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「なにそれ。っていうかお前の谷間どうなってんの? 手入れてみていい?」

「気軽に女の谷間に手を突っ込めると思わないで。それはどうでもいいのよ。これは「キガルニオオキサカエラレール」よ」

「長い! でもわかりやすい!」

「ちなみに十年くらい前に酒の勢いで作ったわ。この装置からワイヤーを出して、ぐるっと一周させて装置に繋ぐと、ぐるっと回した物質を小さくできるの」

「いきなり超科学的展開になって頭が追いつかない」

「魔法ですから」

「そのくせにテレポートが使えないのは都合が良すぎでは?」

「逆に都合悪いでしょ。わざわざ旅するなんて効率悪いし」

「ん? んー? まあ都合悪いとも言えるのか?」

「深く気にすることなんてないわよ。瞬間移動はできないけど物質圧縮はできる。それだけの話だから」

「理論がめちゃくちゃで突っ込む気にもなれん。とにかくそれがあれば……って最初から出せや!」


 思わず乳をひっぱたいてしまった。


「痛いっ! それ本当に痛いんだからね! 垂れたらどうすんのよ!」

「もうそこそこ垂れてるだろうるせーよ! なんで最初キャロルに会ったときに出さないの? バカなの? それ出してればキャロルが捕まりそうになることも無駄に走ることもなかったんだけど?」

「だって忘れてたんだもん。テヘっ」

「割とマジでムカついてるからな? もういいや、さっさとそれキャロルに使ってやれよ」


 ヴァルは装置を差し出し「んっ」と唸った。


「なに?」

「一人じゃ無理だから。ノアと二人でやって頂戴。首とかにつけるのがいいと思うけど、身体能力的に私やアンタじゃ難しいでしょ」

「まあ、たしかに。んじゃノア頼むわ」

「わかった」


 ノアは俺を抱えてキャロルの肩に乗った。


「これ持ってて」


 装置の本体を俺が、ワイヤーの先をノアが持った。ノアはそのままキャロルの首をぐるっと一周して戻ってきた。相変わらずの身体能力だ。


 ノアが持っていたワイヤーの先端、三角形になっている部分を装置の本体に繋いだ瞬間、キャロルの身体がまばゆく光る。


 そしてまたノアに抱えられて地面に着地。割と細い女の子にいいように持ち上げられたりするの、情けないながらも悪くないと思ってしまった。


 光が収縮し、あっという間に小さな少女に様変わりした。身長は俺の胸よりちょっと下くらいだろう。俺好みの可愛い少女がパーティに追加されたのは非常に嬉しい。


「これでいいかしらキャロル。両親や仲間のことはどうすることもできないけど、これなら人間と同じように生活もできるし不自由もないでしょう」

「うん、ありがと」

「これからアナタがどうするかはアナタが考えることよ。協力はするけど、一緒に旅をする中でちゃんと見つけなさい。わかった?」

「私、がんばる」

「そうそう、その調子よ。それじゃあ帰りましょうか」


 俺も結構疲れてしまった。宿に帰ってからもう一度風呂に入ろう。そのあとはキャロルとノアに挟まれてさっさと寝てしまいたい。


「アンタ、今よからぬこと考えたでしょ」

「よからぬこととはなんだ。別に考えてないぞ。それより早く帰ろう」

「そうね。ノアは大丈夫?」

「私は大丈夫だけど、キャロルが」


 視線を下に向けると、キャロルは静かな寝息を立てて眠ってしまっていた。精神的にも追い詰められていたし、あれだけ暴れまわったんだから当然とも言える。


「んじゃ、今日は俺が活躍しちゃおうかな」


 キャロルを抱きかかえる。本当なら「うわ、思ったより軽い」とか言うのが正しいんだろうけど、小さくとも人間一人分はやっぱり重いんだよ。


「大丈夫? 真顔だけど」

「これくらいなんてことないさ」


 ノアに突っ込まれたがここで根を上げたら格好がつかない。


「気にしなくていいわよ。格好つけようとして抱き上げたはいいけど意外と重くて後悔してる顔だからそのまま帰りましょう」

「お前そこまでわかってて放置するの?」

「ほらね、言ったとおり」

「しまった、つい口が滑ってしまった」

「重いならいいわよ、私が抱いて帰るから」


 ヤダかっこいい。


「ノアお前……」

「フラフラ歩かれたらキャロルが心配だから。それにいつ街につくかわからないし」

「まあそうなるよな」


 結局、キャロルのことはノアに任せることになった。ノアがどんどんと男前になっていくような気がするが、そういうところも嫌いじゃないので問題ない。


 寝る時はなぜかヴァルと同じベッドになってしまった。疲れたのかすぐに眠りについてしまったヴァルだが、意識的としか思えないほど胸を押し付けてくる。というか抱きついたまま眠ってしまった。たまには好きなようにさせてやるかと目を閉じる。が、押し当てられた脂肪が暑くて非常に寝づらかった。たまに顔に押し付けられるのだがそれも暑い。


 でもなんだかいい匂いがしたのはヴァルには内緒にしておこう。

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