第197話 エリカちゃんとネコの怨返し
第197話 エリカちゃんとネコの怨返し
チェーン荘では小さな猫ちゃんがいました。
「ねえ、化け猫さんどうしたの?」
ニャーニャー鳴いているのですがなんといっているか海斗君には解らないのです。
「えー!舎弟の猫ちゃんが工事で追い出されてひもじい思いしているの?」
「ニャー(私の初恋の子なんだ)」
「そうなの? じゃあ工事の邪魔しに行く?」
「ニャー(八つ裂きにするのだー)」
「八つ裂きにするのー? 手伝おうか?」
「ニャー(頼むよー)」
そんなことでエリカちゃんと化け猫さんは夜の工事現場に行くのでした。
工事現場
そこは、バリケードで囲まれていて中の様子をうかがうことはできなかった。
「ニャー(ここです姉御)」
「ここが君の舎弟を追い出した工事現場なのね」
「ニャー(でもバリケードで封鎖されてますよ)」
しかし、けたたましいエンジン音と共にバリケードは切断されてエリカちゃんは中に入ったのでした。
「師匠、どうやれば鉄のバリケードを斬れるのですか?」
途中で呼び出した弟子のしずくちゃんが合流していたのです。
「普通に斬っているだけだよ」
「刃こぼれしちゃいますけど……」
「こうするのよ!」
エリカちゃんが跳躍して チェーンソーを振り下ろすと荷揚げ用のクレーンが大きな音を立てて切断されるのですが、しずくちゃんがローラーに向けてチェーンソーを振り下ろしても、ガチンと音と火花が散り切断される様子はありませんでした。
「師匠、やっぱり斬れないのですけど……」
「おかしいなーこんなもの簡単に斬れると思うけど」
「エリカちゃん普通はバリケードやローラーはチェーンソーでは斬れないから……」
「それが奥義なのよ」
ドヤ顔でエリカちゃんは言ったのでした。
「ニャー(工事現場を破壊しても工事をする人がいたら解決しないと思います)」
「次は工事関係者の社員寮に行くわよ」
エリカちゃんは建設会社の寮に行くのでした。
目の前に大きなアパートの姿があった。
「エリカちゃん、門がオートロックみたいだよ」
「そんなのロックしても斬れば問題ないでしょ、一番簡単なオートロックの突破方法でしょ」
物理的にロックを突破すればオートロックなぞ無意味なのです。
けたたましいエンジン音と共に門を破ると警報装置がビービーなり始めたのです。
建物の中で赤い光がてかてか視し始めて
「うるさいわね、にゃんこの恨みー!」
「エリカちゃんそれは?」
エリカちゃんは工事現場から溶接・切断用の酸素、アセチレンのボンベを持ってきたのです。 そしてぶった斬ったのです。 隣の部屋の蛍光灯を斬りつけ火花が散り始めているのでガスが来れば大爆発します。
「てっしゅーよ」
「エリカちゃんやっていることがテロリストだよ……」
エリカちゃんがアパートの敷地を出ると大爆発が起こりアパートが火に包まれたのでした。
そして、アパートと工事現場に『ネコの怨みここにあり』と張り紙をしたのでした。
しばらくの間、街でネコが恐怖の代名詞となったのでした。




