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500歳からの異世界奴隷召喚~召喚されたと思ったら500歳の魔女が奴隷だった~  作者: 絢野悠
7話 べ、別に真実なんて知りたくなんてないんだからね!
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 また頭痛がした。誰かに見つかりたくなくて、こうやって隠れていたことがあったような気がする。どうして隠れていたんだろう。なにから逃げたかったんだろう。考えてもいいことなんてないってわかってる。


 なんとなくだが、俺の前世はかなりクソみたいな人生だったはずだ。今わかっているだけでも普通の人生とは言い難い。


 それでも思い出したいと思ってしまうのは、少なからず前世に未練があるからなんだろう。その未練がどんなものなのか。頭痛を伴わずに知るすべがあるのであれば誰か教えて欲しいところだ。


 と、そこで肩を叩かれた。


「早かったなヴァル」


 後ろを振り返ると屈強な男三人が立っていた。全員武器を持っている。一人は剣、一人はナイフ、一人は銃。


「あのお姉さんなら中に入ってったぜ」

「んな馬鹿な」


 辺りを見渡してみるが確かにヴァルの姿はなかった。アイツ、俺がいないとみるや特攻しやがったな。


 まあアイツ一人で事足りるので間違った判断ではないが。


「さて、坊主をダシにしてあのお姉ちゃんをとっ捕まえるとするか」


 男たちは下卑た笑みを浮かべる。こんなヤツらに捕まったらそりゃもうヒドイ目に遭わされるんだろうな。想像に難しくなく、なんだかちょっとだけいけない気分になってくる。アイツだったら割と楽しんで受け入れそうな気はするが、そもそもアイツが誰かに捕まる姿は想像できない。


「お前らにアイツが捕まえられると思ってんのか?」

「だから坊主をダシにすんだろうがよ」

「じゃあ俺なら捕まえられるって?」

「お前みたいなひょろっこいヤツなら余裕だぜ」

「ああそうかい。ならやってみろよ」


 左手で首の左側、右手で左胸を抑える。ヴァルのノアの紋章を同時に発動させれば一瞬でぶっ飛ばせるはずだ。長時間使用しなければ紋章の同時使用も問題ない。


 手に魔力を込めた瞬間、男たちの背後でデカイ爆発が起こった。その爆発で男たちが吹き飛んだ。


「よーし確保したぞー!」


 予想はしてたけどね。ここまで簡単に見せ場を潰されるとさすがにイライラするというかなんというか。


 いや、考え方を変えよう。労力を消費しなかったし、俺の手によって無用な血を流さずに済んだと思えば体裁を保てる。


「まだ残りがいたのね」


 なんて言いながら、さっきまで俺の前にいた男たちを光の弾でふっ飛ばしていた。本当にヒドイ女だ。俺がやらんでもコイツが血を撒き散らす。


 ヴァルの右手には一人の男がぶら下がっていた。首根っこを掴んでズルズルと引きずって来る。まだ意識はあるようで、涙を流し、鼻水を垂らしながら「ごめんなさい許してください」を連呼してた。なにしたらこんなふうになるんだよ。


「そいつ?」

「そ、コイツがトーレ。ちなみに道案内のオジサマも仲間みたいね」


 ヴァルがヒールをコツコツと鳴らすと、そのへんの瓦礫が盛り上がってさっきのおっさんが引き寄せられる。このおっさんのこともちゃんとお仕置きしてあったのか。


 首根っこを掴んだままこちらに放り投げてくる。知らない人が見ればクソ怪力ババアって言われても仕方ないだろう。


「今失礼なこと考えた?」

「考えてないから話進めろ。このやり取りし始めたら絶対長いから」

「それもそうね」


 コホンと咳払いをして一度場を鎮める。


 ヴァルはしゃがみこんでトーレと目線を合わせた。それだけでトーレは「ひっ!」と後退るが、見えない壁でも出現させているのか後ろに下がれずただ涙を流すばかりだった。ホントになにしたんだよ。


「アンタ、ハルファ商会の幹部なんだってね。このへんの花街を管理してるのよね?」

「それがどうしたってんだよ」

「花街の女の子たちって自分たちで花街に来たわけじゃない? 特に、どこかからさらって来るみたいな強引な手も使ってたみたいじゃない? ニーズヘッグなんか使っちゃってさ」


 トーレがビクンと大きく跳ねた。この感じを見る限り、このクソ野郎にも一応罪悪感はあるんだな。


「仕方ないだろ! 俺にだってノルマがあるんだよ! やりたくてやってるわけじゃない!」

「だからって女の子の一生を散らすようなことはするべきじゃないでしょ」


 ヴァルは「うーん」と唸ってから、ひらめいたと言わんばかりに「そうだ!」とわざとらしく手を叩いた。


「良くないこと考えてるだろ」

「良くないことなんてないって。これは因果応報という名の贖罪なのよ」

「お前の後ろにどす黒いオーラが見えるぞ」

「そう? 気の所為じゃない?」


 とは言うが肩を揺らして笑っているところが怖くて仕方がない。


 正直こうなってしまっては俺には止められないし、ある程度ツッコミ入れながら成り行きを見守るしかないんだろう。


「うだうだとうっさいわね。右足と左足の間にあるもの出しなさいよ」

「急にキたね、ドスケベの本性が」

「ドスケベでもないし本性じゃないわ!」

「そう思ってるのは本人だけだよ。っていうかいいの? トーレのおっさん逃げようとしてるけど」


 俺がそう言うとヴァルが指を鳴らす。突如としてトーレの周りに光の輪が出現してヤツを拘束した。

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