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感染都市  作者: Duca
7/8

図書館探索開始

投稿が遅くなり申し訳ありません。投稿頻度についてですが活動報告の方にも書かせて頂いております。今回の投稿以降次話の投稿が1週間から2週間に一回となります。

これからも感染都市をよろしくお願い致します。



図書館の敷地内に入る。


「…ん?」


最初に気がついたのはあの日落とされたカプセルが無くなっている事だった。


「カプセルはどこにいったんだ?落ちた跡が残ってるってことは落とされたのは間違いないはずだけど…。それに周りで倒れていた人達や死んだ人達もいなくなってるな。ゾンビになったと思った方がいいか?でも、頭が潰れた人までいなくなってるのは少しおかしい気がするし…」


大河は敷地内を歩き、そのまま自分が気を失った所まで移動する。その途中不意に何かの音がした。


「っ!…な、なんだ?」


大河は辺りを見渡し図書館の離れにある小屋から「コッコっ」と何かを叩く音がすることに気づいた。


「小屋…?こんなのがあったのか。…確認した方がいいけどすぐ近づくのは危ないか?とりあえず何か投げて音を立ててみるか」


大河は地面に落ちている小石を拾い小屋の扉に向けて投げる。小石は扉に当たりその拍子に扉の金具が取れ扉が外に倒れた。


「うぉっ!やっやばい、壊しちゃった…」


まさか扉が壊れるとは思わず少し大きな声で驚いてしまう。それに気づき大河は咄嗟に草むらに隠れ口を抑える。

大河が隠れてからすぐに小屋から何かが出てきた。

「それ」を見た大河は目を見開いた。「それ」は髪が背中の中ほどまで伸びて顔も隠れており、服は白いワンピースを着て一見よく見る貞子のような見た目をしている。しかし「それ」の手足はドロドロになっており原型をとどめていない。更に目の部分からは人間の目ではなく細い触手のような物が沢山出ていた。


「(な、なんだあれは!?誰かがコスプレしてるには趣味が悪すぎるぞ!)」


コスプレではないと分かっているがそう思わないと大声を出してしまう。

大河が内心で絶叫していると「それ」は辺りを見渡した後小屋の方に向き目の触手を伸ばし小屋の中にある物を外に掴み出した。触手が掴んでいたのはノコギリだったようでそのまましばらくノコギリを触手で掴んだまま振り回している。


「(あいつは何をしているんだ?だが、幸い僕のことには気がついていないようだししばらくこのままでいよう)」


「それ」はしばらくするとノコギリを振り回すのをやめ、ジュルジュルと音を立てながら正面出口から出て行った。


「っはー!はー!なんだよあれ…ゾンビですらないぞ…この都市は一体何があったんだってんだ」


大河はあまりのことに思わず悪態をつく。


「これは何が何でも手掛かりを見つけないとな。分からないことが多すぎる。まずはあいつが出てきた小屋から見てみるか」


大河は小屋に近づく。中を覗き込むと中には庭掃除用の掃除道具や備品の補充分などが入っておりどうやら倉庫のようだ。


「ここは倉庫か。けどどうしてあいつはこんなとこにいたんだ?…ん?あれは…」


大河は倉庫の端っこに小さな机と一人だけ座れる椅子が置いてあることに気づく。そしてよく見るとそこには一冊の血で濡れたノートが置かれていた。


「ノート?掃除記録か何かか?…血が…書いた人はどうなったんだ?無事だといいが…」


大河はノートを開く。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜庭師の日記〜


May(五月) 8. 2065


今日も私は庭の手入れをする。

ここで働く事になってから思えばもうすぐ四十年になる。この図書館のオーナーである西条鹿目(さいじょうかなめ)さんにスカウトされ当時は私に庭師?と思ったがいざやってみるととても楽しかった。

鹿目さんにはとても感謝している。生涯私はここの庭師をしているだろう。



May(五月) 14. 2065


今日も私は庭の手入れをする。

毎日図書館には多くの人が訪れる。鹿目さんも本の素晴らしさが多くの人に知ってもらえてとても嬉しそうだ。

時折庭に散歩に来る人が私に素敵な庭ですねと褒めてくれる。それが私にはとても嬉しい。もっと色々な人に見てもらいたい。



October(十月) 21. 2065


今日も私は庭の手入れをする。

最近鹿目さんの様子がおかしい。私の前ではいつも通りだが一人でいる時などは何か思い詰めたような顔をしている。何かあったのだろうか…



October(十月) 30. 2065


二十五日の朝に何かが降ってきた。私は図書館の離れにある倉庫に咄嗟に隠れ潰されていく庭、人、建物を窓から見て絶望した。



October(十月) 31. 2065


この日見た事を私は忘れないだろう。


あの日すぐ倉庫に隠れた自分自身を呪うだろう。


外が静かになっていたからといって見に行かなければよかった。


図書館の入り口前で頭が無くなった鹿目さんを見て私は…吐いた。


涙が流れながらも吐いた。吐いてしまった。


鹿目さんを見て私は…



November(十一月) 1. 2065


あの後私は鹿目さんの遺体を倉庫の裏手に埋めた。

私はこれからどうすれば良いのだろう。鹿目さんが死に、庭が壊され、人の死体が至る所にあり、謎の塊まである。


私の生きる意味はあるのだろうか?いや、無い…。


鹿目さんを見て吐いてしまった事に対してのせめてもの償いに私はこのまま餓死して死のうと思う。鹿目さん、もう少しお待ちください。私も近いうちにそちらに行きます。



November(十一月) 7. 2065


もう1週間近く何も口に入れていない。

だというのにまだ死ねない。それだけ罪が重いという事だろう。



November(十一月) 10. 2065


体が思うように動かない。そろそろ死ぬのだろうか。

今日はとうとう幻覚が見えた。倉庫の扉から鹿目さんが入ってきたのだ。ああ、鹿目さん自身がお迎えに来てくださったのですか。今、そちらに行きます…


〜以降血で濡れており読めない〜


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「これは…あの日が十月二十五日だったのは分かった。そして十一月一日まではまだ死体やカプセルがあった…そして最後の鹿目さんっていう人の幻覚はさっきのやつか?」


大河はノートを読み、書いてある事をまとめていく。


「日付がわかったのはいいけど今が何日なのかと庭師の人の遺体がないこととかあいつの正体も分からない…う〜ん…」


考えても分かるはずもなく、とりあえず倉庫の外に出る事にする。


「動くな!!!」


外に出た大河に向けて右側から大声が聞こえた。



最後まで読んで頂きありがとうございます。


また、今回の話で出てきた西条鹿目さんですが、気づいている方もいるかもしれませんが第3話で大河が図書館入り口前で混乱している時にたまたま隣にいた悲鳴をあげ頭を潰される女性が鹿目さんです。


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