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白いヒトの言う通りだ

うーーーーーイヤなヤツ! イヤなヤツ!


せっかくどっかに行ったと思ったのに、あっと言う間に戻ってきた上に「ヒトは弱いからねぇ」なんていらない事言うし。


まあなんか涼しくしてくれたみたいで雅人おにーさん達がラクになったっぽいから、そこは許すけど。


でもでも、コイツときたら雅人おにーさんに抱っこされてるあたしを見て、バカにしたみたいに笑ったんだもの。ゆうべからコイツ、失礼過ぎない?



「な、なによぅ」


「いいやぁ?」



意味ありげにフフン、と笑って白い人は跳ねるように石段を登ったりおりたりしながら雅人おにーさん達を案内する。



「ほらもうちょっと、頑張って」



なんて励ましたりしてるから、雅人おにーさんだけじゃなく、聡までグチらずに登ってるの。それはいいんだけどさ。なんでさっきからそうやってチラチラあたしを見るのよ。



「野狐は歩かないの? ご主人さまを守るはずの使役霊がさぁ、抱っこされて守られてるっておかしくない?」


「!」



あたしの耳がピンっと立った。だって恥ずかしくって……!


この白いヒトの言う通りだ。いくら神域で安全だと思ったからって、あたし確かにちょっと油断してた。


雅人おにーさんごめんなさい! あたし、降りる!



「うわ、暴れないで。大丈夫だよ、別に重くないし」



重いわけないじゃない! そうじゃないのよ、アイツが言ったみたいにあたし、ちゃんと雅人おにーさんたちを守らなきゃ。



「降りたいの?」



うん!


しっかりと雅人おにーさんの目をみたら、「分かった」って石段に降ろしてくれた。ストンと石段の上におりたつと、あたしは先頭にたって石段を登っていく。


見てて、あたしちゃんと雅人おにーさんたちの事守るから。



「うん、それでいい。じゃあ頑張ってね、野狐ちゃん」



にっこりと笑うと、白い人はまたフッと消えてしまった。


ヤなヤツだけど、言ってることは正しい。もしかしてあたしが甘えたことしてたから注意しに来てくれたのかな。この神社に関係がある人だって言ってたもんね。


あたしは気持ちをあらたに、長い長い石段をトテトテと登っていった。




それくらい登ったかわからない。


けっこうな時間ずうっと登り続けてやっと頂上についた時には、雅人おにーさんも聡もすっかりへばっちゃって、石畳のうえに座り込んでハァハァ言いっぱなしだった。



「なんか見た目より石段めちゃくちゃ多くなかったか?」


「神域だからかな。白龍様の神社も、なんかそんな感じするよね」



良かった、二人ともようやっと話せるようになったみたい。ダラダラ垂れてた汗をぬぐって、よいしょって立ち上がると、やっと社に向かって歩き始めた。

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