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【第十五話】生まれ変わり

あいなしです。

今までの謎の真実が明かされていきます。

来週からはシン視点に戻ります。

よろしくお願いいたします。

神は堕天すると魔王にしかなれない。


でも、アステルタの国王と神の責務を全て放棄してまでひとりの人間を愛したグエンであれば


たとえ身分が魔王であっても

人間と偽って生きていくとしても

人間界で暮らしていけるだろうと信じていた。





「⸺全て私の責任だ...すまない。」



事の経緯をシンに説明した。



「...ルカは人として生きたいと思って道を外れた父さんのことを、その道を信じたいと思っただけだろ?

だから、別に謝ることじゃない。」



人間に励まされるなんて、情けない。

でも同時に、少し安心してしまう。

複雑な気持ちだ。



「...あと、気になることがある。

母さんと一緒に生きていくために、なら

なんで父さんは母さんを殺したんだ?」



そのことを疑問に思うのは当然だ。


ここまで話したなら、全て真実を教えてるしかない。



「殺した...いや、正確には、殺すしかない状況だった。


様々な不幸が重なってしまった。」


「様々な不幸?」




「...シン、母親の名前を知っているか?」


「いや、ずっと聞かされてなかった。」




「やはりグエンは教えてすらなかったか。」





私も名前は知らないが

グエンの魂を抜き出したあと、小屋の中を確認したら赤子のシンがいた。


体に触れてみたが、体と魂は明らかに自然に生まれたものではなかった。


それに、脳内で彼女らしき者が見えた。


...白い髪に青い瞳の女。





「これがどういうことか、分かるか?」


「...まるで、俺とレイ。」


「そう。彼女は確実にフォルテ家の人間だ。」





だが、シンは体も魂も現実で存在している。

つまり、彼女の体と魂はシンとして作り変えるために使われた。


フォルテ家はたとえ血の繋がった家族でも、裏切り者であれば殺すまで一生追い続ける。


だが彼女が記憶の中でしか存在しない者になれば、追われ続ける心配もない。




「...俺は母さんの生まれ変わりってことなのか?」


「理論上はそういうことになるが少し違う。」




グエンが堕天する前に、彼女の体と魂はとっくにシンに作り変えられていた。


だが、シンと体と魂を作り変えるのに彼女の力はほとんど使い切ってしまっていた。


グエンがホワイトローズ郷を作り出した理由も、シンが長く生きれるようにと死人の魂をシンの命の足しにするためだ。




だから、シンは生まれたときからフォルテ家の魂を継いでいる。


ホワイトローズ郷が滅びる直前、死にかけていたシンに

レイが自らの魂をシンの命として繋げたのはその影響だ。


レイはそのことを知らなかったようだが、フォルテ家特有の神と同等に強力な魂を、血の繋がりすらないものに移し替えることはできない。




...だが問題は、レイの個人的な願いによって作り出された記憶のせいで

シンの記憶処理能力はキャパオーバーを繰り返して年々弱まっていることだ。


シンの脳内で生き続け、シンが未だに存在しない記憶と現実の世界の区別がつかなかったのもそれが理由。





「...これが私の知る、全ての真実だ。」

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