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針子の乙女  作者: ゼロキ
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前国王と

精霊は時々人に付く、精霊付きは病気になりにくいし、怪我の治りなども早い……当初の私の衰弱具合はかなりのもので、精霊を見れない感じられない人もすぐに精霊付きだと判断出来たらしい。

それ自体は、そう珍しいことではない。

とはいっても、普通なら産まれたばかりのが気まぐれに守護?したり離れたりと、力ある魔術師以外は力の強い精霊に常に守護されることはないらしい。

だから精霊の力を宿す守護縫いが出来るヌィール家が、あのろくでもない人達でも力を持っているのだ。


で、私に常に纏わりついてる精霊は基本三体だ。

初めて精霊治療してあげた……今では花飾りがお姫様みたいな精霊さん

白いうさ耳に先っぽだけが仄かに青い、天女っぽい衣装の精霊さん

紫色で大抵私の影の中にいる精霊さんは、珍しい男性型タイプだ。

他にもこれまで繕ってあげた精霊さん達が入れ替わり立ち替わり遊びに来てくれる。

でも基本ヌィール家では、こっそり人のいない時にだった。

三体も人のいる時には出てこなかった。

今はもうお屋敷に安住してるんじゃ?ってくらい、のびのび飛び回り使用人さん達にも懐いている。

……と、いうか傷ついてる精霊がよくいたヌィール家がおかしかった。

もしかしてあの家、呪霊師がいたのかもしれない。

いや、私のことを知った精霊達が仲間に教えて、それで治療してもらうために来てたのかと思ってたけど、この家に来てからスクル様が保護してた精霊達以外、傷ついた精霊に会わないし。

魔眼持ちのスクル様が言うには、基本精霊は普通の人達には見られないので、隠れたりとかはしないんだそうだ。

嫌いな人間には近付きもしないし、姿も隠すそうだが。

うん、怪しい。

そういったことをちょろっと言ってみたら、スクル様は「了解しました」と、にっこり微笑まれた。

なんかちょっと、味方で良かったと思わせる笑みだった。


そんな感じで、精霊もこの屋敷に慣れ、私も何とか仕事に完全復帰出来た頃

私は御主人様であるロダン様に呼ばれ、屋敷の客間にて待機することとなった。





なにこれ最悪


ロダン様に連れられて来た男性を見て、まず思った正直な感想がコレである。

本体はイイ

群青色の髪と、琥珀色の目

顎に髭を蓄えた長身細身(細まっちょってやつですな)手足の長い、見事なモデル体型のおじさまである。

前世の外国の男優に居そうな、ちょい悪親父風色男タイプである。

いや、中身が良すぎるから、余計悲惨である。

落ち着いた黒と群青色の挿し色……色見はともかく、服の裁断から縫製、全てがことごとく残念なのだ。

「ユイ、この方は前国王で…」

ご主人であるロダン様がなにやら紹介してくださってるが、ほとんど耳に入らないくらい愕然としてたと思う。

はっきり言って、この服作った針子は馬鹿かと。

モデルがコレで、よくも恥ずかしい腕前の服を着せられたものだよ。

「ふく、ぬいでくださいっ」


うん、女の子が初対面のおじさまに発する第一声ではないね……


「こんな、ひどい、ふく、ゆるせな、ですっ」

目を丸くしたお二人に、私は拙いながら必死に訴えた。

もし、上級社会でこんなのが流行りだとしても、みとめぬぇっ

「そんなに酷いか?」

きょとんとした表情は、結構なおじさまのくせに若く愛嬌があったが、どうも自身の身を飾ることに無頓着っぽい。

無駄に高価な宝石なんかの縫いとりがゴロゴロ趣味悪く配置されてても、中身がよいから辛うじて普通の人には見れるのだろうけど……針子高レベル疑惑の私からしたら、布地も装飾品も高級品だからかなり上級(この世界の身分は等級で分けられるらしい、伯爵~とか男爵~とかの名称はないらしい)の人のはずなのに、針子選べと訴えたい。

「わたし、あなたのふく、つくりなおすっ」

着心地からして、針子の価値を魅せてやるっ!


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