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 朝、目が覚めてすぐにヴァルのベッドに目を向けた。彼女は起き上がっていて服までちゃんと着替えている。窓の外をじっと見つめて物思いに耽っているのだが、その姿が妙に様になる。黙ってれば美人なんだよな、なんて思ってしまった。


「起きた?」


 ヴァルは窓の外を見ながら言った。


「ああ」

「頭痛は?」


 そこでようやく俺の方を見た。


 ベッドから足を下ろして一息つく。


「大丈夫そうだ」

「でもこれからも頭痛に苛まれる」

「なあ、今度こそ知ってること全部話してくれよ。お前が寝てる間にもいろいろあったんだ」

「いろいろって?」

「アイヴィーが現れた」

「またアイツ……」

「近くにある洞窟とディアボロス大陸を繋げてモンスターをこっちに送り込んでた。どんな意図かはわからないけどな。でもディアボロス大陸からモンスターを転送していたのは間違いない。お前、前に言ったよな。ワープみたいなのはできないって」

「なるほど、そこに引っかかってたのね」

「引っかかるに決まってるだろ。俺はその言葉を信用してたんだからな。いや、俺だけじゃない、他の連中のことも騙してたことになる」

「間違ってないわね」


 ヴァルはため息をついてから髪をかきあげた。


「説明するから全員呼んできてもらえる?」

「腹くくったか」

「こうなったらね。はい、わかったら行った行った」


 俺が集めるのか、と納得できないところはあるが仕方がない。


「ちょっと待ってろ」


 部屋を出てノアたちの部屋に向かった。あそこに行けば他の連中が全員いるだろう。


 案の定ノア、ガーネット、キャロルは同じ部屋にいた。そこそこ早い時間なのでまだ部屋にいたみたいだ。


「そもそもいつ出発するかとか聞いてないしな」


 ガーネットが不貞腐れながら言う。わかるよ、俺も同じ気持ちだ。だが宿を出る時間なんかよりも気になることが多すぎる。


「文句言うな。行くぞ」

「はいはい」


 俺が目配せをするとノアとキャロルも小さくうなずいた。


 と、忘れるところだった。


「ロウエンはどうした」

「隣の部屋」

「呼んで来いよ」

「なんで私が。キャロルお願い」

「うんわかった!」


 走り去るキャロルを見て思わず頬が緩む。


「天使だなぁ……」

「気持ち悪い男だな」

「前からだから気にしないで」


 そんなことを言いながら並んで歩いて行くノアとガーネット。


「お前らなんだかんだ仲いいよな」

「お互いに常識人だからだろうな」

「それはあるわ」

「ひでぇ話だ」


 そんなくだらない話をしている間にキャロルがロウエンを連れてきた。


「遅くなったね」

「別にいいけどな。でもキラキラするのだけは仕舞ってな」

「どうしたらいいのかわからないけど頑張るよ」


 なんて言いながら笑った。だからそれがキラキラだっつってんだよ。


 ちょっとイライラしながらも部屋に戻ってきた。ヴァルはイスに座って優雅にお茶を飲んでいた。


「来たわね。それじゃあその辺に座ってもらえる?」

「とりあえずノアとガーネットとキャロルはそっちのベッドな。俺とロウエンはこっちのベッド」


 一応男女で割り振りをした。だがロウエンと隣というのもあまり好ましくないが仕方がない。

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