神社へGo!
「おやおや、もう人の形がとれるようになったのかい?」
カンヌシさんが驚いたみたいにあたしを見る。
そう、あたし、今ニンゲンみたいに見えてるみたい。手も足もスラッと長くなって、なんと雅人おにーさんみたいに立って歩けるようになっちゃったの!
可愛い可愛いって雅人おにーさんも聡も褒めてくれて、ちょっと嬉しかったんだけど……。
「ほう、尾が増えたではないか」
そうなの、なんかしっぽが勝手に増えちゃったの。体もなんだかおっきくなったみたい。
ねぇあたし、どうなっちゃうの?
ねぇ白龍ったら、満足そうに首肯いてないで教えてよぅ……!
そもそもここに来たのだって、そのためなんだから。
急にあたしはニンゲンみたいになるし、しっぽは増えるし、それなのに言葉だけは通じないしで、とっても困った雅人おにーさんは、結局あたしと聡をお供に、またこの白龍たちがいるジンジャにやって来た。たぶん、助けを求めに来たんだと思うの。
ねぇったら。
勿体ぶらないで教えてよ。
「やれ、うるさい野狐よ。霊力があがってもそう簡単には落ち着かぬものか」
相変わらず面倒くさそうな白龍を苦笑しながら見上げたカンヌシさんが、あたしと雅人おにーさんを交互に見ながらやっと説明に入ってくれた。
「どうやら雅人君の霊力を吸収した事と、部屋の悪霊を祓った事で霊位が上がったようですね。尾が増えたのはその証ですよ」
「へぇーすげぇ!さくらちゃん、レベルアップ⁉」
「聡が言うと途端に軽く聞こえるな」
「まあでも、そういう意味ですけどね。しかし尾が増えるくらい霊位が上がるなんて、普通こんなに短期間ではなかなか起こらない事なんですが……」
そういってカンヌシさんはしげしげとあたしを見つめる。どうやら珍しいことみたい。
「結構珍しい事なんですか?」
「そうですね、私が驚くほどには凄く早いですよ。それに普通、動物霊が人の形をとれるようになるのも、もっと霊位があがってからですしね」
「へぇー、さくらちゃん、凄いじゃん!」
えへへ聡、もっと褒めて。
ああっ!雅人おにーさん、ニコニコしてる!
これは頭なでなでしてくれる予感!
期待に目をキラキラさせて全力でしっぽをフリフリしたら、雅人おにーさんがいい子いい子してくれた。
「ふん、狐霊は古来より化けるのが得意ゆえ、他の生類とは異なるのだ。意思疎通が後まわしになるのも不便なものよな」
白龍が重々しく言えば、カンヌシさんが、ああなるほど、と首肯いた。
「なるほど、狐霊は進化の過程が他の動物霊とは一線を画しているようですね」