【第二話】記憶の残像
【追記】こんにちは。あいなしです。
序章と1話について、いくつかおかしな設定になっていたので改稿させて頂きました。
【訂正部分】
齢4つ→齢7つ
チンピラ→不良
俺は国王に近づき、真正面から顔を見る。
「あんたは...俺の、何なんだ?」
国王は悲しさと嬉しさが混じったような笑顔で俺の顔を見つめる。
そっと、俺の顔の横に手を添える。
「...なんで、そんな顔するんだよ。なんで、何も言わないんだよ。」
俺は添えられた手を振り払う。
「...赤の他人が、そんな顔するわけない。」
「君は知らなくていい。」
「なんだよ、それ。意味分かんねぇ。」
突然突き放されたような気がして、俺は不貞腐れてしまう。
「で、本題はなんだ。」
そう言うと国王は一瞬にして真剣な表情になる。
「君をアステルタ王国の騎士として正式に任命したいんだ。」
「は?」
突拍子もないことを言われ、俺は口を開ける。
「...正気か?俺のような得体の知れない不良に国の騎士団長になれって?」
「僕は...シンに...」
「なんで俺の名前を知ってるんだよ。」
国王は顔を下に俯けてしまう。
「知ってること全部話せ。気が狂うんだよ、あんたと話してると。」
俺はじっと国王の目を見る。
青く美しい瞳をしている
でも、彼の目にはどうして
光が宿っていないのだろうか
ここにいるはずなのに
生気を感じない
コイツのことをもっと知りたい。
「シン。」
彼は俺に再び近づいてくる。
なぜ、懐かしく感じるのだろう
どうしてこの声が愛おしいと感じるのだろう
『僕たちは⸺で生き延びるんだ。』
急に忘れていた記憶が蘇る。
...レイ!!
全て思い出した。
あのとき、彼は俺と一緒に逃げたんだ。
ホワイトローズ郷が滅びても
俺たちはどこに行っても生き延びてやる。
そう約束したことを。
どうして思い出せなかったんだ。
「お前、レイなんだな...?」
俺はレイの顔をじっと見つめる。
レイは微笑んだが、その瞳には光がない。
「...思い出さなくて、よかったのに。」
「なんで急に居なくなったんだよ。」
レイに問いかけてみる。
「...もう君は僕と関わるべきじゃない。」
「誰がそんなこと決めたんだよ。」
「記憶の残像って知ってる?」
「記憶の残像?」
そう聞き返すと、レイは横に飾ってある額縁にそっと手を置く。
「命は何度も繰り返されることはない。
でも、残像は何度でも命を繰り返すことができてしまう。」
「...何を言ってるんだ。」
レイは腰にある鞘から剣を抜き、自分の首に刃を向ける。
「さっきから意味が分からない...バカな真似はよせ!」
「...ごめん。あのとき、約束を守れなかった。」
⸺やめろ!!!
そう止めようとしたときには、レイの姿はどこにも見当たらなかった。
見えるのは、真っ白な天井だけだ。
ベッドから降りて辺りを見回すが、気配すら感じない。
「...夢?」