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見えてきたもの。

雅人おにーさんはウンウン唸っているけれど、あたしには何がなんだか分からなかった。


不思議なのは、あのウネウネが急に攻撃してこなくなった事。


雅人おにーさんがなんだか集中している間、攻撃されちゃたまらないって思って凄く警戒してたんだけど、ウネウネときたらどうした事かあんまり動かないの。


なんか今までは全力で腕や髪の毛の束を外へ外へ動かしてたくせに、急に縮こまっちゃって自分を守るみたいにまあるくマユみたいになっている。


なんなんだろ、いったい。



「さくら、分かる?」



雅人おにーさんに聞かれたけれど、何を「分かる?」って聞かれてるのかすら分からなくって、あたしはコテン、と小首を傾げた。「ダメか……」ってガックリされたけど、分からないものはしょうがないよね。



「くう〜無理! 血管切れる!」


「アホだねえ、力入れりゃイメージが送れるってわけでもないだろう」



ウメさんが呆れたみたいにそう言って、少し考えるみたいにシッポの先をパタリ、パタリと上下に振る。ウメさんのこのゆっくりシッポパタパタはとっても可愛い。あたしの大きなシッポじゃなかなかああはできない。


いいなあ。



「とりあえず、まずはじっくり対象をみる。瞼に灼きつくくらいしっかりと」


「これ以上ないくらいガン見してる」


「あとは……そうだねえ、凄く綺麗な桜を見てそれを誰かに話すとするだろう?」


「お? おう」



いきなり例え話をされて雅人おにーさんは面食らったみたいだった。集中してた顔がポカンとなって、逆にあたしはなんだか安心する。


雅人おにーさんがあたしに何を見せようとしてるのかわからないけど、あたしも雅人おにーさんから送られてくる念?みたいなものをちゃんと受け取れるように一生懸命頑張ろうと思うの。



「その時は、頭の中に綺麗な桜があってそれを言葉で伝えようとするんじゃないかい?」


「ああ、まあそうだな」


「その頭に浮かんだ映像を、言葉じゃなくて霊気を通じて伝えるのさ」


「そこがムズいんですけど」



うん、なんか、だよね……。



「でもなんか映像を頭に浮かべてってのは、なんかちょっといいかも知れない」



そうつぶやいた雅人おにーさんは、ふう……と長く息をついて、ウネウネをジッと見つめた。


真剣な顔を見上げていたら、雅人おにーさんがそっと目を閉じる。そうしたら、あたしを抱き上げたままの腕からジンワリとあったかい霊気が流れ込んできた。



あ……!



ぼんやり、何か映像が見える。


ウネウネに重なって、ユラユラと靄みたいに何か見える。


なあに?



少しづつ靄の方がはっきり見えてきて、ウネウネが別の姿を取りはじめる。


ちいちゃな、きかん気そうな女の子。


何かを守るように、抱きしめてる。


これって。

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