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2 怪人が出現! さあ、出動だ!

戦隊モノのお約束! 

怪人が登場です!

基地内にアラームが鳴り響いた。山之上舞花と遙彼方はすぐに自分の席に座り警報の元を探し出した。


「長岡所長。S-R5にアンノウン反応です。多分スランプ帝国の怪人が暴れているものと思われます」


遙の言葉に山之上が操作して、メインモニターにその場所の地図とカメラからの画像が映し出された。遙が言ったように怪人の姿が映っていた。


「4人に連絡を!」


長岡更紗の言葉に遙が隊員4人に緊急コールをした。


『こちらpeco。場所を確認した。すぐに向かいます』

「了解です」

『こちら水源。もうすぐ講義の時間なのですけど』

「そんなこと言っている場合じゃないでしょう。すぐにソイドを起動して現場に向かってください」

『仕方ないですね。わかりました。ですが少し時間がかかりますので、それまでよろしくお願いします』

「了解しました」

『あー、こちら海水。・・・なあ、俺も行かなきゃ駄目か』

「海水さん、何を言っているのですか。もちろん出動してください!」

『あのな、俺はさっき寝たばっかなの。睡眠不足でフラフラの状態で戦えと?』

「知りませんよ。そんなになるのなら転職して昼間の仕事についたらどうですか」

『冷たいな~、遙ちゃんは。少し時間をくれ。もう少し頭をスッキリさせたら行くから』

「了解しました。ですが急いでくださいね。1人でも欠けると意味をなさないんですから」

『分かっている。じゃあ、現場で』


3人との会話を済ませ、それぞれの居る位置を確認して、山之上は舌打ちをした。


「これでは彼らが揃うまでに、被害がかなり出るかもしれないわね」

「山之上舞花、遙彼方。両名はすぐに現場に急行してことに当たるように!」

「「はっ!」」


2人は長岡に敬礼をすると部屋を出て行こうとした。出て行きかけて遙はあることに気がついた。


「あの~、特撮仮面から連絡が来てないんですけど」

「ああ、すぐに出られない状態なのでしょう。大丈夫。10分以内に連絡は来るわよ」

「でも、緊急事態なのに~。それが分かっていないのでしょうか」

「遙、グダグダ言ってないで、行くわよ。私達がすることは、民間人の避難と敵の足止めなんだからね」

「はい。舞花さん」


2人が部屋を出てすぐに男の声が部屋の中に響いた。


『こちら特撮仮面。状況はどうなっている?』

「いま、山之上舞花様と遙彼方様が出動したモキュ」

『・・・そこからじゃ、到着までに時間がかかり過ぎないか』

「大丈夫モキュ。基地からなら転移装置が使えるモキュ。すぐに着くモキュ。あっ、着いたようだモキュ」


メインモニターに山之上と遙が映った。山之上が敵の足止めをし、遙が避難の誘導をしている。その画像を特撮仮面にも転送してみせる。


『本当にあの人はいろいろ規格外だよな』


画像を見た特撮仮面は溜め息と共に感想を言った。


「そんなことを言っている場合じゃないモキュ。他のメンバーが到着するまで早くて10分後モキュ。特撮仮面様にも行って欲しいモキュ」

『わかった。ここからなら3分で着く』

「頼むモキュ」



S駅前広場では、怪人とその手下たちが暴れ回っていた。怪人の姿は・・・あれは修正液の容器に似た形をしていた。怪人から液体を掛けられた人達が無気力な顔をして、疲れたように足を引きずりながら歩いている。中にはへたりこんで動けないものもいるようだ。


現場に着いた特撮仮面は物陰から広場の様子を伺っていた。そこではあ然とする光景が広がっていた。そして感嘆の声を漏らした。


「スゲェ」


どこから用意したのか木製のかなり立派なひじ掛け付きの椅子に腰かけて足を組む山之上。挑発するように時々足を組み替えている。太腿が半分顕わになった状態でのそれは、スカートの中が見えるか見えないかの際どいところだろう。


その行動に全身タイツのような恰好の怪人の手下たちの視線が釘付けだ。もちろんタイツに書かれたような目なので本当に見ているかどうかはわからないのだが・・・。それどころか修正液怪人までが山之上の方を向いて動きを止めていた。


山之上が背もたれに寄りかかり半眼で怪人たちを見た。その口元が弧を描き、笑みの形になる。そしてバチッと右瞼を閉じてウインクをし、口元に左手を持っていくと投げキッスをした。


「ウ~・・・」


怪人の手下たちの何人かは、バタバタと倒れたのだった。


「流石。このお色気むんむん攻撃に惑わされない奴っているのか?」


その様子を見ていた特撮仮面がそう呟いたら、特撮仮面の耳に山之上の声が聞こえてきた。


『バカ言ってないで、さっさと周りの奴らをやっつけなさいよ』

「・・・了解」


特撮仮面は反論しかけたが、見えないはずなのに自分が隠れている方を睨んできた山之上に、了承の意思を伝えて広場から移動した。広場以外のところにいる手下たちを見つけては、その腕力にものをいわせて片っ端からやっつけていったのだった。



特撮仮面が移動したのを感じとった山之上は、呆然自失状態の怪人たちをもっと釘付けにするべく、次の行動に移った。立ち上がった山之上は、どこから取り出したのか全身を隠すマントを羽織ると、怪人たちにまたウインクを投げかけた。そして期待をあおるようにマントの合わせ目から左足を出したりした。


『できたモキュ』


インカムからのなななんの声に合わせてマントを取り払うとスリットの位置がかなり高いチャイナ服姿に変わっていた。はち切れんばかりの胸元はボタンが飛ばないように外されている。その谷間にどうしても視線が向いてしまう・・・。


赤いハイヒールと緑色のチャイナ服。爪も真っ赤に塗られていて手に持った羽根つき扇で、山之上は優雅に顔を覆った。扇の隙間から流し目で見られて、怪人の手下の何人かは鼻の辺りを押さえていた。そして扇をずらしてニッコリと微笑むと、山之上はその扇を頭上高く投げ上げた。


つられて扇の行方を追った怪人たちが山之上に視線を戻すと、目もとにはマスク。手には鞭。革のピッタリとしたミニスカートのボンテージ衣装に身を包んだ山之上がそこにいた。


「ああ~、女王様~」


誰があげた声なのか。


山之上は赤い唇をニィ―っと笑みの形にし、ブーツをカツンと鳴らした。


「さあ、可愛がって貰いたい子はこちらにいらっしゃい」


手下怪人の中から何人かがフラフラと近寄ってきた。それに向けて山之上は、ピシリピシリと鞭を振るった。


「ウ~!」


鞭打たれた手下怪人が喜びの声をあげていた。



この間に遙は補助道具の一つ、自律型自動運転車いすを多数出して動けない人たちを乗せて安全なところへと移動させていた。横目で山之上の行動を目に入れながら・・・。


「もう少しですから、頑張ってください。舞花さん」


山之上に惑わされなかった怪人を叩きのめし人々を守りながら、遙は祈るように呟いたのだった。



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