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500歳からの異世界奴隷召喚~召喚されたと思ったら500歳の魔女が奴隷だった~  作者: 絢野悠
7話 べ、別に真実なんて知りたくなんてないんだからね!
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18

「展開、とは?」

「ラウラのためにもう一度ここに訪れる」


 その時、遠くで木が割れるような音がした。廊下から響いてきた音。まだ少しだけ距離がある。


「来たな」

「またヤツが来たっていうのか」

「この感じだと二回戦突入だな」


 ガーネットとキャロルに視線を送る。二人は頷いて、ラウラ、リヴィア、ベンノの手を取った。


 ガーネットとキャロルはシュヴァリエ家の人間と黒服たちを連れて窓から出ていった。できれば宿屋にでも行って身を隠してくれるとありがたい。あそこにはノアもいるし、ガーネットと一緒なら安心だ。


 壁やドアをぶち抜く音が徐々に近づいてきた。部屋には俺とヴァルのみ。足手まといになるようなヤツもいないしこりゃ楽勝だな。


 まあ俺が足手まといになる可能性は割と捨てきれないが。


 そうして顔を出したのは、少し前にクリムのことを姉さんと呼んでいた大男だ。確かガドとかなんとか。


 ガドが部屋の中に入ってきた。いや、ガドだけじゃなく続いて屈強そうな連中が十人ほど入ってくる。屈強というか体のデカイチンピラっぽいというか。全員顔に傷があるしとんでもなく目付きが悪い。


「お前、ちょっと前に会ったな」


 頭悪そうな見た目してる割には記憶力いいんだな。


「さっきはどうも」

「今度は逃さねーぞ。お前をぶっ潰して、シュヴァリエの長女を連れてく」

「お前が花街に攫ったあの女が長女だが?」

「いや違う。シュヴァリエ家の長女はまだ一桁の少女だって話だ。詳しく話を聞いてようやく合点がいった」


 ノアとラウラが並んでいた場合、長女って言われたらそりゃノアを攫うよな。


「つか、お前の組織のトップはロリコンなのか? あんな幼女を攫おうだなんて」


 自分で言っておいて、なぜか胸が苦しくなってきた。


 と思ったらヴァルに脇腹に小突かれた。なにかを言いたそうな目でみているが今はコイツに構っている暇はない。


「俺はよくしらない。俺は花街の下働きだからな」

「下働きが誘拐か」

「下働きだから誘拐だ。それにシュヴァリエ家の女を欲しがったのは俺の上司じゃない」

「そりゃどういう意味だ?」

「悪いがこれ以上話す理由はない」


 ガドが構えをとった。すると、周囲の男たちも武器を取り出す。


 ヴァルが右手を前に出して魔法を使おうとしたが、俺は腕を上げてそれを制した。


「なによ」

「お前は雑魚の相手をして欲しいわけだが」

「大男はアンタがやるって? 無理でしょ、体格差がありすぎる」

「紋章の力さえあればなんとかなるだろ。なにより俺はこの手でアイツを倒したい」

「感傷かしらね」

「どうだろうな。でもな、ようやく障害がなくなって家族の意思が一つにまとまろうとしてたんだ。それを邪魔したやつを簡単には許せねーよ」

「はいはいそうですか。じゃ、私は雑魚の相手をしてますよ」

「頼んだぞ」


 と俺が言った瞬間に、ガドの後ろに控えていた雑魚共が宙に浮かんだ。そして思い切り床に叩きつけられ、一人残らず動かなくなった。


「え?」

「雑魚を頼むって言ったのアンタでしょ。だからサッとやったわけよ」


 そんなことしたら俺がただのストーリー遅延野郎みたいになっちゃうじゃんか。


「いいからいいから好きにやりなさいよ。ムカついてるんでしょ、そいつに。そいつっていうかそいつの組織にさ。ぶっ倒して黒幕の名前でも吐かせてやりなさい」

「納得はいかないが配慮には感謝しよう」


 屋敷もこの有様だし勝手仕放題だ。


「なんだよ、その女……」


 と、ガドは早くも怖気づいてしまった。


「見ればわかるだろ。魔女だよ」

「そうか、その胸、不遜な態度、厚化粧、年甲斐もない露出の高い服、傲慢で横柄。魔女ヴァレリアか……」

「お前バカそれ以上言うなよ。半分は悪口だから」


 ほらもう額に青筋浮かべちゃってるじゃんか。

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