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第6話 勇者登場

「遅せーよ。まだこんなところでグズグズしてるとはな。俺様が来たからには、こんなダンジョンなんて簡単に攻略できるのによー。」


 地下11階から急にモンスターの数が増えたせいで1日1階進むのが精一杯になっていた。どうやら、地下10階までは、日々多くの冒険者たちが攻略しているので少なかったらしい。


 そこに現れたのが収二だ。


「お前、伝説級の剣を貰ったんだって。役立たずのお前にゃ不相応だ。返せよ。それは俺の物だ。」


 どうやら、俺が皇帝から剣を貰ったのが気に入らないらしい。それをわざわざ取り上げにくるなんていったいどこのいじめっ子だよ。・・・そういえばいじめっ子だったな。異世界に来てもいじめっ子気質が抜けないとは可哀想な奴だ。


「これは、皇帝より賜ったものだ。必要とあらば、直接お返しする。それが礼儀だ。」


「ならば、取り上げるまでだ。」


 そう言いながら、近寄ってくる。あまり仲間内での諍いを騎士団の団員たちにみせるのは良くない。さあ、どうするべきか。


 俺が対応方法を迷っていると団長が目の前に立ちふさがる。どうやら収二の態度に堪忍袋の緒が切れたらしい。続けて団員たちが俺の周囲で収二からガードする。


 まあ自分たちの主たる皇帝を軽んじれば、こうなるのは自明の理だ。


「なんだ! お前たち、勇者の俺に反抗するというのか。全くどいつもこいつも・・・担当の第1騎士団も第2騎士団も臆病風にふかれたのか。ついてきやがらないし、どうなってんだ。この国の騎士団は・・・。」


 嫌われているのがわかってないらしい。


「まあいい。俺にはこの剣があるしな。」


 召喚直後に皇帝から賜った大ぶりの剣を見せびらかす。それならば、わざわざ、俺が貰った剣を取り上げにくんな!


 そのときだった。団長でも正面からでは、倒すのに30分以上かかるという強敵が現れた。このモンスターも背中が弱点だ。


 剣の威力を見せびらかすチャンスとばかりに収二は躍り掛かっていく。


「さあ、帰ろっか。勇者もきたことだし・・・。」


 戦っている収二を尻目に帰る算段をつける。第9騎士団の団員たちは揃って頷いた。彼らも収二の活躍なんかみたくないのだろう。


「おい。逃げるのかよ。この臆病者め!」


 後ろから収二の声が降ってくるが無視だ。


・・・・・・・


 さすがに収二の通った跡は、敵らしい敵も居なくて半日程度で地上に戻ってこれた。地上に戻る呪符があるらしいのだか、帰り道も訓練の一部だと思うことにする。


「この後、どうするんだ? 帝都に戻るか?」


 地上にある宿に戻った。団長から今後の方針を聞かれる。団長としては直接、皇帝から、先程の件の真意を聞きたいのだろう。


「いや、他のダンジョンに行こう。あるんだろ? 背中が弱点のモンスターたちばかりが出るダンジョン。」


 そもそもデモンストレーションなのだ。それが2件になったからと言って不足があるわけでもないだろう。


「いいのか?」


「皇帝陛下から直接、依頼された仕事だ。途中で投げ出すわけにもいかないだろう。本当に剣を返さなければならないになら、この宿に使者が来ているはずだろう?」


「次のダンジョンは、ここから3日ほど東にいったところにある街のすぐ近くだ。」


「おい! 貴様。初めから次のダンジョンを用意してやがったなぁ!」


 それでなくては、検討もせずにいきなり場所がでてくるはずがないのだ。


「あっ、バレた?」


 そんなデカい図体でカワイコぶっても気持ち悪いだけだ。まったく!



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