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仔狐さくら、九尾を目指す  作者: 真弓りの


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目が覚めたら

目が覚めたら、知らない天井が見えた。


ゆっくりと辺りを見回すと、心配そうな聡の顔がある。



「……聡?」


「うおー!!! 起きた! 起きたよ、ばーちゃん!」


「分かってるよ、うるさいねえ」



片手で耳の穴を塞いでみせる百合香さんは、おばあちゃんながらなかなかにチャーミングだ。そして百合香さんのもう一方の手は、なぜか俺の手をしっかりと握っている。


なんだろうな、なんか百合香さんの手からポカポカあったかい空気が流れて来てるみたい……もしかしてこれ、霊気か!?


慌てて起き上がろうとしたら、腹の辺りがズシっと重い気がして起き上がれなかった。



「無理するんじゃないよ、まだ霊気の補充中なんだから。もうしばらくは大人しく横になっていい子にしておいで」



百合香さんに額をグイッと押されて、布団の中に逆戻り。なんか気恥ずかしいけど、確かにちょっと動いただけで眩暈もすごい。ここは大人しく言う事を聞いておくしかないみたいだ。



「そーだよ雅人、気絶するまで力使い果たすとか、マジでやめて。お前運ぶの、死ぬかと思うほど大変だったんだからな!」



聡からも本気の苦情を受けて、俺はやっと頭が働くようになってきた。


そっか、俺……浄霊しようとして倒れたのか。



「聡が運んでくれたのか?」


「そうだよ! お前細そうに見えて重いのなんのって! 二度と気絶するなよ」



ぶーぶー文句を言いながらも、俺が無駄に起き上がろうとしたせいで半端にめくれてしまった布団を掛けなおしてくれる聡は、なんだかんだ言っていいヤツだ。


そういえば。こんな時いの一番で飛びかかってきそうなウチの可愛いモフモフはどうしたんだろう。視線だけをあちこち動かしてみたけれど、その小さな姿が見えない。


俺は急に不安になった。



「さくら、は」


「布団の中。お前の腹んとこで丸くなって寝てる」



あ、だから重たかったのか。



「お前、体温さがっちまって死んだみたいに冷たかったからさ。あっためようとしたんだろ」


「さっきまで頑張って起きてたんだけどねえ、随分と疲れてたみたいだから。さくらちゃんも、もうちょっと寝かしといておあげ」



良かった。無事だったんだ。


ふとんを少しだけ持ち上げて腹の辺りを見てみたら、幸せそうに眠る子狐の姿が見えた。


ふすー……、ふすー……と、小さな寝息が聞こえるたびに鼻先の小さなヒゲが可愛く揺れる。


なんとも平和だ。確かにもうちょっと寝かせておいてやりたい。こんな小さな体で、勇敢に戦ってくれたんだもんな。


さくらの無事が分かったら、やっぱり次に気になるのは当然あの子たちの事だった。



「あの子達は、浄化できたのかな」



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