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異世界殺菌をする町医者  作者: 虹色水晶
異世界から日本に戻れば斬新な小説。なぜ誰も書かないのだろう?
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幕前の物語4 たくさんの冒険者が訪れる宿屋兼酒場

 サウザンドスレイヤーロイの店にヨボヨボの老人が入ってきました。おそらくはギルドの紹介で来た冒険者なのでしょう。


「ワシは積みかけどころかすでに人生積んでいる冒険者じゃ!今年で年齢70無職童貞の魔法使い!最近では魔法も忘れがちじゃ!!」


「スラム近くの教会でパンとスープの無料配布やってるぜ?」


 メルではなくロイが対応しました。


「おお!それはありがたい・・・」


 老人は店から出て行きました。


「俺は砂糖をばらまくことで土壌を改良できる冒険者だ!」


「メルちゃん。カメリア村の今年の作柄は?」


「去年狼の獣人の娘さんが農業指導してくれたおかげで、大豊作ですよ」


「ふん!きっとその娘は大悪魔だな!今のうちに追い出しておかないと後悔するぜ!!」


 捨て台詞を吐くと砂糖を農地にまく冒険者は店から出ていきました。


「俺はエルフにサブマシンガンを持たせて無双する冒険者だ!!」


「では、紹介状を書きますのでカメリア村へどうぞ」


 エルフにサブマシンガンを持たせる冒険者たちは返ってきませんでした。


「駄目だったみたいだな」


「そうみたいですね」


「俺はあらゆる魔法を反射することが出来る冒険者だ!」


「では紹介状をお渡ししますのでカメリア村までお願いします」


 あらゆる魔法を反射する冒険者は、帝都から歩いて一時間の場所で死体となって発見されました。装備品はなく、状況からみて魔法の使えない盗賊に襲われたようです。


「俺は日本語で喋ると魔法が使える冒険者だ!」


「じゃあちょっと試してみましょうか?もちろんお店を壊さない範囲でです」


[火炎の矢氷の矢雷の矢風の矢」

「FIREBOLTICEBOLTTUNDERBOLTWINDBOLT」


「こいつはすげぇ!メルちゃんよりずっとすげぇ魔法使いだぜアンタは!!」


 元冒険者で今は酒場のマスターのロイは日本語で喋ると魔法が使える冒険者の能力に驚きました。


「・・・なんとなく俺が負けている気がするのは気のせいか?」


「じゃあもう一回勝負しましょうか?

FIREBOLTICEBOLTTUNDERBOLTWINDBOLT」

「ホノオヤコオリノヤカミナリノヤカゼノヤ」


「早口勝負でも話にならねぇ!アンタはメルちゃんよりぜぇつてえ強いぜ!!!流石は日本語で喋ると魔法が仕える冒険者様だ!きっとこの世界のどの魔法使いより頭が良いに違いねぇ!!!」


「これは紹介状です。任務の完遂を期待しています!」


「・・・行ってきます」


 ですが、日本語で喋ると魔法が使える冒険者は帰ってきませんでした。


「俺は他人の能力を奪う事で強くなる冒険者だ!」


「はい紹介状」


 他人の能力を奪う冒険者は、街中ですれ違った、仕事が見つからず、金もなく結婚も出来ず家賃が払えず借家を追い出された人々に肩がぶつかった際、喧嘩を売られてしまいました。そういう人達は奪うべき能力がないのでそのまま叩きのめされて死んでしまいました。


「俺は自分自身が法律な冒険者だ!国の法律より俺の方が偉いのだ!!」


 メルが紹介状を取り出すより先に自分自身が法律な冒険者は突如現れた60歳くらいの老人にナイフで刺されてしまいました。


「ぐっ!なんだ貴様は・・・?!」


「死刑制度は、イッケナーーーイ!!!」


「えっ?」


「私は人権刃弁護士です!(←『刃』は誤字ではない)死刑制度は廃止しなければならない!!!よって社会的に抹殺する!!!」


「あの、物理的に殺そうとしてませんか?」


 メルは思いっきり引きながらも老人に尋ねます。


「魔王マイルズが統治する魔物の国と戦争ができる軍隊が持てる法律も悪だっ!!!よってその法律も悪!!!ゴブリンやオークを異民族として入国を拒否する法律も悪!!!即ち断罪されるべき存在!!!

この男が法律なら今すぐ殺さねばならない!!!!」


「あの、人権刃弁護士さん。貴方は人殺しをしていいんですか?」


「私は法の番人だ。だから別にいいんだ。文句があるなら法廷で会おう」


 国の法律より自分が偉い冒険者は、返り血で真っ赤になった人権刃弁護士によって物理的に抹殺されてしまいました。


「俺は学校丸ごと召喚され、クラスメートを皆殺しにした冒険者!!」


「腕はありそうだけど、こいつヤバくないか?」


「一応送り込んでみましょう。はい紹介状」


 クラスメートを皆殺しにした冒険者は、街を出る前に老人に声をかけられました。


「君は学校丸ごと召喚され、クラスメートを皆殺しにした冒険者君だね?」


「そうだ。俺は地雷職と避けずまれ、のけ者のにされ、DQNやリア駐共から疎まれ・・・」

「それは君を取り巻く社会の方が間違っているのだ!!断じて君の責任ではないっ!!」


 老人は学校丸ごと召喚され、クラスメートを皆殺しにした冒険者の両肩を力強く掴んでいいます。


「あ、あんたは?」


「私は人権刃弁護士だ!君のような選ばれた存在を探していたんだよ!!」


「選ばれし存在?いや俺は不遇職で・・」


「不遇職?それは君の天職だよっ!!」


「しかし俺のスキルは地雷スキル」


「地雷スキル?それは個性だよ!君はこの世界にオンリーワン!ナンバーワンの存在なんだ!!」

  

「そ、そうかな?」


「さぁ!その力を私の、いや。世界を君の為に革命する為に使ってみないかい?」


「そ、そうだな。よし。やってみよう!!」


 学校丸ごと召喚され、クラスメートを皆殺しにした冒険者はメルが渡した紹介状を捨てると人権刃弁護士と共に歩いていきます。


「俺達は究極級の高校生!」

「俺は16歳でアメリカ大統領の高校生だ!!」

「同じく世界最強の剣豪よ!!」

「同じく財界のドン!世界の冨の999.9999999999パーセントは俺が牛耳っている!!!」

「同じく世界最高の忍者!!」

「同じく世界最高の発明家!!!!」

『この究極高校生にできぬことなどないっ!!!!』


 なんかこいつらうぜぇ。


「さぁとっとと仕事を依頼しろ。下等な異世界人めっ!!あっさりと俺達究極高校生が解決してくれるらわっ!!!」


 テーブル席にいたメルは厨房まで引っ込むと、ある物を究極高校生たちに見せました。


「これはお肉です」


「見ればわかる」


「ふん。それが豚肉か牛肉か鶏肉か当ててほしいのか?」


 メルはカマドに火をつけました。


「火をつけます。さらに乾いた木の葉などを入れてよく煙が出るようにします」


 メルはお肉を火に近づけず、煙の中に突っ込みました。


「下等な異世界人よ、いいことを教えてやろう。肉は火で焼かないと食べられないぞ?」


「そうだ。そして肉は両面焼きにした方が旨いのだ。まぁ貴様は異世界人だ。この程度の事も知らんだろうがな」


 しばらくして、メルは煙から肉を取り出しました。


「保存食の『燻製肉』です。塩も砂糖も使っていません」


「保存・・・食の・・・」


「くんせい・・・にく・・・だと・・・?!」


「塩も砂糖も・・・使っていないだと・・・?!!!」


 何をそんなに驚いたのでしょう。この究極級高校生という人達は。

 メルは『アメリカ大統領』だの、『忍者』なんて知りません。だって異世界人ですから。

 ただ、彼女はこいつらの態度がめちゃくちゃウザいので、ちょっぴり本気を出したくなっただけです。


「怯えることはないぞみんなッ!!!」


 16歳でアメリカ大統領と名乗った少年が仲間に激を入れました。


「し、しかしあのメイド燻製肉を造ったぞ?」


「そ、そうだ。異世界人なのに燻製肉を作るなんて、こんなのあり得ない・・・」


「よく考えてみるんだみんな。単なる異世界人に燻製肉が造れると思うか?きっとあのメイドは僕らと同じ転移者か、もしくは転生者に違いない」


「なるほど。そこに気づくとは俺達のリーダー16歳でアメリカ大統領だぜ!!」


 気分を取り直した究極高校生たち。


「早速ステータスチェックしてみるぜっ!!」


 結果はどうでしょう。


「筋力A敏捷A耐久A魔力A・・・・異世界人?」


「へっ、そいつはお前のステータスチェッカーの故障だぜ。俺が調べてやるぜ」


 隣にいた財界のドンが調べます。


「あ、あれれ?俺も故障みたいだ?あのメイドが能力Aで、奥にいる酒場の親父が能力Bの剣聖ってなっているぜ?」


「どうやら俺達全員体調不良のようだな。今日の所は引いてやろう」


 究極高校生たちは去っていきました。

 サウザンドスレイヤーロイの店を去ってからしばらくして究極高校生たちに声をかけた人物がいます。初老の男性です。


「君達、そこで何をしているんだね?」


「え?俺達はこの異世界を気楽に生きながら元の世界に帰る方法を探している究極高校生で」


「君達にはもっと大きな可能性があるはずだ」


「はっ?」


「そんなちっぽけな目的で済ませてしまってはいけない。君達は何のためにこの世界に来たんだね?」 


「あ、うーん。特に何にもないかなぁ」


「レガシーだよっ!!」


「れ、れがしいー?」


「未来への遺産!平和という社会を築き上げる為に日本から来たんだ!!違うかね?!」


「あ、でも俺16才でアメリカ大統」


「同じことじゃないか!僕たちは地球市民だ!」


「ち、ちきゅうしみん?」


「宇宙から見た地球に国境はあるだろうか?」


「えっと、ないかな?」


「そのとおおり!大正解だよ!!君は実に頭がいい!!!素晴らしい人間だよっ!!!さぁこの世界から国境をなくし、戦争のない平和な社会を築こうじゃないかっ!!その為に君たちは今ここにいるんだっ!!!キミタチハチキュウノコドモタチダッッ!!!!!」


 究極高校生たちは、人権刃弁護士に連れられ去っていきました。


「俺は迷宮内で財宝を見つけたが、仲間に裏切られ殺されてしまった冒険者!復活したので元仲間を殺す復讐の旅をしている!!」


「あ、この店二階宿屋になっているんですけど、その人達なら二階で寝ていますよ?」


「ちょっと殺してくる」


「おい、止めた方がよくないか?」


「そうでございますね。もうまにあわないので街の警備兵呼んで殺人罪で逮捕してもらいましょう」


 仲間に裏切れ殺されてしまい、復活したので元仲間を殺害した冒険者は裁判にかけられて死刑になるはずでしたが、人権刃弁護士のお蔭で無罪放免になりました。今ではSwordsという組織を結成し、死刑廃止運動に参加しています。

 また、各地の軍の基地の前でプラカードを掲げ、ゴブリンを殺害するな。魔王軍との戦争反対と言ったシュプレヒコールを上げています。とても輝いた目をしていて、今は人生にとてもやりがいを感じているようです。


「俺は常人の400億倍の速度で成長する冒険者だ!」


「それ、進化の果てに自滅しませんか?でも紹介状」


 常人の400億愛の速度で成長する冒険者も帰ってきませんでした。


「俺は奴隷契約することによって女の子を調教化できる冒険者だ!」


「はい紹介状です」


「ちょっと待て。このカメリア村の洞窟にはさらわれた女の子はいるのか?」


「え?いないと思いますよ。化け物の巣ですから。いても多分死んでるかと」


「じゃ、いかない」


 奴隷契約をすると女の子を調教化できる冒険者は帰ってしまいました。


「俺は安定志向の冒険者!」


「はい紹介状」


「この依頼に出てくる、ブレインイーターとか上級高位魔族とかいうのは危険なモンスターなのか?」


「そりゃもちろんでございますよ」


「じゃあ断る。僕は安定志向なんだ」


 安定志向の冒険者帰ってしまいました。


「俺は宝くじで金貨40億枚当たった冒険者!」


「受けてくださるんですか?依頼?」


「いや。今から宮殿作って女の子と達とイチャイチャする。君も来る?」


「私はカメリア村を護ららないと守らないといけないので駄目です」


「私はあらゆるものを鑑定できる冒険者!」


「あまり戦闘向きではなさそうですが・・・依頼を受けてくださるのですか?」


「いえ。今度帝都に雑貨屋を開くので宣伝に来ました!ヨロピクー」


「私は勇者を強盗に魔王呼ばわりされ国を奪われた哀れな男だ・・・。この店で一番安い飯を頼む」


「あ、ロイ様。まかない用のサンドイッチが余ってましたね?出してあげてください」


「それ、メルちゃんのぶんだろ?」


「お嬢さん。お心使い、暖かく頂戴する・・・」


「おい聞いたか?帝都の近郊で魔物大軍が突如押し寄せてきたってよ」


「やれやれ最近物騒になったもんだぜ」


「これも全部、魔王マイルズってやつの仕業なんだ・・」


「俺は相手のスキルを丸ごとコピーできる冒険者!」


「そいつは凄そうだな。ところで俺はしがない酒場の店主だが?」


「そのようだが?」


「俺がお前さんに真っ直ぐ行って殴り掛かったらどうなる?」


「単なるパンチはコピーできるようなスキルじゃないからそのままやられるぜ!!」


「ちょっぴり不安ですね。でも紹介状!」


 スキルをコピーできる冒険者は、ゴブリンの大軍に袋叩きにされているところを巡回中の警備隊に発見されました。


「オレは魔法の剣を抜いたら呪いでツインテールの女の子になってしまった冒険者だっ!」


「お、そういや武器屋の息子が嫁さんを探していたな。俺が紹介してやるよ」


「お願いしますねロイさん」


「オレは男だ!」


「あー武器屋の嫁になるからこれくらい元気な方がいいな」


「私武器屋さんに話をしてきますね」


「オレは男だと言っているだろう!!」


 ツインテールの女の子は武器屋の看板娘となり、冒険者を引退しました。


「やぁ!僕は地道に平凡な冒険者ライフをスローライフしている冒険者さ!」


「依頼を受けてくださるのですか?」


「あ、ごめん。君に用があるんじゃないんだ。そっちのロイさんだっけか?買ってもらいたいものがあるんだよ」


「俺にか?物を売るなら道具屋か、武器や防具や、魔法の品ならそれぞれの専門店に行った方が・・・」


「ジャーン!こいつを見てくれ!ドラゴンの卵さ!」


「なるほど。こいつを売りつけるなら武器屋や道具屋やよりも、飲食店に直接申し込んだ方がいいな。よし、今日の目玉料理は文字通りドラゴンエッグの目玉焼きだ」


「早速店の前に看板出しておきますね」


(ま、まって・・・!た、食べないでくれ・・・!!)


「メルちゃん何か言ったかい?」


「いいえ?何にも」


「うっ、この目玉焼きを食べただけで急にレベルアップしたような気がするなぁ」


「それ、プラシーボ効果って言うらしいですよ。何しろドラゴンの目玉焼きですからねぇ」


「そうか。そいつはすげぇな。大金を払ったかいがあったぜ」


「俺にも一口食わしてくれよ」


「私にも」


「ああいいぜ」


 ドラゴンの卵は、みんなで美味しく頂きました。

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