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ガチャにはお供え物が効く(個人差があります)(女子高生わちゃわちゃ。文芸部員たち)

作者: 飛鳥井作太
掲載日:2021/08/03


 夏休み。八月に入ったばかり。九月の文化祭のため、寮にはまだまだ帰省していない連中の方が多い。

 前期の〆切を越え、印刷・製本も乗り越えた。今は、束の間のひと休み期間。

 部室では、宿題をする者、ゲームをする者、読書をする者など、それぞれが自由に過ごしている。

 そんなある日の遅い朝。

「ぐぬぬ……来ない……」

「どした、かおる?」

 自分のスマホに向かい唸り声を上げる後輩に、僕を心配になって声をかけた。

「千代金丸が……来ません……」

「ああ、刀のゲームか……」

「刀は天井ないんだっけ?」

 彩が問うた。彼女は、このゲームをしていない。

「この場合は無いですね……」

「つらみの極み」

「ぐっ……資材も底をつきかけてるのにっ」

「今回のはお千代ちゃん居た方が楽だからなぁ」

 あおが、のんびりと言った。

 藍のスマホ画面も、同じく刀のやつだ。こちらには、きちんと青髪の青年が映っていた。

「いる人はいいなぁ」

「殿ちょは居ないの?」

「居ないねぇ。来たらいいなあ程度で回してはいるけど、深追いはしてない」

「持っている人も、自分のペースで楽しめる人も羨ましい……己の煩悩が憎い……」

 郁が、机に突っ伏しながら呻いた。

 その姿があまりに可哀想なので、つい、

「あー、じゃああれやれば? お供え物」

 口を出してしまった。

「おそなえ……?」

「僕も四年前、漱石先生をお迎えするために羊羹とおしるこ缶を供え続けた」

 錬金術的なあれそれで文豪をお呼びするゲームで、中学の時からハマっている。

「あったな。そのお蔭でお前さん、一時期先輩たちから羊羹とおしるこを大量に貰ってたよな」

「好き認定されてたよね。私も好物なのかと思ってたよ」

「それで、来たんですか?」

「来た。更におしるこサンドも増やしてお供えして潜書させたら来た」

「マジか!!」

 まあ、一ヶ月くらい続けた先の話なのでアレなのだが。

「お千代ちゃんは沖縄刀だから、沖縄のもの?」

「今からデレステやるから『いとしーさー♡』MV流しとこうか?」

 怜が、アプリを起動しながら問う。

「じゃ、ワシ今から自販機行くから、シークヮーサーサイダー買って来てやるよ」

 藍が、財布片手に立ち上がった。

「も少し時間くれれば、駅前のスーパー行って、サーターアンダギーでも買ってくるべ。今から僕と彩、駅前行くからさ」

 僕が言って、彩もうなずく。

「み、みんな……!」

 郁が、感動に打ち震えた。

 これら提案ののち、とりあえず今は『いとしーさー♡』MVで一度回し、二時間後にシークヮーサーサイダーとサーターアンダギー、『いとしーさー♡』MV三段重ねで回すことになった。

「俺、がんばりまっす!!」

 郁の瞳がキラキラと輝いている。

 ああ。助け合いは、善きかな善きかな。




 ……結果。

 郁のもとに、千代金丸は来なかった。

 来なかったけれど、寮全体が沖縄モードになった。

 自分たちでゴーヤチャンプルーやソーメンチャンプルーを作り、サーターアンダギー、ちんすこう、紅芋タルト(ぜんぶスーパーに売っていた)をデザートに、シークヮーサーサイダーで乾杯をした。

 なかなか、沖縄祭りは盛り上がった。

 なんくるないさー、いつかくるさー。

 郁も、無我の境地に行けたようだった。


 夏は、まだまだこれからだ。


 END.


こちら【https://ncode.syosetu.com/n3876hc/】の面子です。

夏休みのわちゃわちゃ。

お供え物は、効いたり効かなかったりします。

物欲センサーを抑える方法が発見されたらノーベル平和賞ものだと個人的に思ってます。

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