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さくらは、どうしたい?

カメドノがのーんびり説明してくれるのを真面目な顔で聞いていた雅人おにーさんは、急にびっくりした顔をしてあたしを見る。


どうしたの? 


不思議に思っていたら、あたしの側に膝をついてやんわりと頭を撫でてくれた。雅人おにーさんの手はいっつも優しくって気持ちいい。見上げたら、雅人おにーさんもあたしを見てて、目がバッチリと合う。


あ、これ雅人おにーさんがなにかあたしに言いたいことがある時の顔だ。それが分かったからあたし、ぴしっとお座りして雅人おにーさんの言葉を待った。



「さくら、亀様の言ってくれたこと、わかった?」



もちろん!


『選び直し』っていうのをやったら、雅人おにーさんとお話しできるようになるんでしょ? そのかわりしっぽがよっつになるまでは人の形にはなれなくなっちゃうんだよね。


だいじょうぶ! ちゃんと分かってる。


あたしはぶんぶんと首を縦に振って、分かってる! って表現した。



「さくらは、どうしたい? それでも話が出来る能力に選び直したい?」



もちろん! もちろんだよ、雅人おにーさん!


だってたくさん、たくさん、お話ししたいことがあるんだもん! 最初に雅人おにーさんについて行った時だって、きっとお話できたらあんなに怖がらせたりしなかった。


戦うときだって相談しながらできると思うし、危なくなったら逃げてって言える。


今だって思ってること全部伝わると思うんだもん!


人間の形になれたって、それで雅人おにーさんを守れる武器が増えたわけじゃない。ツメも牙も弱っちくって、腕も足も細くて頼りなかった。


人の形になれるなら、もっとおっきくなってからがいい。



気持ちのぶん、一生懸命に首を縦に振ったら、雅人おにーさんは「分かった、分かった」って笑ってくれた。隣で聡が「さくらが話せるようになったらうるさい……っていうか賑やかだろーな」って笑ってる。


うるさくは、しないもん……たぶん。



「よし! じゃあ、『選び直し』して貰おうか」



うん!



「あ、でも」



そう言って雅人おにーさんが立ち上がる。カメドノのところでまたしゃがみ込んで、雅人おにーさんはこう言った。



「亀殿、大事なことを聞くの、忘れてたんですけど」


「なんじゃあ~」


「その『選び直し』ってどうやるんですか? 危険なことがあったりとかは」



あたしも口があんぐり開いた。確かに! あたしはちょっとくらい怖かったり痛かったりしても別にいいけど、雅人おにーさんが痛い思いするのはイヤだなぁ。


心配になってカメドノの近くをウロウロしてたら、カメドノは片目だけ開けてあたしを面倒くさそうに見る。今鼻からぷしゅーって空気が出たの、もしかしてそれ、ため息?

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