表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

第7話 災厄

お読み頂きましてありがとうございます。

 それは、翌日次の街に向かおうと第9騎士団所有の馬車に荷物をくくりつけているときに起こった。


 地面から突き上げるような揺れが街を襲う。


 不思議なことに街は一切被害をうけていない。まるでそこに立っている人間にだけ振動が伝わってきているかのようだった。


「まさか! あれを見ろ!」


 団長の悲痛な声をきき、指差す方向を見た。それは、昨日まで攻略中だったダンジョンの方向だ。


 目の錯覚か?


 ダンジョンの入り口だった山がひときわ大きく見える。周囲は暗雲が立ち込め、今にも雨が振り出しそうだ。


 収二がもう攻略したのだろうか。それにしては、団長の動揺がすさまじい。


 俺が茫然とする団長を覚醒させ問いただしてみると、伝記などで伝えられている。天より災厄が降ってきたときの絵画にそっくりな光景なのだという。


 その災厄は小さな国なら滅んでしまう規模のものらしい。いま、あのダンジョンには収二と皇女や牧戸さんも居る。


 さらに続けて問いただすとダンジョンストーンを取り外した場合には規模の大小は違うが災厄が降りかかった例があるという。


 まさか、収二が!


 しかし、傍には皇女がついていたはず。皇族である彼女がそういった歴史を知らないはずは無いだろう。


 俺がそう言うと団長は首を振る。団長の話では彼女はそう言った古くから伝えられていることに否定的だったらしい。


 では絶望的じゃないか。


「行こう!」


 俺がそう言うと団長は頭が混乱しているのかこちらを見返してくるばかりだった。


「だから! 今ダンジョンに取り残されている人たちが居るんだろう。それは、誰が把握しているんだ!」


「ああ、この街の冒険者ギルドだ。そうか初心者冒険者たちか。特に俺たち騎士団が入っていたから、おこぼれを頂戴しようとかなりの数が入っていたはずだ。」


 ようやく団長の頭が回ってきたらしい。


・・・・・・・


 団員たちにはその場で待機するように指示が飛び、俺たちは冒険者ギルドに向かう。


「おいギルド長を呼べ!」


「はっ、只今!」


 団長が顔見知りの職員を呼び止め指示を出す。


「何事だ。おおこれはこれは、ヨーシノじゃねえか、久し振りだな。なんだ、もう騎士団をクビになったのか?」


「ハーナマル! 冗談を言っている場合じゃないんだ! 災厄が降りかかってくるぞ。」


「またまた・・・冗談じゃねえのかよ。」


 団長の真剣な表情を読み取ったギルド長が一瞬固まる。


「どうやら、勇者がダンジョンストーンを抜き取ったらしい。」


「何だと! なにをしてくれたんだ。だから異世界の連中は信用ならねえんだ。」


「おい!」


 団長が俺にすまなそうな視線を向ける。


「だが、連中には教育係がついていたはずだぞ!」


「あいつについているのは、デニー皇女だ。」


「あの小娘か。ありゃダメだ。頭でっかちで使いもんにならねえ。たまたま、召喚魔法を使える資質を持って生まれただけだ。」


「それよりも、今ダンジョンにどれだけの冒険者が入っているか把握しているか?」


「お、お前、助けだそうというのか。無理だ。地下1階にラスボスがでてくるかもしれないんだぞ。やめておけ、いくら元A級のお前でもラスボスが数匹いっぺんに掛かって来られては身体がいくつあっても足りないぞ。」


「俺が助ける。」


 そこで初めて俺が発言する。いくら皇女がついていたとはいえ、こんな事態を引き起こしてしまったんだ。なんらかの手を打たないと勇者たち一行は一蓮托生で処刑されるか、黒竜の餌だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ