【第十二話】罪と祓し
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あいなしです。より小説としてのクオリティを上げていきたいため、来週からは毎週2〜3話分の投稿ペースになります。よろしくお願いいたします。
ルカのビジュアル解禁です。
「...。」
ルカは冷静に振る舞おうとしているが、どこか苦しそうな、動揺した表情をしている。
「⸺あの日、私は神の代理として
ホワイトローズ郷を。
お前の父も。
お前の親友も。
...全て、裁いた。」
その言葉を聞き、憐憫の情と同時に怒りがこみ上げてきた。
いっそのこと、悪意を持った第三者がホワイトローズ郷を滅ぼした。という話であったほうがよっぽどマシだ。
兄のように想ってきた大事な側近が、故郷を滅ぼした犯人だと信じたくなかった。
それに、ルカは悪意を持ってた訳ではない。
『神の代理』という立場を守り行動した末の結果、ホワイトローズ郷は一面焼け野原になった。というオチだった。
俺はベッドから降りてその場に立ち上がる。
今にでも殴りかかりたい気分だが、ルカが完全に悪者ではないことが頭によぎってしまう。
「...殴りたければ好きなだけ殴れ。」
そう言ったルカの顔には目に光がなく、酷く憂いな表情をしている。
「本当はシンも殺さなければいけなかった。
やはり、私は神にならなくて正解だな。」
「...なんで、俺を拾ったんだよ。
あのとき死にかけてたんだろ、なら殺せよ。」
「...シンの顔が、かつての友であり、お前の父親でもあるグランにそっくりだった。
それも、人の愛を知った直後のグランの顔に。
⸺私は直接グランを殺したというのに、このザマだ。
シンの雰囲気だけで、人間として大切に育てられたというのが伝わってきた。
この子ならグランが犯した過ちをすることはないだろうと、人間らしい強さを持つ男に育つだろうと、心のどこかで期待してしまった。」
俺は人間として、父さんに。
そしてルカと今の親父に、育られてきた。
だが、人と神の間に生まれた俺は
確実に普通の人間じゃない。
苗字も父さんが作り出した偽物がずっと引き継がれているということになるが、本来なら使い続けていいものではないはずだ。
「...俺に情けをかけてるのか?」
どう返答していいか分からず、俺は咄嗟にそう答えてしまった。
「情け...か。
私は今まで、愛や負といった情を避けようとしてきた。
そうしないと魂を裁くのに正常な判断ができなくなると分かっていたから。
でも、そうかもしれないな。」
ルカは俺を拾ってくれた頃からずっと、どこか憂いな表情をしているときがあった。
⸺今俺がしてあげられることは。
「...ありがとう。」
俺はルカをそっと抱きしめた。