驚くべき力を持つ上級高位魔族(チートではない)
「まず、お前の名前を聞こうか」
カエルは、トヨヒサルスは眼の前にいるのがただのスケルトンだと思ったので尊大な態度で尋ねた。
「魔王マイルズ。仲間内ではツキシマ・マイゼンで通ってるけど」
動く白骨死体は答える。
「お前は異世界から来た存在だ。我々上位高等魔族の事など一切わからぬだろうからその能力の詳細を貴様に教えてやろう」
と、トヨヒサルスと名乗ったカエルは言った。
「まず我々はジャンプ一つで四階建ての建物の上に乗ることができる。もちろん魔力の消費など不要だ」
「あ、うん。凄いね」
そりゃできるだろう。だってカエルだもん。
「かと思えば垂直の壁に立つこともできる。もちろん魔力消費など不要だ」
「あ、うん。凄いね」
そりゃできるだろう。だってカエルだもん。
「水中呼吸も可能だ。もちろん魔力消費など不要だ」
「あ、うん。凄いね」
そりゃできるだろう。だってカエルだもん。
「手足が切断されても再生可能だ。まぁこれには少々魔力や体力を使うがな」
「あ、うん。凄いね」
そりゃできるだろう。だってカエルだもん。
「下等な人間共と違ってまったく食事を取らず、冬の間中過ごす事が可能だ。魔力も体力も消費しないぞ」
「あ、うん。凄いね」
そりゃできるだろう。てかそれただの冬眠じゃね?
「かと思えば人間サイズの生物を同化吸収し、己のエネルギーとする事が可能だ」
「あ、うん。凄いね」
それ丸のみにしてるんじゃね?
「全身を透明にし、他者から見えなくすることも可能だ。もちろん魔力消費など不要だ」
「あ、うん。凄いね」
なんでカメレオンみたいなことできるんだよお前カエルじゃん。
「視界のまったく効かない濃霧の中、100メートル先にいる
敵前衛ドワーフ×3 エルフ騎士×3
敵中衛エルフスナイパー×2
敵後衛エルフメイジキャスター×2
これらの位置を正確に把握し、五秒間隔で正確な攻撃を加え、殲滅することが可能だ」
「あ、うん。凄いね」
そりゃできるだろう。てか雨が降ったらお前ら無敵じゃん。カエルなんだし。
「そんな凄い連中がどうして異世界から魔王を呼び出そうなんて思ったんだ?」
「なぜかここ一番というところで人間共との戦いに勝てなくてな」
「何か思い当たる節はないか?」
「うーん。そうだな。あっ、前に人間共の国に攻めた時に奇妙な事があったな」
「奇妙な事?」
「塩が採れるという重要拠点があるという情報を使うんだのだ。そこには大きな湖があってな。大きな船が浮いていて、たくさんの兵士が乗っているのが見えたからひっくり返してやろうと思って湖に飛び込んだら
それだけで大きなダメージを受けたのだ。きっと何か危険な薬品を水の中に混ぜていたんだろうな」
海に飛び込んだんかい。それで重傷になるならお前らやっぱカエルやんけ。
手の中のスマートフォン型携帯を弄りながら魔王マイルズはそう思った。




