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プロローグ

 ー愚かな魂よ、汝に罰を与える。

 おのれの犯した大罪の意味を知り、償うがよい。

 そしてその大罪と等しい償いができた暁には―





 いつもと同じように目覚めたはず、だった。時計を見ると、既に出かける時刻は過ぎていた。重い身体で起き上がろうとすると、なんと、軽々と身体が動く。なにか重い鎖から解き放たれたような、軽い感覚が全身を包んでいる。え?と訝しんでふとベッドを見ると、そこには信じられないものがあった。そう、それは、死んだように眠る私自身、いや、眠るように死んだ私の亡き骸があったのだ。


 ベッド上に散らばる錠剤を見て、私は昨夜の記憶を思い出した。そうだった。私はこの世を去ることにしたのだった。長年付き合ってきた恋人と別れ、仕事で失敗し、親からも見放され、生きる気力を失ってしまった。ひとつひとつは些細なことだが、私の中で積み重なったそれらは、いつしか(おり)となっていった。


 そうか、うまくいったんだ。と思ったが、今ここに存在している私は、いったい……


「やっと来たか」


 ふいに後ろから声がして、私はびっくりして悲鳴を上げた。振り返ると、そこにはスーツ姿の若い男がいた。


「いくらこれでノルマ達成とは言え、毎度毎度面倒ったらありゃしない」


 男はぶつぶつと文句を言いながら、頭を掻いた。


「あの……あなたは?」


 男はまっすぐに私のほうを見ると、ちょっとだけ姿勢を正した。


「俺は、死神。あんたの魂を浄化させるために来た」


 私は頭が混乱して、ただぼんやりと死神と名乗る男を見つめることしかできなかった。



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