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24 巣①

 ということで、拠点の全体像をハッキリさせるべく、僕は今一度拠点内の物を全て表に出してみた(当然、寝床を作ったばかりのイガマキは泣いた。すまん)。


「やっぱ小さいな……」


 空になった焚き火・資材置き場・食糧庫の最初の三部屋をざっと見て回り、改めて思う。元々独り暮らしを前提に採掘(つく)ったのだから当然だが、体格差問わず計十四名が暮らせる規模を遥かに超えていた。


 なので三部屋と風導・イガマキ部屋を隔てる壁を取り払い、焚き火部屋を中央広場に見立ててみる。台風に家を追われたイガマキを思うと、依然安否不明のフンコロガシを始め他の生物も身を寄せてくる気しかしない為、広いに越したことはないと踏んで思い切ってみた。


「こんな感じかな?」


 事細かに確認しつつ、最後にもう一度俯瞰で見てみると、寝相を気にせず寝転がれる広さと奥行きを確保できていた。風導が動き回るには充分だろうと一先ず皆を呼んでみれば──、


「「「「「モケ!」」」」」

「イガー!」


 風導とイガマキは大変お気に召した様子で早速鬼ごっこを始め、レッドドッグは再び焚き火跡の傍で眠りについたのだった。


 レッドドッグも申し分なしと判断して、僕は採掘を再開する。今度は資材置き場と食糧庫に着手する。

 前者二部屋も以前同様、中央広場の両壁際に、今後の資材・同居者の増加に備えて広めに採掘。更に出入口に溝を掘り、敢えて残しておいた岩の塊でスライド式の石ドアを作って設置すればそれっぽくなった。


 そして──、特にリフォームの要望もない風導・イガマキ部屋を一気に採掘(つく)れば、拠点拡張完了だ。


「……愉しいな」


 思うがままに採掘(つく)っているうちに、思わず口元がニヤける。テンション上がってきた。


 折角なので他のところも細々とイジってみる。


 先ず最初に焚き火をしている床面を四角形に掘り下げる。そこに石の調理台を置いてみれば床炉の完成だ。

 更にそこに燃え(カス)と灰を敷き詰めていけば、いずれ食材の串焼きを立てられるようになる。これは雰囲気の問題だが、独自に文明を発展させているみたいで中々愉しい。


「そうだ……!」


 ある思いつきに、僕は指をパチン──と鳴らす。

 今後も発展──即ち同居者が増える可能性があるのだから、今のうちに寝室を増やしておこう。予め用意しとけば即入居対応できるし、結局来なかったとしても第二・三資材置き場なりにしてしまえるから一石二鳥だが……──、


「絶対場所足りないな……」


 フンコロガシが無事生存していたとて、彼もしくは彼女を通じて大量に来られでもしたら、採掘するうちに「狭くね?」と再拡張するのがオチだ。そうなったら今日の意味がなくなってしまう。それだけは避けたい。


 ならばどうするか。階層を採掘る。

 ということで、中央広場の最奥に螺旋状の階段を採掘(つく)っていき、一定間隔の深さに達したら横穴を開けて一本の廊下になるよう採掘する。こうしておけばいつでも部屋の採掘に取り掛かれる仕組みだ。


「それはそうと暗いな……」


 サバイバル生活も相まって夜目は利く方と自負するが、目を凝らしたとて暗いものは暗い。夜目にかまけて採掘箇所を間違えては事なので──、


「流石に点けるかぁ」


 一度中央広場に戻って自身の荷物を漁り、暗いところで星の如く点灯する発光石を幾つか取り出す。実は一昨日、イワビタン加入直後に赴いた出先の洞窟で見つけたのだ。

 これを採掘場所に設置し、手元を明るくしながら掘り進める。これを繰り返しながら奥へ奥へ……と潜っていくが、これが良くなかった。


「うわっ……!」


 かなりの深さまで採掘したところで巨大な空洞と繋がってしまったのだ。

 見つけてしまった以上は危険性がないか調査せねばならない。非常に面倒くさいと後ろ頭を掻きながら空洞に降り立ったそのときだった。


 ──…………ゾウゾ……。


「ん?」


 僕は妙な音を検知した。

 何か居るのか? 最大限注意を払いながら発光石を空洞の奥に転がしてみると──、


「「「「「ムシムシムシムシムシ」」」」」

「げぇっ!」


 中から大量の巨大アリが迫って来ているではないか!


 リドゥは巨大アリの巣とカチ合ってしまった!

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