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仔狐さくら、九尾を目指す  作者: 真弓りの


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滝へようこそ

明るい方に明るい方に進んでいったら急に光が溢れてきた。


うわぁ……。


暗い森の中にぽっかり、まあるくお空が見える。真っ青なお空を久しぶりに見た気分。


そして、切り立った崖の上からたっくさんの水が落ちてきていた。


すっごい迫力。


さっきからゴォオオオオって音がどんどん大きくなってるなぁって思ってたけど、この水が落ちてくる音だったんだ。



「すっげえ滝!」


「こんな山の奥に、こんな立派な滝があるなんて」



聡もおにーさんも、タキを見上げてわぁって声をあげている。すごいよね! お水ってこんなに怖いくらいな時もあるのね。雨がたくさん降って雅人おにーさんが「ゴウウだな」っていう時も怖いけど、このお水はもっと集まっていっせいに落ちてくる。


すごいなぁ、でもなんだかキレイ。



「おーい、かめ殿ー!!!」



タキを見上げてたら、あたしの隣で急にスオーさんがおっきな声を出す。あたし、びっくりしてもうちょっとでタキを受け止めてるおっきな水たまりに飛び込んじゃうところだった。霊体だから別に死なないけど、急に驚かすの、やめてほしいなぁ。



「かめ殿! かめ殿ー! シラト様の使いで来た! 起きてくれー!!」



スオーさんはどうやら誰かを呼んでるみたい。こんな水たまりにいったい誰がいるっていうんだろう。興味しんしんであっちこっちキョロキョロ見回してたら、そのうち水たまりの真ん中にプクプクとアワがたちはじめた。



「ヒトまで連れてきてなんの用じゃあ、気持ちよく眠っておったというに……」



小さなしわがれた声が聞こえてくる。ずいぶんとおじいちゃんみたい。



「悪いなー! あの尊い方の使いでこの者らが社に来てな、力を届けてくれたんだ。シラト様がこの者らに礼をしたいと仰ってね」


「ああー、義理がたいお方よの」


「水の音で話しにくいから、こっちに来てくれー!」


「面倒じゃのぅ」



ぶつくさ言いながら、カメドノがこっちにスススって寄ってくる。水の中なのにバシャバシャしないんだなぁってあたしはちょっと驚いた。



「え、蘇芳さん、今誰と話してるの?」



聡が思いっきりキョロキョロする。聡にはカメドノが見えてないみたいだ。そして雅人おにーさんは、真剣な顔でカメドノがいるあたりを見つめている。



「さくらのおかげかな、俺はちょっと見える」


「マジ!?」


「うん、本当に亀殿、だ」


「そりゃそうだよ。亀から転じて神になろうというお方だし」


「まだ、神様じゃないってこと?」


「あと百年はかかるんじゃない?」



カメドノは水音は立てないけど泳ぐのがとってもゆっくりだった。だから、こっちにたどり着くまでに意外とおしゃべりできてしまう。のんびりしてるなぁ。

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