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どうしてなの、雅人おにーさん

どうして?


雅人おにーさんが止めるから、あたし頑張ってあの黒いウネウネの髪の毛に飛びかかるのをやめたけど、まだアイツ、危険がなくなったわけじゃないと思うんだ。


それなのに、雅人おにーさん、なんでかアイツに近寄ろうとするの。


あたし雅人おにーさんを守りたいのに、どんなに頑張ってもしっかり抱っこされちゃって動けない。ジタバタしてもよしよしって頭をなでられて喉のあたりをモフモフされるの。


気持ちよくって思わずうっとりしちゃうけど、そんなことしてる場合じゃないのよう。


そんな間にも雅人おにーさんはなぜかズカズカとアイツに近づいていく。



「君、名前は?」



えっ!?


あたしは驚いて、思わず雅人おにーさんとあのウネウネのアイツを何度も何度も見比べた。


どうしたの雅人おにーさん、ちょっ……なんでさらに近づいてるの!?


ダメだってば!!!



必死に手足をバタバタさせて身をよじってみても、すっかりあたしを抱っこすることに慣れてしまった雅人おにーさんの腕は絶妙にポジションを変えながらあたしの身体を確保する。


うう、手強い……!



「大丈夫、少し話をしないか?」



なおもウネウネに果敢に話かけている雅人おにーさん。なんだっていうんだろう。小さくなったアイツなら話を聞いてくれるとでも言うのかな。


あれ?

でも、確かにちょっとウネウネの動きがちょっとゆるやかになってきてるかも?


疑問に思ったあたしは、とりあえず暴れるのをやめて、あのウネウネを一生懸命観察した。


不思議、雅人おにーさんが声をかけるたびにウネウネがおとなしくなっていくの。攻撃するみたいに外へ向かってウネウネ動いていた髪の毛は、今はもう身を守るみたいに本体の周りをフヨフヨととりまいている。



「……さくら?」



どれくらいの間アイツを見てたのかは分からないけど、雅人おにーさんに呼ばれてハッとした。見上げたらちょっと心配そうな顔であたしをみている。


急にジタバタしなくなったから、かえって心配させちゃったみたい?


目が合うと安心したみたいににっこり笑って、頭をポンポンと軽く撫でてくれた。



「雅人、さくらにも見せてやりな」



突然、ウメさんの声が聞こえてびっくりする。なんとウメさんは音もなくひらりと雅人おにーさんの肩に飛び乗っていた。



「は? 見せるってどうやって?」


「お前とさくらは霊気の質を共有してる、見せてやろうと思えばできない事もないだろう。念じてみな」


「え、見えろって念じるわけ?」


「ばかだねえ、今自分が見てる映像をさくらに送るイメージだよ」


「難易度たかっ」



ブツクサ言いながらも、雅人おにーさんが目を閉じた。

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