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割と怖くない?

任せて!とでも言わんばかりに、千切れそうな勢いでふわふわしっぽを振りまくるさくらを見て、思わず吹き出してしまった。ホント可愛いなこいつ。相変わらず言葉が通じるわけじゃないから、感情表現は専らしっぽや耳の動きと鳴き声だ。


しかしぶっちゃけ狐の鳴き声には詳しくない。


俺の部屋の悪霊もいなくなった事だしと神主さんがせっかくさくらの声が聞き取りやすいようにしてくれたんだけど、よくある「コーン」的鳴き声なんか全然発さないし。まあ発されても分からないけど……とにかく、なんか犬が風邪ひいたみたいな感じ?お狐さまの鳴き声は、どシロウトの俺には感情まで読み取れるような都合のいいもんじゃなかったわけだ。


ただし、かわりにと言っちゃなんだが、さくらは表情も豊かで、耳としっぽもよく動く。さくらをしっかり見てさえいれば、なんとなく嬉しい、悲しい的感情の動きだけは見当がつくってのはありがたかった。


今はちょっぴり御立腹だ。

ほっぺたがぷうっと膨らんで、しっぽがぶわっと広がってる。

せっかく『守る』って意思表示したのに、俺が吹き出したのがお気に召さなかったんだろう。



「ごめんごめん、さくらが守ってくれるんだよな」



ヨシヨシとなでれば、拗ねたみたいにそっぽを向くのに、しっぽが全力で揺れていた。可愛い。



「ゆうべも守ってくれたもんな、ありがとな」


「ちぇー、いいなあ雅人。こんなケモ耳のかあいい子に守ってもらうなんて、この幸せ者め!」


「お前はネコマタ予備軍のウメさんに守って貰え」


「ええ〜、ウメさん超引っ掻くし。女王様気質だから守ってくれる気全然しねえよ。むしろ盾にされる気しかしねえ」


「……それはなんて言うか、御愁傷様?」



どうやら聡は本気で言っているらしい。相当なめられてんだろうなあ、まあ聡が生まれる前からいたんだったらそれも仕方ないのか。弟分とか……子分程度にしか思われてなかったりしてな。


ぶすくれる聡に笑いかけながら、慰めに肩を軽く叩く。

安心しろ聡、悪霊も何だかんだで退治できたんだ、もはやさくらにもウメさんにも体をはってもらう必要なんかないって。



「ま、気にすんな!守ってもらうなんて事もそうそうないって!」


「おや、そんな事はないですよ」



なんと、間髪入れずに神主さんに否定されてしまった。



「え?どういう事ですか。今まで別に今回みたいな怖い目にあった事なんかないですよ」


「今まではね、でもこれからは違います。あなたはもうさくらちゃんという使狐をもち、悪霊を倒した事で霊力もあがっています。白龍様との縁もできた。それなりに力のある者は力のカラーを読んで神に繋がりがあることを感じ取るでしょうが、その辺の雑鬼からみたら単に美味しそうな霊力をダダ漏れさせてる人ですからね」



なにそれ怖い。



「い、いつの間にそんな怖い事になっちゃったんですか」


「この神社に来てからですよ。で、今朝からは特に。二尾にレベルアップしたさくらちゃんが睨みをきかせてるから、本当に低級なのは近寄れないかも知れませんけどね」


「うっわ、すげー。ゲームみたいだなー雅人!スライム程度じゃ近寄れませんってか」



聡の言葉にがっくり来た。

たぶんそんなのんきな感じの話じゃないから!

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