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あたしの気持ち、分かって!

あたしもう、ノドが痛くなるくらい「ぜったいダメ!」って叫んでるのに、雅人おにーさんはあたしを抱っこしたまま目を閉じて、ずうっと考え込んでいる。


もう!考え込むまでもないじゃない。いっちばん最初のヤツがいいに決まってるよ。


雅人おにーさんの霊力をあたしにくれれば、しばらくの間あたしが狙われ易くなったって、あたしきっと戦える。あとは雅人おにーさんから毎日貰える霊力が少なくなって、お腹へるの……ガマン、できるもん。ママといた時だって何日も食べられなかった事も何度もあったよ?


だから大丈夫。

雅人おにーさん、神社なんかに預けないでね。


なんとか分かって欲しくて、雅人おにーさんの首のあたりにスリスリと身を寄せた。いつものジーンズとはちょっと違うTシャツとかいう服の優しい感触が、少しだけあたしの心を落ち着かせる。


そうしたら、それに気付いた雅人おにーさんが薄っすらと目を開けてあたしを見た。目があって、雅人おにーさんはちょっとだけ笑ってくれる。そのままあたしを抱き上げて、カンヌシさんに一歩近づいた。



「すみません、通訳して貰えませんか?」



カンヌシさんは一瞬驚いた顔をしてたけど、後ろでタイクツそうに浮いている白龍をチラッと見て様子をうかがっている。そして白龍は、なんでだかあたしを見た。



「あやつと、話したいか」



重ーい声が降ってくるけど、その声はなんだかいつもより優しかった。

それにしてもあやつって……雅人おにーさんの事……?



「は、話したい!話したい!話したいよ!」


「おお、耳が痛い。やれ、相変わらずやかましい野狐よ」



すんごくうるさそうに呟いて、少し身をよじって見せるのがハラたつけど、今はそんな事言ってる場合じゃない。



「お願い……お願いします!少しだけでもいいの……!」



雅人おにーさんの腕からひらりと飛び降り、毎日ご飯を貰う前に必ずやる、伏せのポーズで一生懸命お願いした。



「……もう良い、お主の心は我がしかと伝えてやろう」



白龍がそう言ったとたん、カンヌシさんがにっこりと微笑み、雅人おにーさんに「良かったですね、白龍様が通訳してくださるそうですよ」って、請け負ってくれた。雅人おにーさんも「ありがとうございます!」って、もの凄い勢いよく体をくの字に折った。あたしも嬉しくってシッポを全力で振ったの。


ありがとう、白龍!

あなた本当はすっごくすっごく良いヤツだったのね!



「俺、ちゃんとさくらと話し合って決めたいんです。さくらは、どうしたいって言ってますか?」

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