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15

 森を抜けて町へと戻ってきた。俺が森に入った時と変わらず保安官やら警察官やらがモンスターの進行を止めていた。


 子どもたちを連れて行くと、いちはやくレニーが俺たちに気がついた。


「ニーナ!」

「ママ!」


 ニーナが駆け出し、レニーの胸元へと飛び込んでいく。レニーはそれを両手を広げて受け止める。


「どうして森の方から?」

「あの子たちが森の中に入っていったから」

「助けたの?」

「うん」


 肯定はするが申し訳無さそうにして下を向いているニーナ。こんな時に森に入ったこと、一応は反省してるんだな。


「どうしてママに言わなかったの?」

「ママは人を守るのが仕事だから」


 そう言ってニーナが顔を上げた。今度は申し訳無さそうな感じはない。


「私はママの娘だから。私でも守れるものは私が守るの」


 レニーは一つため息をついてからまたニーナを抱きしめた。


「そうね、そうだよね」


 母親の邪魔にもなりたくない。自分でできることなら自分でやりたい。そうやって、きっとレニーの意志はニーナに受け継がれていくんだろう。


 こうやって見るとやっぱり親子っていいな。


 なんて親子の抱擁を一生眺めているわけにもいかないな。


「とりあえずモンスターの方をなんとかした方がいいな」


 と言ってもモンスターが大量発生した理由がわからないと対処のしようがない。それでも保安官やら警察やらが総動員しても町を守るのが精一杯という状況だ。


「どうしたもんか」


 腕を組んで森の方を向いた時、急に横から人影が現れた。


「遅くない?」


 現れたのはノアとガーネットだった。


「実は昨日飲みすぎちゃって」

「なにを?」

「超炭酸水」

「あー、あの体が熱くなって気持ちよくなるやつな」


 未成年でも合法で飲めるやつ。


「なんか面倒なことになってるみたいだな」


 ガーネットが頭を抑えながら言った。


「超炭酸水、ホントに合法か……?」

「5リットルとか飲まなきゃこうはならないよ」

「じゃあ飲んだんじゃん。飲み過ぎ注意だぞ」

「わかってるって。で、エージはこの状況ををなんとかしたいんだろ?」

「そりゃね」

「じゃあ行くしかないでしょ」

「森の中に? どこからモンスターが湧いてんのかもわからないんだぞ」

「でも森から湧いてるってわかってるなら行けばなんとかなるだろ」

「そんな安直な」


 とは言ってみるが実際それしか方法がないのも事実だ。


「急に空中に出現するわけでもないはずだ。洞窟やらなにやら、そういったものから湧いて出てるならそれをなんとかしたらいい」

「まあ、確かに」

「話は決まったみたいね。それじゃあ行きましょうか」


 今度はノアが頭を抑えた。


「ホントに大丈夫かよ」


 そうやって俺たちは森の中へと入っていった。


 正直、保安官たちがどれだけモンスターを食い止めていられるかがキモだ。早めに問題を解決しないと、モンスターは湧かなくなったけど町が全滅しましたなんてことになったら意味がない。


「走るぞ」

「大丈夫? めちゃくちゃに走ったら迷子になるんじゃない?」


 ガーネットは笑っているが、モンスターが来ている方向はなんとなくわかっている。


「方向はわかる。俺についてこい」


 ノアの紋章を発動させるのと同時に速度を上げた。ノアもガーネットも魔法を使ってちゃんとついてきている。これならある程度速度を上げても大丈夫そうだ。

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