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500歳からの異世界奴隷召喚~召喚されたと思ったら500歳の魔女が奴隷だった~  作者: 絢野悠
7話 べ、別に真実なんて知りたくなんてないんだからね!
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23

 今ここに誰も助けに来ないというのは、誰かが裏で糸を引いているからだ。例えば花街にはなにがあっても近づくな、とか。


「じゃあ保安官を捕まえればこの花街が復活することはないな」

「本当にそう思う?」

「なんだよその言い方」

「トーレってやつを捕まえても同じことを繰り返すだけだってこと。やるならハルファ商会ごと潰さないと」

「そしたらまたそこで働く人達が……」

「それもお姉さんに任せなさい」


 と、腕まくりして力こぶを作るような素振りをした。腕は細いので力こぶはない。


 だが俺はこの事実をヴァルに突きつけてやらなきゃならない。


「おばあさんの間違いなんですよね」


 石の板が飛んできました。


「当たったら間違いなく死ぬんだが」

「殺すつもりで飛ばしたから、次はない」

「うす」


 眼力が強すぎて頷いてしまった。年増は大丈夫だけどおばあさんは駄目なんだな。学習した。


「とにかく保安官のところまで行くわよ」

「保安官からハルファ商会を根絶やしにするってことか。本当にそんなことができるのかね」

「すぐにやらなくてもいいわよ。徐々に潰していけばいいんだから」

「時間の話じゃ、ないんだけどなあ……」


 クッソデカイ組織を潰すのって、物理破壊だけじゃどうしようもない部分があるような気がする。それを加味した上で言ってるんだとすれば俺が想像していないような策があるんだろうな。


 俺たちはすぐに保安官トーレの元には行かず花街にいた連中を全員縛り上げた。基本的には男女別に一所にまとめたのだが、女の中にもハルファ商会の人間は間違いなくいるだろう。それを精査している時間はないので、とりあえずの処置として男女に分けた。


 一通り終わってから保安官事務所に向かう。保安官事務所は一軒家を二つ横に並べたくらいの大きさだ。三階建なのでそこそこの人数がいるのだろう。


 中に入ると茶色いスラックスに水色のワイシャツを着た保安官たちが暇そうに椅子に座っていた。一応書類整理とかもしているみたいだが、急いでいないところを見るとそこまで忙しくないのかもしれない。


「すいませーん」


 俺がそう言うと穏やかそうな太った保安官が歩いてきた。


「はいはいなにかね。もしかして自首?」

「颯爽と銃を取り出しながら言うことか? 物騒すぎるだろ」


 保安官事務所に来たやつ全員に言ってるんじゃないだろうな。


「ん? そこの美人のおねえちゃんも自首? 自首なんだな?」

「銃を向けるな。お前はお姉ちゃんって言われて嬉しそうにしてんじゃねーっつーの」


 不意打ちの乳ビンタが炸裂。あんまり力は入れていないのでポヨンとだけ乳が揺れた。左手でそっと揺れた乳の振動を止めた。


「自然なまでの乳止めでひいたわ」

「これを仕事にしてもいいと思ってる」

「今の、暴行罪だから」


 保安官が手錠を取り出した。こんな穏やかそうなのにやることが結構過激だ。この人点数稼ぎの亡者なんじゃなかろうか。


「こういうコミュニケーションだから。大丈夫だから」

「本当にそうなのかね?」

「ま、まあそういうことにしておきましょう」

「お姉ちゃんが言うなら暴行罪の方は取り消しておこうかな」

「暴行罪の方とかじゃなくて犯罪を犯してないから。あとお前はなんでお姉ちゃんって言われる度に頬を染めるんだよ」


 この立場もなかなかにキツイ。展開が進まないので誰かが牽引しなきゃならないのだが、この保安官のキャラクターが割と強いので重労働だ。


「だってキミ自首しに来たんでしょ?」

「誰がそんなこと言ったんだよ」

「自首じゃ、ない……?」

「話が進まねーんだよ! 違うわ! ここにいるトーレってやつ出せや!」

「恐喝か……?」

「もー!」


 どうやっても話を進ませてくれないのか。


「ごめんなさいね、この子こういうところあるから。保安官のトーレさんを出してもらえるかしら」

「ああ、トーレね。ちょっと待っててくれ」

「なんで急に話が通じるようになったの? 俺のこと嫌いだったの?」


 俺の話を無視して事務所の奥の方に歩いていく保安官。本当に俺の話だけ聞いてねーんだな。


「もう対応任せたわ」

「わかったわかった、不貞腐れないの」

「んなこと言われても無視されたら誰だってムカつくだろ……」

「アンタのことを無視したっていうか、あの感じだと男全般を無視してるんじゃないかと思うけどね」

「もうどうでもいいわ。どうせここ以外で会うこともないだろうしな」


 そう言ってちょっと遠くにある椅子に座った。ヴァルに任せるんであれば俺が立っている必要はない。


 戻ってきた保安官はヴァルと何度かやりとしてしているが、きっと俺が話しかけても自首の話しかしてこないんだろうな。今まで悪人面とかも言われたことがないので、きっとあの保安官はどんなやつに対しても自首を勧めてるんだろう。


 話が終わったのかヴァルが歩いてきた。こうして遠くから見るとすごくいい女なんだよな。スタイルは良いし髪の毛はキラキラしてるし美人だしな。まあ興味は特に引かれないが。そもそも年齢が射程圏内だからな。

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