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500歳からの異世界奴隷召喚~召喚されたと思ったら500歳の魔女が奴隷だった~  作者: 絢野悠
7話 べ、別に真実なんて知りたくなんてないんだからね!
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26

 もう逃げれられないと察したらしくおとなしく正座し始めた。まあ建物ぶっ壊された時点でアンタじゃヴァルからは逃げられないぞ。


「さて、話をしましょうか」


 指をクイッとやると、光の輪っかに拘束されたトーレがヴァルの前まで浮遊してきた。だからそれができてなんで空を飛べないんだよ。


「話すことなんかねーよ。俺は仕事で女どもを攫っただけだ。こうしなきゃ俺が殺されちまう」

「誰に殺されるの?」

「それを言っちゃおしめーよ」


 なんて言ってるから輪っかがぐいぐい締まってくじゃんかよ。


「痛い痛い痛い!」

「さっさと吐けばいいのよ。ハルファ商会が全部やってるのはもうわかってるんだからいいでしょ。ハルファ商会と世界最強の魔女を天秤にかけてどっちを取るっていうのよ。決まってるわよね?」

「ハルファ商会だ」


 ギリギリと輪っかが締まる。


「じゃあアンタのことをハルファ商会から守るっていう条件があればいいのね?」

「そんなことできるわけないだろ」

「私は魔女よ? それくらいできるわ」

「どうやってだよ」

「そんなもん簡単でしょ。ハルファ商会を根っこから破壊する。当然ニーズヘッグもだけどね」

「できるわけないだろ。二つの組織のデカさを知らないから言えるんだ。この町だけじゃない、いろんな場所に潜んでるんだよ」

「そんなことはわかってるって。でもできるんだな、私には。伊達に年はとってないってーのよ」

「食っちゃ寝してババアになったわけじゃないってことだな」


 光の輪っかに拘束されました。


「いじれるとこ見つけて一気に畳み掛けようとするんじゃないわよ」

「すまんかった」

「で、どうよ。私が組織を潰せたとしたらアンタを追う者は誰もいなくなるわよね」

「証拠を見せてくれなきゃな」

「この建物をぶっ壊したのが証拠にならないって? ちなみに花街も全部更地にしといたから」


 さすがに花街を更地にしたのは効いたのかもしれない。


 トーレは生唾を飲み込んでから口を開いた。


「ホントになんとかしてくれんだろうな」

「大丈夫、ハルファ商会もニーズヘッグも完全に消滅させる。アンタのことを追いかけることはない。口約束しかできないけど」


 いろいろ考えているのか、強く目を閉じてうんうん唸っていた。そして意を決したのか、大きなため息をついた。まあ言わなかった言わなかったでここで殺される可能性もあるわけだから、生きる確率を上げるならヴァルの言うことを聞いておいた方がいいだろうな。


「わかった。話す、話すよ。ハルファ商会のことも、ニーズヘッグのことも」


 そうしてトーレは自分の状況を話し始めた。


 そもそもニーズヘッグというのはハルファ商会の下部組織という認識が正しいらしい。つまり大元がハルファ商会である。


 ありとあらゆる場所に拠点はあるものの、基本的に連絡を取り合っているわけではないので地方の商会が潰されても他の商会が介入してくる可能性は少ないようだ。


 ニーズヘッグに関しても似たようなもので、地方に散らばっているニーズヘッグ同士は連絡を取り合ってないんだとか。


「つまり一個一個潰してかなきゃなんないってことね」

「まあ、そういうことになるな」

「とりあえずこの町からやりましょうか。この町のハルファ商会はどこにあるの? アンタ、そこに勤めてたんでしょ?

「南にあるデカイ屋敷だ。それくらい調べればわかるだろ。地図も読めないのか」」


 ほら余計なこと言うからまた輪っかが締まるじゃん。


「待て待て、俺の輪っかまで締めるんじゃない」

「つい」

「ついじゃないが」


 と、ここでようやく俺の輪っかが解除された。確かコイツの魔法は俺には効かないはずだが、こういう物理っぽいのは有効なのか。それとも別の要因があるのか。


 そしてまたヴァルはトーレに向かって話かけた。


「ハルファ商会は裏の組織ってわけじゃない。表立ってやらない仕事があるってだけで、表の仕事は普通なんだ。だから商会の建物を見つけるのは難しくない」

「なるほど、そういうことね。難しいのはニーズヘッグの方か」

「あっちの方は裏の世界じゃ有名だが、やり口が強引だから犯罪多発地帯で張ってりゃ勝手にかかるだろ」

「よし、じゃあそれで行きましょう。今すぐに全部ってわけにはいかないから時間をかけてやってくわ」


 再び指を鳴らすとトーレの輪っかが消えた。俺のも消してくれ。


「私たちは今からハルファ商会を潰す。だからアンタは好きなようにしなさい。一日二日身を隠してればこの町から出ることもできるでしょ。仕事を探したきゃ、今から五時間後に花街にくる馬車に乗りなさい。これがあれば乗せてくれるわ」


 そう言ってヴァルが谷間からなにかの紙切れを出した。


「名刺……?」

「そ、私の名刺。激レアだからなくさないようにね、それが招待状代わりになるから。過酷かもしれなけどそこそこの給料はもらえる仕事につけるわよ」

「わかった。素直に聞いておく」

「そうしなさい。じゃあね」


 トーレに背を向けて歩き出したヴァル。前にあった髪の毛をさらりと肩の後ろへと流した。


「いや俺の輪っか」

「忘れてたわ」


 コイツマジで。


 イライラしながら歩みを進め、そんなこんなで南にあるハルファ商会にやってきた。


 屋敷は大きく、儲かってそうな雰囲気がすごい。どうやって儲けているのかは正直考えたくはない。


 ここにいる連中は基本的にこの屋敷に泊まり込みで働いているのだとトーレは言っていた。情報を漏らさないためというのもあるが、屋敷の防犯のことも考えてのことらしい。それに夜もあまり出かけず、酒盛りも屋敷の中でするんだとか。


「んでどうやって侵入するんだ?」

「侵入する必要があると思ってるわけ?」

「まあどうせそうなるんだろうなって思ってたよ」

「さあ張り切っていってみよう!」


 張り切ってるのはお前だけなんだがな。


 空に飛び上がって屋敷を攻撃。数分と経たずに瓦礫に変えてしまった。単純に攻撃をぶっ放すんじゃなくて、瓦礫が飛び散らないように防御壁まで展開してる。用意周到というか慣れすぎててで怖い。

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