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第一話 出会い
——夜——
カーテンの隙間から月光が射す。
彼は目を覚ました。
「ぅう…」
彼は呻き声を漏らし、身体を起こそうとしたが、自身の異変を感じていた。
—バリバリバリ—
顔を上げたら床に顔が張り付いていた。それと同時に口からドス黒い液体。
「あ"んだこれ…っゴホ」
彼の声は掠れていて、自分の声ではないように錯覚した。
「これは…血!?」
辺りを見回す。いつも見慣れた自分の部屋だった。
だが床には大量の血がたまっており、自身を見やると血塗れの身体に驚愕した。
それと同時にたった今、口から吐き出したのが自分の血だという事を理解した。
「俺の血?俺…生きてるんだよ…な?」
独り言を呟く。
フラフラと立ち上がり、身体にあまり力が入らない事に気付く。
振り向くとそこには鏡があった。
——鏡に映ったものは——
鏡から放たれた光の中に包まれ、彼は意識を失った。