3 戦隊隊員到着! さあ、変身だ!
さあ、お待ちかね!
変身して戦うぞ!
ドルン
と、バイクのエンジン音が響き渡った。S駅前広場に銀色と黒にオレンジのラインが目立つバイクが入ってきた。ライダースーツにフルフェイスのヘルメット。乗ってきた人物はバイクから降りヘルメットを外すと、バイクについているボタンを押した。見る間にバイクは縮み3センチくらいの玩具のようになってしまった。それをパシッと掴み、ウエストポーチにしまい込む。
「これはどういう状況なんだ、クールビューティーグリーン」
思わず呟いた男に、山之上ことクールビューティーグリーンから声が掛かる。
「pecoさん、じゃなくてパパオレンジ。こいつらの足止めはしておきましたから」
「それはいいが、なんでその恰好なんだい」
「さあ? 何故かしらね? でも足止めには成功してますわよ」
手下怪人に鞭を振りながら、真っ赤なライダースーツに身を包んだクールビューティーグリーンが答えた。豊満すぎる胸のせいで上まで上がらなかったファスナーが動くたびに少しずつ下がっているような気がするが、クールビューティーグリーンは気にせずに鞭を振るい続けていた。
パパオレンジは向かってきた手下怪人を倒しながら、一応お約束とその事を指摘してやる。
「そろそろ気をつけないと、見えてしまうのじゃないか?」
「あら、本当。じゃあ、少し任せてもいいかしら?」
クールビューティーグリーンはそう言うと、怪人たちから少し距離をとった。その分パパオレンジに怪人たちが集まってきた。その様子は余計な指摘をしやがってと、鬼気迫るものがあった。
「おい!」
パパオレンジが思わず声を上げた時。
「お待たせしました」
という声と共に水源が駆け込んできた。
「レキシングブルー」
パパオレンジの隣に来ると水源ことレキシングブルーは無駄のない動きで手下怪人たちを叩きのめしていく。
「奥さんここは危険です。さあ、私の手に掴まってください」
現れた海水は腰が抜けて避難できずにいる女性を見つけて、手を貸して安全な場所に逃がそうとしていた。
「おい、マダムキラーマリン。避難させたらすぐに戻って来いよ」
声を聞きつけたパパオレンジが海水ことマダムキラーマリンに声を掛けた。マダムキラーマリンは片手をあげて広場から去っていく。
「この近辺の避難は終わりました~」
「了解した、ショッキングピンク」
遙ことショッキングピンクが誘導を終えてS駅前広場に駆け込んできた。マダムキラーマリンとクールビューティーグリーンもそばにきた。
「こっちも片付いたぞ」
「クリムゾンブラック!」
その言葉と共に特撮仮面ことクリムゾンブラックが駅のほうから姿を見せた。きっと、駅の反対側の敵を一掃してきたのだろう。それを見たパパオレンジとレキシングブルーが手下怪人たちから距離をとる。
「行くぞ」
パパオレンジの言葉に皆は腕につけていたブレスレットから、シッピツチェンジャーを取り出した。シッピツチェンジャーは取り出されるとスマートフォン型の装置と、万年筆みたいなタッチペンに変わった。
「「「「「「チェインジ! シッピ~ツ!!!」」」」」」
掛け声とともに、タッチペンで画面をタッチした。一瞬辺りに6色の光が煌めいた。
光がおさまるとそこには6人の戦士が立っていた。
「パパオレンジッ クレイジーpecoッ」
「クレイジーブルーッ レキシング水源ッ」
「クレイジーマリンッ マダムキラー海水ッ」
「クレイジーグリーンッ クールビューティ舞花ッ」
「クレイジーピンクッ ショッキング遙ッ」
「クレイジーブラックッ クリムゾン特撮仮面ッ」
「「「「「「執筆速度戦隊~!! クレイジーソルトッ~!!」」」」」」
6人の声が重なりポーズも決まったのだった。
「おのれ~、執筆速度戦隊クレイジーソルト~。我はスランプ帝国、消滅将軍シュウセイエキだ~。今日こそは目にものを見せてやる。者ども、かかれ~!」
執筆速度戦隊とスランプ帝国の怪人たちとの戦いが始まった。先ほどかなり倒したはずなのに、まだまだ湧いて出てくるのであった。その姿は1匹見つけると30匹はいるというG・・・と一緒だと思ってしまうほどだった。
パパオレンジが必殺技を繰り出した。
「嫁子ラブアタック! それから~、FAの舞~!」
レキシングブルーも負けじと必殺技を繰り出す。
「イザナミパ~ンチ! 英雄召喚~!」
続けとばかりに、マダムキラーマリンも必殺技を叩きこんだ。
「シュガーオーシャ~ン! 感想マシンガン!」
シュガーオーシャンを浴びた手下怪人たちは、怪人同士でモジモジとしだした。中には手を握り合い、見つめ合っている。どことなくピンク色の空気が漂ってきたような? ・・・これは・・・見なかったことにしよう。
ショッキングピンクも、他のメンバーに遅れてなるものかというように必殺技を繰り出した。
「罪ゲージライジング! ハードボイルド・インパルス~!」
少し離れたところで静観しているクールビューティーグリーンに、クリムゾンブラックが話しかけた。
「なんでグリーンは動かないんだ」
「え~。さっき十分時間稼ぎしたじゃない。少しくらい休んだっていいでしょ」
「これだから、ババァは」
「ちょっと、誰がババァよ。って、危ない。言霊縛り!」
クールビューティーグリーンの必殺技の言霊縛りで動けなくなった怪人たちに、クリムゾンブラックの必殺技が炸裂した。
「レビューバクダ~ン! インサイト・ツヴァイ・ディジーズ!」
クリムゾンブラックの攻撃を掻い潜った怪人に、クールビューティーグリーンの他の必殺技が浴びせられた。
「200字シャワー! ムーンライトスポット!」
怪人たちはクレイジーソルトのメンバーに倒されて、とうとう消滅将軍シュウセイエキだけになった。
「クッ 負けはせぬ。我は負けはせぬぞ~」
消滅将軍シュウセイエキは死に物狂いの攻撃を仕掛けてきた。6人は攻撃をくらって倒れ伏した。なんとか立ち上がるが、ダメージをくらっているのは一目遼前だった。
「おい。俺が抑えるからお前らは合体技を出せ」
クリムゾンブラックはそう言うと、1人で消滅将軍シュウセイエキに向かっていった。ガシッと組むと力勝負に持ち込んだのだ。クリムゾンブラックの筋肉が盛り上がる!
それをみたリーダーのパパオレンジが号令をかけた。
「行くぞ、皆!」
「「「「おう!」」」」
皆のシッピツ力が高まっていく。力が羽ペンの形を取っていった。それをパパオレンジが手に取るとダーツを投げる要領で、消滅将軍シュウセイエキに向かって投げつけた。
「シッピツダマシイ~!」
このままではクリムゾンブラックまで巻き添えになる、というギリギリのところで、クリムゾンブラックは消滅将軍シュウセイエキを「シッピツダマシイ」に向かって投げ飛ばした。
「グギャ~!!!」
消滅将軍シュウセイエキは「シッピツダマシイ」に胸を貫かれて倒された。
「やったのか?」
動かなくなった消滅将軍シュウセイエキをみて、マダムキラーマリンが言った。その時どこからか声が聞こえてきた。
『やられてしまうとは情けないぞ、消滅将軍シュウセイエキ。お前にはいま一度チャンスをやろう。この力で執筆戦隊クレイジーソルトを倒すのだ~』