るんだ」
「現実?」
「そう。お前が見ていた世界の正しい現実を知って、自分の選択した過去をもう一度見直してみるんだ」
正しい現実?私はぼんやりと考えた。
「ものごとはすべて一面だけではない。立場が違えば見え方も変わってくる。せっかくこうして肉体を離れて自由になれたんだ。自分が見えていなかった面からものごとを見直してみたらどうだ?」
私は急に怖くなってきた。真実を知るのが怖くなったのだ。
そもそも、私が死ぬことを選んだのは、正しいことだったのだろうか。今更だが、そんな疑問が浮かんできた。
「さあ、どうする?誰のところから行ってみる?」
死神はいたずらっぽく微笑みながら私の顔を覗き込んだ。




