帰宅
言うのが遅れましたがブクマ、評価ありがとうございます。
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。
2019年8月30日午前3:46 誤字修正
玄関の扉を開く。
扉を開き最初目に映ったのは犬が人間を食べているところだった。犬は扉が開いた音でこちらに気づき全力でこちらに向かって走ってきた。
「うぉっ!犬!?」
そのまま大河は押し倒され犬が噛み付こうとしてくる。大河は犬のありえない程強い力で押されながらも咄嗟に左手で犬の首を掴み顔を上に向かせ、右手で犬の左前脚を掴んだ。
大河は掴みながら犬を見る。犬は俗に言うゾンビ犬と言うやつだろう。その証拠に犬の体の所々に肉が無く骨が見えており、腐っているようにも見える。
そうしてしばらく力勝負をしているとゾンビ犬が突然暴れ出した。そのまま玄関の棚に当たり上の棚に入れていたものが色々と落ちてきた。
落下してきた物の一つであるハンマーが大河の顔すれすれの所に落ちてきて肝を冷やすが大河は右手を離しそのハンマーを手に取りゾンビ犬の眉間にハンマーの釘を抜く方の先を叩きつけた。犬が怯んだところを大河は突き飛ばし距離を取る。犬は倒れしばらく暴れていたがすぐ動かなくなった。
「はー…はー…!咄嗟にだったけど倒せた…。僕にもこんな動くが出来るのか…常に出来たらいいのだが…。と、そんな事よりあの人は大丈夫なのか?」
大河は食べられていた人に少し近寄る。その人は頭と腹を食われ既に死んでいた。着ている服が家族の物ではなかったので誰なのかわからないが家族の誰かではないのだろう。ゲームや映画では頭を攻撃すればゾンビは倒せるとなっているが実際はどうなのかわからない為そばまで行くことが出来ない。先程のゾンビ犬もまだ生きているかもしれないので注意して進む。
リビングに入る。あの日の朝、ここで母が筋トレをしていた。
「母さん…いる?大河だけど…久志…いるか…?」
家族を呼びながら家の中を探す。だがどこからも返事は返ってこなかった。
「どこに行ったんだ?部屋にもいなかったしゾンビ犬や食われてた人から逃げたのかな…?」
家族がどこに行ったのかを考える。母はあの体なので腕っ節はかなり強いがゾンビ相手ではわからない。久志は本ばかり読んで母と筋トレをあまりしていなかったのでゾンビ相手だと逃げるしか無いだろう。
「父さんは…今どこだろう?」
大河の父、東博雅は新種の細胞を探す仕事をしている。海上都市へ転勤になったのも父の腕を買われたからだそうだ。父はあの日朝から会社に出ていたので大河は顔を合わせていなかった。
「とにかく僕もみんなを探しに行かないと。出発の準備をしてゾンビにも対応できるようにしておこう」
家の中で今後使えそうな物を探す。先程犬に叩きつけたハンマーは持っていくとして他にも包丁、麺棒を用意する。後、ゾンビの気を引かせるため花火&チャッカマン、防犯ブザーを用意する。
大河は二階の自分の部屋に行きリュックサックを押入れから引っ張り出して中に用意したもの次々と入れていく。包丁はそのままだと危ないので鞘に入れてからリュックに入れた。
後は食料があるか探さないといけないのでリュックを背負い一階の台所へ向かう。だか、台所を見た大河は絶句する。
死んでいた人にやられたのか冷蔵庫が開けられており中のものが全て腐っていた。他にも冷蔵庫に入れなくてもいいものは全て開封され至る所に散らばっていた。
「………………」
あまりの悲惨さに大河は言葉が出ない。大河はしばらく呆然としていたが少しした後まだいけるものはないか探す。
そして探していると洗剤を入れている棚の奥に飴玉が沢山入ったスーパーなどで売っている市販の袋とカンパンの缶が入っていた。
どうやらこの二つは荒らされておらず、洗剤の入った棚ということでちゃんと奥まで見ていなかったのかもしれない。
大河は飴とカンパンを取り出す。そしてカンパンにメモが貼られているのを見つけた。メモには「非常用の食料。気分で買ってみた。カンパンと飴は定期的に買い直してるから賞味期限も過ぎて無いし美味しくいただける。やったね。by久志」と書かれていた。
「久志…ありがとう……!どうか無事でいてくれ…!」
久志の気まぐれで助けられた大河は未だ行方の分からない久志の無事を祈る。
食料の用意も出来た大河はリュックの中を見て用意忘れが無いかを確認した後犬と人の死体が動いていないか確認し、玄関から外に出る。
「とりあえずの目標は家族全員見つけ出すことだな。あと他にも生存者がいないかという事と食料探しもやってかないとな」
久志のお陰で食料が手に入ったがそれでも量が少なくそんなに日が経たないうちに尽きるだろう。それに飲み物も探さないといけない。学校で起きてから何も飲んでいないので早く何か飲まないと後が苦しくなる。
「まずはどこに向かおうかな…?あ、図書館に行こう。あの後僕がどうなったかを確認しておかないと」
大河はそう言った後図書館へ向けて歩き出した。
最後まで読んで頂きありがとうございます。




