最終話 知らない星
「マーツェ、いつまでも動画を見てないで早く寝なさい」
パジャマ姿のカリョがコックピットに顔だけ入れている。後ろにいた俺はヘッドセットが無くてもだいぶ聞き取れていた。細かいニュアンスはまだまだだがカリョに教わっていれば覚えるのは早いはず。
俺とカリョはトラックの屋根に上がった。
ひんやりとした空気。裸足に屋根の冷たさを感じる。村の方に目を向けると家々が立ち並ぶその屋根の上、中央通りのかがり火が夜空をほんのり茜色に染めていた。
宴はまだ終わらないらしい。
Tシャツとパンツ姿の俺は寒さをこらえ、TCを屋根に立てて照明にする。エアマットレス二つを膨らませ、ファスナーで繋いで屋根に敷く。封筒型の寝袋は広げると一枚のシートになり、それを二枚内側を合わせてファスナーで繋げれば大きな寝袋になる。
外の空気は冷たいけど寝袋の中は暖かい。
カリョと入って横になる。
寒くない?
うなずくカリョは俺の腕の中で丸くなる
おでこにキスして抱きしめる
月の無い夜
満天に無数の星が散らばり
その星明りが降り注ぐ
どこに俺の星はあるのか
まぁいい
俺はこの知らない星で生きてゆく
―― 完 ――
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