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さくら! あたしの名前、さくら!

さくら!


さくらって、あのキレイで可愛いぴんく色のお花だよね。雅人おにーさんにくっついてるようになってから、いっつもテレビで見てたから、あたし、知ってる!


さくらが咲いたとか、キレイだとか、み~んなお花を見るために集まっちゃうくらい、凄いお花でしょ⁉


あのキレイなお花の名前、あたしにつけてくれるの⁉


嬉しい!

すっごく、嬉しい!



あんまり嬉しくて我慢出来なくって、あたし、雅人おにーさんの周りをピョンピョン跳びはねちゃった。あたしの声は今は雅人おにーさんには聞こえないから、嬉しいってことが伝わるといいな。



あれ?

雅人おにーさん、ちょっと仰け反ってる?



イマイチ伝わらなかったのかな?



どうしても嬉しいって分かって欲しいあたしは、ピョーン!と大きく跳びはねて雅人おにーさんの肩に飛び乗る。首を伸ばして頬っぺたを一生懸命舐めてみた。だってママにありがとうを言う時は、こうしてペロペロ舐めてたもの。これならきっと伝わる筈だ。



雅人おにーさんは大げさに「やっ、やめろって、くすぐってー!」とか叫んで嬉しそうに身を捩って……すぐにはっとしたみたいに慌ててキョロキョロしてる。


大丈夫、誰もいないよ。

あたしは悲しいことに普通の人には見えないってカンヌシさん言ってたもの。だから、周りから変に見えないように気をつけてって。あたしも雅人おにーさんに迷惑になるのだけはイヤだから、ちゃんと気をつけるね。





少しだけ赤くなった雅人おにーさんは、そそくさとお家に帰った。お家に帰ればあの黒いイヤなヤツがいるわけで、あたしは早速部屋の隅っこに向かって毛を逆立てて唸ってやったの。


「何、毛とか逆立てちゃって……あ、まさか」


のんびりそんな事言う雅人おにーさん。見えないって平和だね。でも、雅人おにーさんも今日はちょっぴり様子が違う。少~し青くなって「うわ、マジか。もしかしてそこに居るわけ?」とか呟いてる。


そう、そこに居るの。



このところ夜の間に結構戦ってきたから、ヤツもあたしに敵わない事は分かってきたみたい。あたしが睨みをきかせたら、部屋の隅っこで身を縮めている。



うん、そこで小さくなってればいいのよ。

分かってると思うけど、雅人おにーさんに近付かないでね!



ふん、と鼻息荒く最後にひと声吠えてから、満足したあたしは雅人おにーさんの足元に走り寄って、すねのあたりにスリスリと身を寄せた。



いい仕事したから、ちょっとだけ、褒めて欲しい。



雅人おにーさんは「あれ?悪霊、いなくなったのか?」とか見当違いな事を呟いてから、それでもあたしの頭をもふもふと撫でてくれたの。



ああ、雅人おにーさんに撫でて貰えるようになるなんて、夢みたい。あたし、頑張るからね!

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