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第二波、発射!

あの悪霊、なんだか霊気の質が変わってるみたい。


そう思えて、あたしは一生懸命に目を凝らしてあいつをジッと見てみた。


……なんかさっきよりは、霊気の質が薄いっていうの?


さっきまではたっくさんの気が混ざりあってて真っ黒かったのに、今はなんかそれが少なくなってるの。


あいつが瘴気を撒き散らして雅人おにーさんが浄化した時、たくさんの気がきれいに天に消えていった。もう一度あんな風にできれば、あいつはもっと小さくなるのかも知れない。


雅人おにーさんにまた浄化して貰うのは申し訳ないけれど、それでも、あたしはもう一度同じ事をした方がいい気がしていた。


だって、雅人おにーさんに浄化して貰ってお空に溶けていったにゃんこやわんこ達、なんだか嬉しそうに見えたんだもの。キラキラ光って綺麗になったんだもの。



ちらりと雅人おにーさんを見て、あたしはゆっくりと大きくシッポを振ってみた。



だって雅人おにーさん「霊気がほしい時は尻尾を大きく振ってくれ」って言ってたもんね。



ふわっふわっとシッポを振れば、雅人おにーさんは大きく頷いて、胸の前で両手を合わせる。霊気がみるみる掌の間に溜まっていって掌の間には大きな空間が出来た。


その場から一歩も動かずに、雅人おにーさんはあたしに向かって大きな霊気を飛ばしてくれる。


まん丸のボールみたい、でもすっごく美味しそうな霊気をキャッチして飲み込むと、あたしの体の中にあったかくて幸せな霊気が溢れてくる。



大好きな霊気が体に満ちて、勇気100倍!



なんでもできそうな気分になっちゃう。ひらりひらりと少なくなった腕を躱しながら悪霊の本体に近づいた。さっきは腕がたくさんあったから、近づくのだって難しかったけど、今は違う。


髪の量も腕の本数も半分以下、今なら本体に直接牙を立てる事も容易かもしれない。


あたしを捕まえようと蠢く髪や腕を躱し、思いっきり本体に牙を立てる。ズブリ、と肉に牙がめり込む確かな感触を感じた瞬間、あたしは雅人おにーさんがくれた暖かい霊気を一気に牙から流し込んだ。



「グギャァァァァッ!」



断末魔にようなおぞましい声と共に、再び、腕が、黒髪が撒き散らされていく。当然その落ちた肉片や髪の束は蒸発する時に焼けるような音とにおいを撒き散らす。


そしてまた、大量の瘴気があたりを包んだ。



やっぱりさっきと全くおんなじ。



振り返ったら、雅人おにーさんが一心に祝詞を上げているのが見えた。今日はたくさん霊気を使わせちゃってごめんなさい。でも、あたしじゃ浄化は出来ないんだもの。


瘴気の靄が光り始めたのを見届けて、あたしは視線を前に戻した。


本体を仕留めるのは、あたしの役目だと思うの!

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